No.1ベストアンサー
- 回答日時:
長文は得意なのですが、今回に限っては。
。。プラトンは<「自分は知らない」ということを人々は知らない>ということを指摘した人でしたよね。
知識のある人に対して、低姿勢で「教えてください」といいつつ、実は、相手に「自分は知ったつもりでいて、実は何もわかってはいなかった」ということを自覚させるために、問答をした人でしたよね。
このラケルもそう。
ラケルは勇気が何なのか知っているという。
ところが、問答をしていくうち、勇気について説明しているのに、勇気じゃないことを説明していたことをラケルは気づかされる。
ラケルは勇気について無知であった。
にもかかわらず、知っていると思い込んでいた。
ということで、プラトンの「実は勇気がなんなのか知らないのに、勇気とは何かを知っていると誤解している愚者であることを自覚させる」あるいは「暴く」といういつも通りのやり方。
>プラトンの視点から見て、ソクラテスにとっての『勇気』とはどのようなものだったか?
ソクラテスも知らなかった。
というのが正解じゃないかと。
ヘブライ語はものの本質を直接表す珍しい言語だそうです。
対してギリシャ語は、抽象に満ちた言語で、それだけでも永久に問い続けることが可能な言語だそうです。
だから 詭弁も成り立つ。
ヘブライ語のクラスにギリシャ語の生徒が入ると、ギリシャ語は嘘つきですらなく、明らかに愚者 になってしまうのだとか。
そのギリシャ語でかかれている新約聖書は、どこまででも永久に研究できる終わりの無い無限の書になる。
何故なら、ギリシャ語に翻訳され「正義」となったものは、ヘブライ語では「救い」のこと。
救いをギリシャ語では正義だとなり、正義とはって永遠にイエスの言葉を理解しようとするが、決して終わりは無い。
だって、正義についてイエスは語ってなどいないから。
あさっての方角にイエスの言葉の意味を探しているので、永久にイエスの言葉の意味を理解できないわけです。
ヘブライ語はヘブライ文字一字一句たりともこの世が終わるまで変えてはならないとされた意味。
ましてや他の言語に置き換えて改造してしまってはならないとした理由。
本来の意味を直接あらわず言語以外に変えてしまうと、本質を表さなくなるので、読み手は永久に理解できない ってことで。
で、抽象概念にみちみちた言語であるギリシャ語を使用していたソクラテスも「勇気とはなんぞや」と結局わからないまま処刑された。
わたしから見ると頑固すぎ。
No.2
- 回答日時:
同じプラトンの対話篇でも『プロタゴラス』『ラケス』『国家』では、勇気についての論じ方は少しずつ違っていて、対話篇毎にプラトンは各々の「徳」の扱いを変えているので、ここにおいては、『ラケス』に絞って考えたいと思います。
まず、ソクラテスは自分の考えを述べていない。これは『ラケス』が初期対話編である証拠でもあり、それゆえにまたそこに直接的な「ソクラテスの哲学」は見えません。ここに見られるのは、ニキアスの思想とラケスの思想です。
ここでニキアスは、勇気は善いものである以上は、智慧である、という同じく初期対話篇の『プロタゴラス』を思わせるような議論を提示しますが、ソクラテスは、勇気と智慧とは別のもの、としてこれを退けています(『プロタゴラス』ではむしろこれを肯定していたのにもかかわらずです)。
これに対し、ラケスは勇気を忍耐であると定義します。しかし、ソクラテスは、「忍耐そのもの」はケース・バイ・ケースで悪しきはたらきもすることがあるが、勇気が徳であるならば、善いものであるはずであり、悪しきはたらきをするはずがないとして、ラケスの定義を退けます。
こうして対話篇は終了するわけですが、ソクラテスがラケスを反駁するさい、「勇気が徳であるならば」という条件を付けて反駁していることに着目すべきだと、私は考えます。具体的なテクストのステファノス版の番号が分からないので、ちょっと確認しかねますが、もしこの条件付けが、ギリシア語の接続法を以てして行われていたとしたら、この条件付けは非常に重要です。つまり、ソクラテスは、もし、勇気が徳ならば、勇気は忍耐である、というラケスの定義と矛盾するけれども、勇気が徳でないなら、ラケスの定義は矛盾してはいない、と暗に示しているのです。
このことだけでは、まだ、ソクラテスがラケスに賛同しているのかどうかを論理的に確定できませんが、少なくとも、ニキアスには賛同できないという立場を取っています。またラケスは、勇気は徳である、という前提を捨て切れずにいますが、ソクラテスの分析を経てみると、勇気それ自体は、忍耐であるか、さもなくば、徳であるか、です。そして、ソクラテスはラケスの立場をよりラディカルにし、勇気それ自体は、徳ではなく、単なる忍耐である、と考えていたのではないでしょうか。さらに、前半のニキアスとの対話に見られるかぎり、ソクラテスは智慧が徳であることを否定してはいないので、忍耐それ自体は、ケース・バイ・ケースで善いはたらきをしたり悪しきはたらきをしたりするので、智慧によって統制されねばならないものであるという見解が、『ラケス』のソクラテスから見た勇気だったのではないでしょうか。というのも、『プロタゴラス』にもあるように、勇気は智慧と異質でありながらも、それ自体で「徳」だとするのが、当時のアテナイでの平均的な物の見方だったようで、これを覆すことは倫理学上なかなか意味のある試みだったと思えるからです。
この結論は、ラケスの考えと異なったものとなってはいますが、勇気を智慧とごっちゃにせず、ある種危険を含んだ現象として捉えていたという意味で、ラケスが勇気について幾分かの真理を知っていたとするものであると思われます。というのも、ラケスは、この対話篇のドラマパートで、一貫して、智慧を重視するはずのニキアスの見解を覆してみせる、単なる知恵信奉者ではない知者として描かれているからです。
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