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キラルな化合物を合成する際にR体とS体との比(いわゆるエナンチオマー過剰率)をコントロールするために温度を下げて実験をしている論文を見かけたりするのですが、エナンチオマー過剰率と温度条件との関係性ってあるのでしょうか?

専門分野外なので基本的な質問かもしれませんが、ご意見いただけると幸いです。

A 回答 (1件)

まず、化学反応が進行するメカニズムについて述べたいと思います。


反応は、活性化エネルギー以上のエネルギーをもつ分子の衝突によっては起こります。
反応温度を上げることにより、活性化エネルギー以上のエネルギーを持った分子が多く存在することになり、反応が進行します。
キラル分子を合成する際は、光学純度が高い分子や触媒をさせることが多いと思いますが、これにより片方のエナンチオマーの生成に有利な環境ができ、その結果、生成に有利な方のエナチオマーの活性化エネルギーが下がるわけです。
つまり、キラルな分子の合成に際、光学純度の高い分子や触媒を作用させることにより、R体ができる反応の活性化エネルギーとS体ができる反応の活性化エネルギーが異なります。この活性化エネルギーの差がR体とS体の生成の差として反映されることにより、キラルな化合物の合成が可能となるわけです。
反応温度を必要以上にあげてしまうと、R体ができる反応の活性化エネルギーとS体ができる反応の活性化エネルギーの両方のエネルギーを超えた分子が存在してしまい、不斉収率が下がってしまいます。

R体(or S体)ができる反応の活性化エネルギーを越える反応温度だけれども、S体(or R体)ができる反応の活性化エネルギーは越えない反応温度がキラルな化合物を合成する上で最適な温度といえます。
だから必要以上に反応温度を不斉合成では上げようとしません。
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