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「○○の輸入自由化」という表現は良く見かけますが,「自由化」とはどういうことが「自由化」なのでしょうか?関税や輸入制限の撤廃のことでしょうか。
牛肉・オレンジが輸入自由化されたときは国内では反対がありましたが,自由化される前も牛肉やオレンジは輸入されてたと思うのですが,自由化される前の輸入と,された後の輸入とではどのような違いがあるのでしょうか?

A 回答 (3件)

ご質問の内容は、非常に深いものがあり、まじめにお答えすると本が1冊書けるほどの奥行きがありますが、いくつか基本的な考え方を整理しましょう。



1.まず、貿易の規制をどう捉えるかです。WTO規則の根幹をなし輸入制限措置措置を規制する国際的な枠組みとして、GATT(関税および貿易に関する一般協定)がありますが、この協定上は、一般的には数量制限を禁止し、何らかの理由で貿易<注1>を制限しなければならないときには関税の賦課は認めるというものです。ですから、輸入割当(一定量までしか輸入を認めない)の対象だった製品を、関税割当(一定量を超えた輸入には高い関税を賦課する)に変更すると、それも「自由化」と評価されるわけです(たとえ関税割当が極めて効果的な制限効果を維持する保護措置だったとしても、論理的には制約が緩和されたとみなされるわけです)。

他方で、関税賦課による輸入制限は認めるとは言っても、やはりそれが自由な貿易を進めるにあたっての障害となっていることは疑いありませんので、GATT加盟国の間ではお互いに低減しようという試みがなされてきました。そのための場が、「ラウンド」といわれる多国間協議です。ただ、数次にわたるラウンド交渉の結果、とりわけ先進国の工業品関税については、東京ラウンドより前にかなり低下していたので、以降は関税以外の輸入制限措置により大きな焦点が置かれるようになり、ウルグアイラウンドにおいては、それまでいわば聖域とされ交渉の対象となってこなかった農業、知的所有権、サービスといったいわば「新分野」についても取り上げられるようになっています。

また、輸入の自由化は、多国間協議ではなく二国間での場で議論されることもあり、牛肉・オレンジはその典型例といえるでしょう(1988年、日米交渉で決着)。

こと「輸入の」自由化とはこのような輸入量の上限を撤廃するということであり、それ以外の措置(検疫体制や基準など)を問題にしているものではありません。なお、そうした措置が行き過ぎていると諸外国が判断した場合には、WTOの紛争処理手続きに従って是非が判断されることがあります(「日本のりんご検疫措置」などはその典型例です)。

<注1>正確な理解としては、輸入のみならず輸出も対象にしていたと記憶していますが、話がややこしくなるので、以下、輸入に限定した話とします。

2.以上を踏まえてご質問に答えると、以下のようになります。
(1)どういうことが「自由化」なのか
GATTの原理から言えば、一義的には、輸入割当などの数量規制の制約を撤廃することです(代替措置として関税割当を含めた関税賦課に移行することが多い)。他方で、関税の賦課を引き下げることも「自由化」のための課題のひとつです。
(2)自由化の影響
「自由化」後にどういう措置をとるかが問題ですが、通常は自由化されていない品目というのは何らかの理由で保護を受けてきたわけで、それが撤廃されると当然ながら輸入品が増える可能性が高まります。輸入できる上限が撤廃されるわけですから。
牛肉・オレンジについては、「自由化」以前も輸入されていたのは事実ですが、それはあくまでも割当の範囲内においてです。ですから輸入品のシェアは低く、保護されていた高い牛肉・柑橘類が市場に出回っていました。他方、輸入自由化後は、手続き面では割当をとる必要がなくなり、また輸入量の拡大につながっています<注2>。
「牛肉・オレンジが自由化される前と後の輸入の違い」というご質問がありますが、その意味では、数量の規制を取っ払った以外には、何も変わったところはありません。食品衛生法などに基づく検疫体制なども、従来同様の形で維持されています。

<注2>今、手許に具体的な数値を持っていませんが、そういわれています。
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この回答へのお礼

非常に詳しい回答いただいてありがとうございました。とても参考になりました。

お礼日時:2003/06/09 14:25

下記サイトは、アメリカ牛肉の輸入状況を紹介しています。

すなわち、輸入自由化により、輸入枠(IQ)が廃止され、関税になります。ただし、一時的に輸入が急増すると(中国製ねぎなど)、WTO公認のセーフガードを発動して、輸入制限します。

参考URL:http://www.usmef-ja.org/sijou/sijou01.html
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この回答へのお礼

参考URLありがとうございます。細かく見てみるととても難しいですね。

お礼日時:2003/06/09 14:26

>「自由化」とはどういうことが「自由化」なのでしょうか?


輸入規制には関税や,数量規制があります.
日本が中国に執行したセーフ・ガードは記憶に新しいですが,あれは数量規制です.
(輸入量/1年が規定量を超えたら関税を引き揚げるというもの)
今回WTOで協議されているのは,牛肉やオレンジといった個別の交渉ではなく,農業全般での協議です.
アメリカの要求は,将来的には関税撤廃,とりあえずは関税の引き下げです.

>自由化される前の輸入と,された後の輸入とではどのような違いがあるのでしょうか?
自由化されると販売価格が変わります.
今までは\100のオレンジに関税100%かけて\200円で日本国内で流通していたと仮定します.
国内の農家は\180で販売していたとすると,関税が撤廃されると日本の農家は困るわけです.

特に農業は国にとってライフ・ラインです.
食料自給率が高いほど良いというのは,ライフ・ラインを外国に頼るとそれだけ外国からの影響を受け易くなります.
(外交の材料として使われてしまいかねないです)
なので極力,食料は自給した方が良いのですが,旧食管法のように成長産業保護の為ではなく,政治家の票田を守る為に税金で高い米を作らせるような間違ったシステムは良くありませんね.
農地法も改正されたことですし,ある程度競争原理を取り入れて,農業も発展していかなければ先は無いでしょう.

この回答への補足

初歩的な質問ですみませんが,補足をお願いします。例えば日本がアメリカからある農産物を輸入する場合,関税は輸入する日本(輸入する側)が払うのか,日本に持ち込むアメリカ(輸出する側)が払うのかどちらでしょうか?また,どこに対して払うのでしょうか?個人輸入の場合は消費税のような感じで輸入者が払うみたいですが…

補足日時:2003/02/17 16:32
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