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 大学の実験でPCR法というのをやりました。
PCR法はホット・スタート法呼ばれる方法で、どのような利点があるのですか?
 
 また、最近のホット・スタート法は高温の反応液中にDNAポリメラーゼを加えることで反応を開始する必要がなくなっている。DNAポリメラーゼを含むすべて材料を室温で混合し、サーマル・サイクラーの設定だけでホット・スタートが可能となっている。その技術がどのようなものなのかを教えて下さい。

A 回答 (2件)

だいたい、PCRするときの温度条件は



(1)95℃・・・鋳型のDNAとプライマーDNAのどちらも完全に一本鎖になるような温度
(2)50~60℃・・・プライマーDNAが鋳型DNAの中で同じ配列のところに特異的に結合するような温度
(3)70℃・・・PCR用の酵素(Taqポリメラーゼなど)がDNAを合成するのに最適な温度

この3つのサイクルを機械によって繰り返すのが基本となると思います。
ホットスタートをしないで、溶液を混ぜてしまって機械にセットするとき何が起こるかというと

機械が95℃にあがるまでにちょっと時間がかかってしまいます。
その間に(2)よりも温度が低いときはプライマーDNAが鋳型DNAの中で、ちょっと違う配列にも結合することができます。
しかも、PCR用の酵素は最適な温度が70℃であるだけで、(2)よりも低い温度でも活性はあります。

すると、95℃に温度が上がる前に、本来増やしたいものとは違うDNAが出来てしまうのです。
しかも、この違うDNAはプライマーDNAの配列を持つので、
95℃にあがって本来のサイクルが実行された後でも、鋳型DNAとなり得ます。
それで、全体のPCRが終わるころには目的のものとは違うDNAが増幅されてしまうことがあるのです。

つまり、ホットスタートとは
一度高温(95℃とか)にならないとPCR反応が起こらないようにすることで、
温度が上がる間に生じる非特異的なDNAの増幅を押さえることができることが利点です。

>DNAポリメラーゼを含むすべて材料を室温で混合し、
サーマル・サイクラーの設定だけでホット・スタートが可能となっている。

要するに、一度高温になってから反応がスタートするようにすればいいのですから、
No1様も挙げていらっしゃる方法もありますが、単にサーマルサイクラーを最初に95℃にしておいて、
そこにサンプルを入れてスタートさせるということもやります。そのとき、PCRの反応液は10~50マイクロリットルなので、
液自体が熱くなるのには時間はほとんどかかりませんので(厳密に言ったら色々あるかも知れませんが、私はうまくいっています)。
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サーマルサイクラーで温度が上がるまでの低い温度ではプライマーが非特異的にDNAとアニーリングします。

そのようなDNAに対してDNAポリメラーゼの酵素活性により伸長し、非特異的なDNAが増幅されたり、プライマーダイマーが形成されたりしてしまいます。
ホットスタート法では温度が高くなった状態で酵素を入れるために、そのような非特異的な増幅を防ぐことができます。
温度が上がって初めて活性のある酵素とDNAが会えばよいので、抗体などでDNAポリメラーゼ活性を抑えておき、サーマルサイクラーで高温になったら抗体が不活化することにより初めて活性のある状態になる、あるいは、DNAポリメラーゼをビーズに埋め込み、物理的にDNAから遮断しておいて、高温になったらビーズが融けることによりDNAポリメラーゼとDNAが出会える、などの方法を用いることによってサーマルサイクラーのみでホットスタートと同様の効果を得ているようです。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。どのような技術なのかがよくわかりました。

お礼日時:2010/05/20 18:11

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