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背任罪と遺失物等横領罪(占有離脱物横領罪)について伺いたいのですが、

(1)この二罪がともに成立しうることはあるでしょうか?

(2)あるとすればどのような状況が考えられるでしょうか?

(3)横領罪と背任罪がともに成立しうる場合、現在は財物の不法領得であれば横領罪、
 その他の任務違背行為であれば背任罪と解するのが比較的多数説となっていますが、
 これは横領罪が背任罪に比べて量刑の重いことが前提となっていると思います。
 量刑の軽い遺失物等横領罪と背任罪でも同様に理解してよいのでしょうか?

ご回答よろしくお願いします。

A 回答 (1件)

問1 この二罪がともに成立しうることはあるでしょうか?


あるとすればどのような状況が考えられるでしょうか?

答 理論的に考えれば成立することはありえます。たとえば,下記のような事例です。
「A会社の幹部社員Bが,ある重要な企業秘密(ノウハウ)に関する書類を落としてしまった。
 A社の社員でBの部下であるCは,その書類を偶然拾ったが,会社とBに恨みがあったので,会社に損失を与えようと考え,その書類を会社に届けず,インターネットでその秘密を暴露した。
 そのおかげで,A社は,本来得られたはずの多額の利益を得られないという損失を被った。」 


問2 横領罪と背任罪がともに成立しうる場合、現在は財物の不法領得であれば横領罪、その他の任務違背行為であれば背任罪と解するのが比較的多数説となっていますが、これは横領罪が背任罪に比べて量刑の重いことが前提となっていると思います。
 量刑の軽い遺失物等横領罪と背任罪でも同様に理解してよいのでしょうか?

答 ご指摘の説を前提に考えた場合,「同様に理解」することはできないと思います。

 横領罪と背任罪との成立範囲が刑法上の論点となっているのは,ともに委託信任関係に違背するという共通点があるからです。
 しかし,遺失物等横領罪は,横領罪と同じ章に規定されているにもかかわらず,委託信任関係に違背することを処罰する犯罪ではなく,行為態様も横領罪とは全く異なります。
 たまたま両罪が成立する場合,横領罪のみが成立する択一関係ではなく,観念的競合(刑法54条)として処理されるでしょう。 


【刑法】
(背任)
第247条 他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

(横領)
第252条 自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
2 自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。

(遺失物等横領)
第254条 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。大変参考になりました。
もやもやしていた部分がはっきりしました。

お礼日時:2008/08/20 00:02

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