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電気工学科のもので、触診センサーについて研究しようと思っています。
今までの研究成果を見ると、感圧性導電ゴムと平面コンデンサで抵抗の変化と静電容量とコンダクタンスを測定してデータとして取り込み、正常か異常かを評価しようとしていました。
しかし、教授には「これでは、全然迫力がないから、自分でなにか新しい方向を見つけて」と言われました。しかし、触診を見極めるための正常、異常の状態がよく分かりません。
そこで、質問なのですが、触診をしたときの、異常な部分は正常な部分と医学的にどういう状態になっているのでしょうか?自分が思いつくのでは
・硬くなっている。
・血液の流れが悪くなっている
・温度がちがう?!
などです。触った時の感覚ではなく、どちらかと言うと医学的な状態がどうなってるのか知りたいです。本当に、どんな小さな変化でもいいので教えてください。

A 回答 (2件)

一般内科医の、junkun2jpです。



触診というと、非常に広い概念で、特に腹部などは、浅いところと深いところとでは、触診の仕方も異なります。
また、目標とする臓器や病変によっても変わります。

ご質問の主旨は、比較的表在性の病変で、癌のような悪性の物を見つけるにはどうすれば良いかということかと解釈しました。

具体的には、乳ガンと甲状腺癌、また悪性リンパ腫などのリンパ腺関係のものでしょうか。

乳ガンに関しては、以下の3つのものを鑑別してゆく必要があります。
線維腺腫と乳腺症と乳癌です。
この3つは、いろいろな検査を組み合わせて、鑑別をしてゆくものですから、触診センサーだけで鑑別することは不可能と思います。

 一般に乳房腫瘤の診断には、視触診,マンモグラフィー(レントゲン),超音波を使います。以上の所見で乳癌の疑いがあれば穿刺細胞診を行います。さらに確定診断が得られなければ摘出生検を行う事もあります。

 触診の仕方ですが、触診は坐位・仰臥位両方で上肢を挙上,下垂させて行います。坐位の方が外上部腫瘤を触知しやすいのですが,仰臥位で触診する側の背部に肩枕などを挿入すると乳房が中央にまとまり全体が触診しやすいとされています。
 腫瘤の硬さ(弾性軟,弾性硬,硬),形状(整,不整),境界(明瞭,不明瞭),可動性(良好,不良),圧痛(有,無)の5点が重要で,いずれも後者の所見が悪性を示唆します。

 マンモグラフィーでは、以下の様な所見をチェックします。
 微細石灰化・spicula(棘状突起)を伴う不整形腫瘤影が乳癌の特徴です。触診では発見できない乳癌(非触知乳癌)を微細石灰化として発見できる点が最大の長所です。無腫瘤で乳頭分泌のある場合,少量の造影剤を注入して乳管内乳頭腫(乳癌)を陰影欠損として描出する乳管造影法が有用とされています。
 超音波では乳癌は低エコーの不整形の腫瘤影として描出されます。超音波検査の有用性は,(1)触診では発見しにくい小さな腫瘤を検出しうる,(2)嚢胞性病変と充実性病変を即座に鑑別できる、(3)若年者のように乳腺組織の豊富な場合(特に授乳期)腫瘤描出能にすぐれている,という点にあるとされています。

 このほか、サーモグラフィー:乳房表面の皮膚温度を測定し温度差,温度分布によって腫瘤の良悪性を診断。信頼性はやや低いが,簡便な検査法とされています。


異常な部分がどう違うのかというご質問は、その病変ごとに説明が必要になりますが、癌(悪性腫瘍)をとれば、
一般に、癌細胞が病的に増殖しますので、炎症が起こります。また、癌は豊富な栄養を取り込もうとして、新生血管を作り出してゆきます。炎症の結果、線維化が起こってゆきますので硬くなってきます。また、周囲と癒着が起こって、可動性がなくなってゆきます。ですから、癌は硬く、表面がごつごつとしており可動性がなく、温度は軽度上昇します。そして、圧痛を伴わないことが多いのも特徴です。細菌感染などで起こる乳腺炎も温度は強く上昇しますが圧痛があります。

逆に、柔らかくて表面がつるつるした感じで丸っこく、周囲との癒着などがない、圧痛のあるものは、炎症に伴って腫れてきたリンパ腺などを考えることになります。

TV番組で見たことがありますが、イヌが癌のにおいを嗅いで診断したなどということがあるようで、固さ・温度などといった物理的なファクターの他に、化学的なものをセンサーで検出できると、面白いのかも知れませんね。

 乳ガンの検診をよく行う外科の医師の話を聞きますと、20人ぐらい診察をすると、手の指の感覚が痺れてきて休まないと触診出来なくなるそうです。
簡単に、良性・悪性の別はともかく、腫瘤のある場所だけでも検出できる装置ができれば、現在、日本人で増えつつある乳ガン対策に役立つでしょう。

がんばって下さい。
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この回答へのお礼

質問の仕方があいまいなのに、丁寧な回答ありがとうございます。結構日数がたっていたので、質問を削除しようかと考えていたところでした。すごい参考になりました。

簡単に、良性・悪性の別はともかく、腫瘤のある場所だけでも検出できる装置ができれば…
>最初は、「これは、意味がある研究なのかなぁ、超音波エコーとか、マンモグラフィーとかあるから果たして研究する価値はあるのかと自分の中で葛藤していました。けれど、この文章をみてやりがいのある研究だなと思い始めてきました。がんばって、研究成果を出したいと思います。

余談なのですが、こういう触診に関したいい本やHPなどを知っていましたら教えていただけないでしょうか?

お礼日時:2003/05/24 02:29

触診センサーとは、大変興味深い研究ですね。


断面をみて診断するCT、MRI、超音波断層撮影では内部の状態や大きさ、広がり具合を見る事ができますが、人間の感覚に頼る触診はどちらかというと臨床現場では軽視される傾向にあります。しかし、例えば乳腺の腫瘍の診断では、熟練した医師は、「触診が一番」(極端にいえば、「触れば癌かどうかわかる」)と言います。私も、触診は非常に重要だと思います。

目標は熟練した医師の触診を器械で再現することにあると思いますが、まずは「存在診断」と「質的診断」がどこまでできるか、ということだと思います。
存在診断は、まずしこりがあるかどうか、どこにあるか、ということですが、それはもうクリアされたのでしょうか。これには、センサーの数や並びをどうしたらよいか、どのように広い範囲をスキャンするか、が問題と思います。
質的診断では、#1の方が書かれたように、しこりの 1.大きさ、2.形(類円形-球形-か、不整形か、、)3. 縦・横の比率(横に広がっているか、縦に深く入り込んでいるか)、4.堅さ、5.表面の状態(平滑か、凹凸しているか)、6.辺縁の状態(整か不整か)、7.境界(正常部分との境界)が鮮明か・不鮮明か、8.可動性(よく動くか、動きが悪いか)などをみる必要があります。触診の所見を記載するときにはこのような事を記載します。
触診センサーでこのような事がわかればよいと思います。

ひとつ、ご研究のヒントとして。触診する場合には、指で「押す」だけではありません。横からしこりに向かって「なでる」(押しながらなでる)動きをさせると、可動性や辺縁の状態がわかります。またしこりから外に向かってなでると、表面の状態や、境界についての情報が得られます。センサーを一方向(押す)だけでなく横にも動かしてみた時に何がわかるか、興味深いところです。
また、可動性があればしこりを骨の上に移動させて触ってみるとよくわかる事もあります。実験に使われる材料を、堅い板の上に置いた場合と、柔らかいゴムやウレタンの上に置いた場合の違いを比べてみるのもおもしろいかもしれません。
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この回答へのお礼

返答遅れてすいません。大変貴重な意見ありがとうございます。

存在診断は、まずしこりがあるかどうか、どこにあるか、ということですが、それはもうクリアされたのでしょうか。
>まだセンシング材料の基礎実験を行っている段階です。まだまだですね。

センサーを一方向(押す)だけでなく横にも動かしてみた時に何がわかるか、興味深いところです。
>参考にした実験、やってみようと思います。

本当に良い意見ありがとうございました。がんばってなんとかいい研究成果を出せるようにしたいと思います。

お礼日時:2003/06/08 02:23

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