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水素化カリウム(KH)の比重をご存知ないでしょうか?
試薬で販売されているものはパラフィン油が入っており、水素化カリウムの粉末のみの比重がわからず困っています。

A 回答 (8件)

siegmund です.



anisol さん:
> 気づかせてくれたsiegmundさん、どうもありがとうございます。
いえ,気づいたのは anisol さんです.
私も化学大辞典など確認するべきでしたか.
どこにどういうネタが隠れているかわかりませんね.
まあ,自分の専門周辺だったらもう少しちゃんと調べたんでしょうけれど(言い訳?).

さて,面白いことになってきました(こらこら).
anisol さんご紹介の文献 [1,2] のモアッサンはノーベル賞受けた(フッ素の単離)
あのモアッサン(Ferdinand Frederic Henri Moissan,1852-1907)ですかね?
時代的にも合っていますね.う~ん,100年前か.
まだX線構造解析なんてないころです.
ラウエによるX線の回折現象の発見は1912年です.

私も化学大辞典など見てみました.
水素化カリウム(KH)と水素化ナトリウム(NaH)の比重は以下のように記されています.

                 d(KH)  d(NaH)
化学大辞典(共立出版,1963)  0.80  0.93
化学大辞典(化学同人,1989)  0.80  0.92
化学辞典 (化学同人,1994)  0.80  1.40

という具合です.
化学同人は1989年版の d(NaH) の誤りに気づいて1994年版では修正したのではないかと
思われるのですが,d(KH) はそのままですね.

KH も NaH も塩化ナトリウム型(岩塩型)構造で,
K-H 間距離は 285 [pm] = 2.85 [Å] = 2.85×10^(-8) [cm],
Na-H 間距離は 244 [pm] = 2.44 [Å] = 2.44×10^(-8) [cm]
と上の3つの辞典に書かれています.
格子定数 a は,上の K-H (Na-H) 間距離の2倍です.

ありゃ,これじゃ辞典に書いていることが内部矛盾ですね.
だって,格子構造と格子定数がわかれば比重は計算できますから.

ちょっとやってみますか.
KH で,{2.85×10^(-8)}^3 [cm^3] にK原子とH原子が4個ずつ.
1個の原子は8つの立方体に共有されていますので,
{2.85×10^(-8)}^3 [cm^3] あたりにK原子とH原子が 1/2 個ずつと思えばよい.
原子量は K=39.1,H=1.0 ですから,
K原子とH原子が 1/2 個ずつで (39.1+1.0)/2N [g] です.
N = 6.02×10^(23) [mol^(-1)] はアヴォガドロ数.
したがって,密度は
40.1/{2N×[2.85×10^(-8)]^3} = 1.4 [g/cm^3]
となり,No.4 で紹介しましたページの記述に符合します.
比重と [g/cm^3] 単位の密度の数値は同じです.

No.1 で 38endoh さんが紹介された文献は,
X線で構造解析をして本質的に上と同じ計算をやっています.
20℃で,KH の密度は 1.431 [g/cm^3],格子定数は a = 5.698 [Å],
NaH は密度 1.370 [g/cm^3],格子定数は a = 4.872 [Å]
と書いてあります.
なお,この文献はロシア語で,英訳は
Journal of Structural Chemistry 3,532 (1962) です.
英訳の結果,オリジナルのロシア語版とはページ数がずれています.

化学大辞典みたいな権威ある辞典でも間違いはどうしてもあります.
これは化学同人に記述が誤っている旨の報告をしておくべきですね.
こういう辞典や公式集などは利用者からの報告で修正が積み重ねられて
いくものです.

報告は辞典の誤りに気づいた anisol さんがされるのがよろしいかと.
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この回答へのお礼

すいません、ご返答せず。PCの調子が悪くて。
私の発言から、意外な?記載ミスが発覚し、世の中わからないもんですね。
化学大辞典でもこういうことがあるとは・・・。
丹念に計算されており、やはり比重は1.43ということですね。
しかしこのサイトはもはや化学大辞典をも凌駕する知識、感服です

お礼日時:2003/02/20 21:25

siegmundさんレスありがとうございます。



>あのモアッサンですかね

私もあのモアッサンと思っています。

>d(NaH) の誤りに気づいて

NaHも間違ってたんですか。しょうがないなー。

>格子構造と格子定数がわかれば比重は計算できますから

言われるまで気づきませんでした(私の基礎学力の欠如を晒してます)。

>報告は辞典の誤りに気づいた anisol さんがされるのがよろしいかと

いや、そこまで大げさにしなくても…。
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化学大辞典には東京化学同人、共立出版とも密度は0.80g/cm^3となっていたので、siegmundさんの回答をみて少しあせりました。

どうも原子量順のつながりからしてもwebサイトの情報のほうが正しそうなので、グメリンを調べてみたところどうやら次のようなことらしいです(翻訳間違ってるかも)。

比重0.80とした1902年のモアッサンの測定[1], [2]は、1927年に水素の気泡の付着による誤りとわかった[3]。

D(21,4) = 1.47 +/- 0.03 (シクロヘキサン中の比重測定[3],[4])
D = 1.52 +/- 0.05 ([5])
D(20) = 1.43 (X線回折のデータからの計算[6])

[1] H. Moissan, Compt. Rend., 134 [1902] 18.
[2] H. Moissan, Ann. Chim. Phys., [7] 27 [1902] 353.
[3] J. Kasarnowsky, M. Proskurnin, Z. Phys., 43 [1927] 512.
[4] M. Proskurnin, J. Kasarnowsky, Z. anorg. Chem., 170 [1928] 301.
[5] J. Kasarnowsky, M. Proskurnin, A. Monosson, S. S. S. R. Naucno-techn. Upravlenie V. S. N. Ch., No. 207 [1907] Bach-commemorative volume, p. 90.
[6] E. Zintl, A. Harder, Z. Phys. Chem. B 14 [1931] 276.


どうも1902年の大昔の数値が孫引き、ひ孫引き…されて、辞典に未だに間違ったデータが載っているようです。気づかせてくれたsiegmundさん、どうもありがとうございます。最新(?)のデータはやはり38endohさんの回答の文献によるのがいいと思います。
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siegmund です.



ミスプリしちゃいました.
patassium ⇒ potassium
と訂正します.
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siegmund です.



> ありがとうございます。
> しかし残念ながら、私も以前ここは見たのですが水素化カリウムの比重は出てないのです

ありゃ~,しまった.
何か見間違えたみたいです.
申しわけありませんでした.

名誉挽回(?)ということで,
patassium hydride density で検索してみました.
http://www.webelements.com/webelements/compounds …

density 1430 kg m^(-3)
という記述があります.
すなわち,1.430 g cm^(-3) ですから,比重は 1.430 ということですね.

内容や他からのリンクの状況からして信頼できるサイトと思われますが,
念を入れるのでしたら
38endoh さんや anisol さんご紹介の文献や辞典も参照されるのがよろしいかと思います.

上のサイトにもデータの出典が載っています.

参考URL:http://www.webelements.com/webelements/compounds …
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この回答へのお礼

ありがとうございます。
ようやく、疑問がはれました。一応、他にも調べてみます

お礼日時:2003/02/10 17:22

辞典類は調べられたのでしょうか?化学大辞典(共立出版および東京化学同人)に水素化カリウムの密度は載っています。

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簡単に見られるものでは


http://www.chemlaw.co.jp/Result_Eng_P/Potassium_ …
にあるようです.
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この回答へのお礼

ありがとうございます。しかし残念ながら、私も以前ここは見たのですが水素化カリウムの比重は出てないのです。

お礼日時:2003/02/04 16:54

たまたま論文検索をしていたので…。



以下の論文に,NaH および KH の比重の温度依存性(20 ~ 400 ℃)が記されています。あとはご自分でどうぞ。

"X-ray investigation of NaH and KH at temperatures 20-400"
V. G. Kuznetsov, M. M. Shkrabkina, Zh. Strukt. Khim. 3, 553-8(1962).
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この回答へのお礼

この文献探してみます。ありがとうございます。

お礼日時:2003/02/04 16:55

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