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ロシア史などでよく目にする、自由を束縛するという意味の
「くびき」という言葉は、漢字ではどう書くのでしょうか?
辞書を引くと、何通りかあるようなのですが…
牛車の「くびき」とどう使い分けたらいいかもお教えいただけると幸いです。

どなたかご存知の方、よろしくお願いします。

A 回答 (4件)

 


「くびき」というのは、漢字では普通には「軛」という漢字を当てます。もう一つ、似たような漢字一字のくびきがありますが、そちらは余り見ません。漢和辞典で調べると出てきます。「頚木」というのは、欧米やロシアなどでいう「くびき」の漢字表現では、どうかと思います。

三つの言葉の伝統が関係しています。日本語の牛車(ぎっしゃ)の牛につける「くびき」は、これは和語です。「牛の首・頚に付ける木」なので「くびき」というのでしょう。これは、もっと古い起源があるかも知れませんが、普通は、平安時代の貴族が移動のための手段とした牛車の牛を車につなぐのに使う部品の名です。

牛車は、普通、牛一頭です。あるいは二頭の牛で引く牛車もあったかも知れませんが、あまり聞きません。もっと身分の高い天皇などになれば、牛車ではなく、「れん(漢字が出てきません)」という人がかつぐような乗り物に乗りました。

中国語の「軛」は、和語の牛車に使う「くびき」とは少し違うものなのです。これは主に馬をつなぐのに使った、馬の頚に当てる馬車の部品で、牛にも使いました。この場合、二頭立て、三頭立ての場合も、それぞれの馬うや牛ごとに「軛」を付けたのです。

欧米やロシアでいう「くびき」は、「聖書」の表現が起源になって、「自由の束縛」というような意味が出てきていますが、別の意味もあります。英語だと、この言葉に対応するのは、yoke と言います。

「ヨーク」というのは、英語だと、二頭の牛などを一緒につなぐため、首にかけた部品のことです。つまり、馬車につなぐためというより、二頭の牛をまず、並列にならべてつなぐためにくびきにかけたので、こうして二頭をまとめておいて、そこから犂や車などにつないだのです。

「くびきが軽い」とか「くびきが重い」というのは、牛車ではよく分かりません。無論、牛車に乗る人の数で、重くなったり軽くなったりするかも知れませんが、それは「荷が重い・軽い」というべきでしょう。

「くびきが重い」というのは、何かに強く束縛されているということで、「くびきが軽い」というのは、束縛の程度が軽いということです。

「神との関係でのくびき」の場合は、「神のくびき」に繋がれていることは、幸いであり、「神のくびき」から離れたところに人間の悲惨さがある、ということになります。「信仰のくびき」も似たようなことになります。「信仰」が重要であれば、「信仰のくびき」は幸いなことになります。

「聖書」に出てくる「くびき」は、牛や馬を一頭単位で、車などにつなぐもので、二頭をまとめてつなぐ、というようなことでは必ずしもありませんが、軍用戦車などが自明であった文化では、くびきは、二頭の馬や牛をつなぐ部品の意味もあったでしょう。

ユダヤ教やキリスト教では、神と人間の関係を捉える一つの比喩的把握は、羊の群れとその所有者です。所有者の代理として、羊の群れを管理するのが、教会だということになります。

このように牧畜的な発想があるので、何かの支配者に支配されるというのも、家畜とその所有者の関係に比喩して、「くびきに繋ぐ・繋がれる」という表現をするのです。

>自由を束縛するという意味の「くびき」という言葉は

「くびき」は「自由を束縛する」という意味ではなく、「支配する・支配される」という意味で、例えば、「モスクヴァ大公国が、タタールのくびきから脱して自立した」というのは、「タタールの支配から脱した」ということです。

「牛車のくびき」は特殊な言葉で、実際、牛車のその他の部品名などは、日常語では出てきません。良く出てくる「くびき」は、ユダヤ教・キリスト教、そして西欧文化における、牧畜という生産形態から、支配・被支配が「くびき」で比喩的に表現されるのです。

>すべて疲れた人、重荷を負っている人は、私のところに来なさい。
>わたしがあなたがたを休ませてあげます。
>わたしは心優しく、へりくだっているから、あなたがたも
>わたしのくびきを負って、わたしから学びなさい。
>……
>わたしのくびきは負いやすく、わたしの荷は軽いからです。
 (「マタイ福音書」11章28-30)

>聖書のことば
http://www.ctb.ne.jp/~igmbpft/5.html
 

参考URL:http://www.ctb.ne.jp/~igmbpft/5.html
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この回答へのお礼

お忙しい中、本当に丁寧な回答を有難うございます!
ずばり私の知りたかった事はもちろんのこと、
間違いの訂正、目から鱗の語源や意味など分かりやすく丁寧に解説してくださって本当に恐縮です。有難うございました。とても助かりました。

お礼日時:2002/08/12 13:01

正確には牛につける方は『車の轅(ながえ)の先端につけて、車を引く牛馬の頸の後ろにかける横木。

』のことだそうです。

http://dictionary.goo.ne.jp/cgi-bin/dict_search. …

自由を束縛する方は同じです。
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この回答へのお礼

わざわざ調べてくださったのですか~!
お手数おかけして申し訳ありません。本当に有難うございました。

お礼日時:2002/08/12 12:58

#1ですが、使い分けようにも同じ言葉ですから感じを使い分ける必要はありません・・・もし気になるのなら仮名書きがよいでしょう。

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この回答へのお礼

二度もわざわざ有難うございます;
やはり、同じ言葉なんですね。
仮名書きのアドバイス、有難うございました。参考にさせて頂きたいと思います。

お礼日時:2002/08/12 12:57

牛車の[轅・長柄・ながえ]で牛の首を押さえる【軛・頸木・くびき】が語源で【自由を奪うもの】という意味に使うのです。

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この回答へのお礼

その事については一応存じておりました(^^;
お忙しい中、親切に回答してくださって有難うございました。

お礼日時:2002/08/12 12:56

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