No.2ベストアンサー
- 回答日時:
お知りになりたいのはおそらくイレッサという新しい肺癌治療薬のことだと理解しました。
イレッサは、「分子標的薬」という新しい概念に基づいて開発された小細胞肺癌治療を目的とした抗ガン剤です。奏功率20%というと、「なぁんだ」と思われるかもしれませんが、従来の抗ガン剤に比較すると画期的なほど効果があるといわれています。
「分子標的」とは、簡単に言うと、ガン細胞の中である特定の役割をこなしている分子をねらい打ちしてガンをやっつける薬剤だとご理解ください。がしかしながら、ここで言う「ねらい打ち」は100%ヒットという意味ではなく、やはり正常な細胞の似たような部分にも何某かの影響を与えてしまい、それが問題になっている「間質性肺炎」という副作用となって現れてしまった訳です。
イレッサは「すごく効果がある」という噂(嘘ではないのですが)が先行してしまい、他のガンにも効くだろうということで、発売直後にやや濫用されてしまい、それが副作用の多発につながった経緯もあるようです。また、本来効果を期待していた肺の小細胞ガンでも、まさか肺炎なんて・・・という油断があり、副作用の多発を招いたこともあります。
この事態を受けて、濫用を避け本来効果がありそうな患者さんだけにこの薬を投与しようという研究が進んでいます。どうもこの薬は、ある特定の遺伝子を有している患者さんにのみ効果が期待できることが分かってきています。従って、この薬を投与するにはまず、DNA(遺伝子)を投与前にチェックし、効果が期待できると分かったら、肺炎を慎重にチェックしながら治療を開始することに今後はなっていきそうです。間質性肺炎は、発見が早ければステロイド剤の大量投与などで充分治療できます。
こんなことでよろしいでしょうか???
No.6
- 回答日時:
MiJunです。
suzuchibi01さんの回答を見て思い出したのですが、
>何もイレッサにはじまったお話ではないのです。
昔(?)「ブレオマイシン」の副作用として「間質性肺炎」が有名でした。その副作用軽減を謳い文句に「ペプレオマイシン」が開発されました。
以下の参考URLは参考になりますでしょうか?
「薬剤性間質性肺炎」
ご参考まで。
参考URL:http://www.apha.jp/top/yakuen/KANSHITU.htm
No.5
- 回答日時:
あら、これは難問ですわね(笑)。
実際、#4 の方の書かれている
>質問の山はエベレスト並に高いとお考え下さい。
というのは非常に的を射ている御意見だと思いますわ。
とはいえ、「間質性肺炎」みたいな言葉からして理解するのはなかなか難しいものです。
ですので私の理解している範囲で、なるべく易しくお答えしてみたいと思います(手に余りそうですけど、ご容赦を(笑))。
順番が前後しますが、皆さんが書かれている、間質性肺炎から・・・。
まず肺の構造をごくごく簡単に説明いたしますと、肺というのは空気の通り道(気道)と、その行き止まりにある空気を入れた沢山の小さな袋(肺胞といいます)、それと血管などから出来ています。
それで、肺炎をおおざっぱに
1)本来空気の入っているべきところ(肺胞や気道)に細菌などが感染して起こる肺炎
2)「気道や肺胞の壁、あるいは血管」といった空気の入っていない部位(これらを「間質」といいます)に炎症が起こる肺炎
に分けることがなされています。
この2)を間質性肺炎と呼び慣わしているわけです。間質性肺炎が進行しますと、肺は固くなり、ガス交換ができない状態に陥ります。なお、一般に見られる肺炎の大部分は1)で、単に肺炎と言うときにはこれを指すことが多いのです。勿論これら二つが混ざったものも存在します。
それで、間質性肺炎が起こる原因ですけれども、これには様々なものが知られています。薬剤もそうですし、ウイルス性の感染症、あるいはアレルギー性の病気で引き起こされるものもあります。また、大けがや大手術の後で起こるものも知られています。さらに原因が全く分からないもの(「特発性」といいます)も大きな割合を占めています。
すると次に、そのような様々な原因が「なぜ、どのようにして肺の間質を傷害するのか」という疑問が生じることと思います。これは細胞・分子レベルでの出来事の話になります。いまのところ、免疫系の関与などいくつかの仕組みが考えられており、恐らく複数の仕組みが組み合わさって起こるのだろう、と言われていますが、これについては実はまだすっきりとはわかっていない、というのが正直なところです(原因と傷害メカニズムがはっきりすれば、それは独立した「疾患単位」として扱われるのですが、間質性肺炎はまだそういう疾患ではありません)。
ですので現時点では、原因が何にせよ、傷害された肺の部位(間質)とその出来上がってくる変化が類似している沢山の病気をひとくくりにして「間質性肺炎」として扱っているのです(実はさらに細かい分類があるのですが、割愛しますね)。
さて、次に薬剤による肺障害ですが・・・
薬によって肺が障害される仕組みには、
☆薬剤そのものが持つ細胞毒性、障害性などによる(これは投与量依存性といって、薬剤の量に比例することが普通です)
☆薬に対する体質の特異性などによる(少ない量でも傷害される、または、アレルギーを起こす(この場合には薬剤の量は必ずしも関係しません)など)
といったものが考えられています。これらの一方のみで起こる場合もありますが、普通は、様々な割合で両者が組み合わさることが多いです。
そして最後、イ☆ッサの場合です。病態そのものは、下記のご回答にもありますように、どうもびまん性肺胞傷害と呼ばれる劇症型の間質性肺炎の一つのようですね。
これが起こるメカニズムですが、薬剤そのものも勿論細胞障害性を有していますが、全ての患者さんが合併症を起こしているわけではありませんので、体質特異性も深く関わっていると考えられています。事実、合併症を起こす前の肺を調べますともともと小範囲に慢性型の間質性肺炎がある患者さんがなりやすいようだ、との指摘もございます。これも体質特異性の関与を考えさせる証拠の一つとなります(余談ですが、某研究所でイ☆ッサに対する特異体質を示す遺伝子を解析中だそうです)。ですので、イ☆ッサによる肺炎は、薬剤そのものの細胞障害性や患者さんの体質など、複数の要因が絡み合って生じるものと考えられています。
以上、ご参考になればさいわいです。
(なお、簡潔に説明するために、はしょったりちょっと嘘を書いた所もありますが、ごめんくださいませ^^)
☆☆☆ では、ここで問題です!
問)上記の文章をよく読み、抗ガン剤による間質性肺炎の発生メカニズムをひらがな5文字以内で簡潔にまとめなさい(句読点含まず)。
正解)わからない (笑)
むずかしい、も可
この回答へのお礼
お礼日時:2003/03/26 21:00
ご回答ありがとうございます。
なかなか難しい問題を基礎からわかりやすく解説いただき理解しやすかったです。
他の方のアドバイスも交えもう一度勉強してみます。
No.4
- 回答日時:
専門家のかたの詳細な回答があるようで、一般人の書き込みでは心もとないと思いつつ、疑問点が若干違うのではないか??と思いましたので老婆心ながら書き込みをさせていただきます。
>肺ガンの抗癌剤(イレッサ)で肺炎(間質性肺炎)を…
ここで言われる
抗癌剤(イレッサ)肺炎(間質性肺炎)というのは既に回答にでておりますので把握なされているものと思います。ただ一般的に抗がん剤や各種化学療法剤は間質性肺炎を来たしうるものでして、何もイレッサにはじまったお話ではないのです。
また間質性肺炎というのは機構がほとんど解明されていない難病に属する肺炎でして、たぶんそれゆえにこれまでの回答者の方々は意図的に回答から外してこられたと思うのですが…知りたいのは「肺炎を起こすメカニズム」とありますから。その部分に追加します。
上記事情で間質性肺炎のメカニズムを平易に記した書物は少ないです(専門医で無いから知らないだけかもしれませんけれど^^;)探してみたなかで
http://www.apha.jp/top/yakuen/KANSHITU.htm
あと書物で
http://www.so-net.ne.jp/medipro/NakaYama/molecul …
があたりましたのですが参考になりますでしょうか(もとより私も素人なのでこれらが役に立つかどうかすらわからないんです)。
正直、このメカニズムをシステマチックに解説することができる方ならばこの分野で既に一家言ある方々で、ぶっちゃけたはなし、こんなところで悠長に解説なんてするはずが無いです。それくらい専門的なお話です。質問の山はエベレスト並に高いとお考え下さい。
No.3
- 回答日時:
SAT40さんが丁寧に説明されてますが、以下の参考URLは参考になりますでしょうか?
「イレッサその後」
関連リンク先も参考にしてください。
>小細胞肺癌治療を目的とした抗ガン剤
ミスタイプだと思いますが、「非小細胞肺癌」では?
「添付文書情報」の「効能又は効果」では、
・手術不能又は再発非小細胞肺癌
です。
◎http://www.okweb.ne.jp/kotaeru.php3?q=409211
この中で#2で紹介したサイトも参考にしてください。
◎http://www.okweb.ne.jp/kotaeru.php3?q=326852
●http://www.sutv.zaq.ne.jp/suita-mhp/dep/geka/gek …
(分子標的治療)
少し記憶が不鮮明なのですが、TV情報でメカニズムの解明というより発症予防でSAT40さん紹介の「ステロイド」投与に関して、東北大(?)で臨床研究されているようです。これを発展させた形で「メカニズム解明や予防法確立」に関する臨床研究が今後1年以上続けられるようです・・・?
ご参考まで。
参考URL:http://d-inf.org/drug/iressa2.html
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