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 AとBとの間に生まれた実子CがDと結婚し、CとDの間にはEが生まれました。その後、A及びBとDとの間で養子縁組が成立しましたが、まもなく、養子Dが死亡し、さらにAも死亡しました(養子Dが被相続人Aよりも先に死亡)。
 通常、養子縁組前に生まれた養子の子は、養親の代襲相続人とはなりません。しかし、今回の場合、被相続人Aと実子Cとの間には、実親子関係があり、EはAとDの養子縁組前に出生した養子の子であるとしても、Aの実子Cを経過してみると、AとEとの間には、血縁関係があります。
 そこで、おたずねします。今回の事例の場合、Aが死亡した際に、C及びDの子EはAの代襲相続人となるのでしょうか。高裁判決及び登記研究の質疑応答では認めれるという意見もありますが、詳細を知っておられる方がいらっしゃいましたら、お教え下さい。宜しくお願い申し上げます。

A 回答 (3件)

御質問の中の<高裁判決>とは、#2の方がおっしゃる判決のことですよね?


「Aは亡Bの養子縁組前の子であるから、亡Bを通じてCとは親族関係を生ぜず、したがって、Cの死亡による相続に関して亡Bの代襲者にはなり得ないとの考え方があるが、民法887条ただし書において、<被相続人の直系卑属でない者>を代襲相続人の範囲から排除した理由は、血統継続の思想を尊重するとともに、親族共同体的な観点から相続人の範囲を親族内の者に限定することが相当であると考えられたこと……によるものと思われるところ、本件の場合には、Aはその母を通じて被相続人Cの直系であるから右条項の文言上において直接に違反するものではなく……Aには被相続人Cの遺産に関し代襲相続権があると解するのが相当である。」(大阪高判平成元・8・10判例タイムズ708号222頁)

また、<登記研究の質疑応答>とは、何れの号を指すのか定かではありませんが、ふつう最後の数頁に掲載されるQ&A形式の質疑応答という理解で宜しいのでしょうか?
それならば、登記研究の質疑応答に言及するまでもなく、行政サイドにおいては昭和37年の民法887条2項ただし書の新設以前の段階から、下記のとおりの法務省民事局の<先例(代襲肯定)>が存在しますし、現在に至ってもこれらの先例が変更(代襲否定)されたというような事例はないようです。

1.妻乙の父甲の養子となった丙が死亡した後に甲が死亡した場合、養子縁組前に生まれた乙・丙間の子丁は甲の死亡に基づく相続に関し丙の相続すべき分を代襲相続する。

2.被相続人甲に非嫡出子女乙と養子戉がおり、甲と乙が養子縁組している場合、乙が死亡した後甲が死亡したときは、乙の養子縁組前の子丙と養子縁組後の子丁は乙の相続すべき分をそれぞれ2分の1ずつ代襲相続する。

(いずれも昭和35・8・5民甲1997民事局第二課長回答、この他にも同趣旨の先例・昭和36・12・25民甲2140民事局長回答。)

なお、代襲相続人は被相続人の直系卑属でなければならない旨の明文規定が新設される昭和37年以前において、元々被相続人と「親族関係にない養子の縁組前の直系卑属」が代襲相続人となり得るか否かという点については、期待権保護の見地から代襲肯定説も少数ながら有力に主張されていたものの、学説(多数説)は親族たる身分関係のある者にのみ相続権を認めるという相続の基本観念を根拠とした代襲否定説であり、また行政サイドの先例(昭和26・11・24民三・2246民事局長回答、同・12・15民三・2347民事局長回答、昭和27・2・2民事甲89民事局長回答)においても代襲否定説に立っていたようです(『相続・遺贈の登記(藤原勇喜)・テイハン』)。
http://www.teihan.co.jp/contents/031.htm

アナタのお立場を勝手に推察すれば(初期の回答履歴を拝見しましたw)、試験問題用やケーススタディ用では現行民法が照準なのかもしれませんが、実務では現在でも旧民法時代の隠居や家督相続も登場します(^o^)そんな時には、上記URLの書籍が重宝します。教材等に如何でしょうか?

以上、見当違いのカキコミの場合はお許し下さいm(_"_)m
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この回答へのお礼

回答ありがとうございました。私は司法書士ですが、このような事例にあたったことが無く、税理士に相談され、質疑応答、高裁判決のとおりに判断しても良いか不安に思ったため、質問させていただきました(相続税が2億円違うことになるため)。ご回答により自信を持って相続人となるといえるかと思います。
本当にありがとうございました。

お礼日時:2003/03/02 19:03

大阪高裁の平成元年8月10日の判決で、この場合のEさんは代襲相続できるとしたものがあります。


まあAとEの間に血縁関係が有る以上、当然の結論だと思います。
そもそも「養子縁組前に生まれた養子の子は、養親の代襲相続人とはならない」とされるのは、「養子縁組前に生まれた養子の子」と養親は他人であることを理由としてるわけですから。
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この回答へのお礼

 ご回答ありがとうございました。そして、わざわざ高裁判決まで調べていただいて本当に感謝いたします。何とか解決できそうです。自信を持つことができました。

お礼日時:2003/03/02 19:04

 高裁判決及び登記研究の質疑応答については申し訳ありませんが存じません。



 しかし、なぜ養子縁組前に生まれた養子の子が養親の代襲相続人になることができないのかという点について理解することにより、今回のようなケースにおいて、生物学的に被相続人の直系血族である養子の子は、養親死亡以前に死亡した養子の代襲相続人となることができると解することが条文の文言上自然な解釈であると考えられることについてお分かり頂けるのではないかと思います。


1. なぜ養子縁組前に生まれた養子の子が養親の代襲相続人になることができないのか

 養子と養親およびその血族との間においては、養子縁組の日から、血族間におけると同一の親族関係を生じます(民法727条)。
そして、被相続人の子が相続開始以前に死亡したときは、その者の子がこれを代襲して相続人となりますが(民法887条2項本文)、被相続人の直系卑属でない者は代襲相続人となることができません(同項但書)。

 つまり、生物学的血族関係にない養子は、養子縁組の日から養親およびその血族と法定血族関係に入り(民法727条)、その後生まれた養子の子は、当然「直系卑属」としての身分を有することになります。したがって、この場合、問題なく養子の子は養親の代襲相続人となることができるということになります。

 それに対し、養親は養子縁組の時点における養子の親族とは親族関係に立たないため、養子縁組前に生まれていた養子の子は養親から見て直系卑属としての身分を取得することができません。そのため、養子縁組前に生まれていた養子の子は、養親の代襲相続人となることができない(民法887条2項但書)とされているのです。


2. 今回のケース

 しかし、887条2項但書では、「被相続人の直系卑属でない者は代襲相続人となることができない」と定めているだけです。
 仮に、ご質問のEが代襲相続することができないとする結論をとろうとすると、887条2項但書で代襲相続人となることができない者として定められている「直系卑属でない者」についての解釈を、「直系卑属でない者および直系卑属であっても被相続人と養子縁組する前に生まれた養子の子である者」というように限定して解釈しなければならなくなります。
 実質的に考えても、養子縁組という法定要件を満たすことによって初めて血族関係を生じる場合と異なり、生物学的に直系卑属としての身分を生まれながらに有する者について、その親が被相続人と養子縁組した時期によって887条2項但書に言う「直系卑属でない者」に含めたり含めなかったりといった限定的な解釈を行なわなければならない合理的な理由はないのではないかと考えられるのです。

 高裁や登記研究の質疑応答における判断の詳細は存じませんが、おそらく上記のような理由によって認められると判断しているのではないでしょうか。


 なお参考までに、下に民法727条、887条を揚げておきます。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
第727条 養子と養親及びその血族との間においては、養子縁組の日から、血族間におけると同一の親族関係を生ずる。

第887条 被相続人の子は、相続人となる。
2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によつて、その相続権を失つたときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。但し、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
3 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によつて、その代襲相続権を失つた場合にこれを準用する。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございました。参考になりました。

お礼日時:2003/03/02 19:04

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