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質問が2つあります。

(1)「可変費用」と「変動費」の違いは何でしょうか?

(2)財務会計の分野では総費用線が直線であるのに、
  経済学の分野では総費用線が3次曲線になるのは、なぜでしょうか?

A 回答 (2件)

(1)


私は経済学の専門家ではありませんが、私の理解しているところでは、「可変費用」と「変動費」は基本的には同じものであって、経済学の用語であるか会計の用語であるかという違いです。

ただし、会計学では1年間ずつ費用を考えるのに対して経済学では長期的な費用と短期的な費用の両方を考えます。つまり、変動費は「1年間」の費用のうち操業度に比例的に変化する費用であるのに対し、可変費用は1年とは限らない「ある期間」での費用のうち、操業度によって変化するような費用を指します。

ここで、「ある期間」というのがどの程度の期間であるかというと、経済学の立場では、設備投資を行ってから次の設備投資を行うまでの期間と比べて十分短い期間を「短期間(的)」と考え、十分長い期間を「長期間(的)」と考えます。ある製品の需要が拡大し、生産量を増やしたいときには、投入する原材料と労働力を増加させます。ですから、人件費も材料費も可変費用であり、変動費です。
これが「短期間」の視点です。

需要がもっと拡大し、現有設備では生産が間に合わなくなった場合、設備投資を行って生産能力を増やします。設備投資を行うのは、生産量を拡大したいときだけではありません。生産設備が老朽化して故障が増えたり、生産能力が低下した時にも、生産力を維持するために行います。そして、その製品の需要が減少して売れ行きが落ちてきた場合には、維持的な投資も減少させたり投資そのものをやめたりします。

さて、設備投資と設備投資との期間よりも十分に長い期間、つまり「長期間」の視点で費用構造を見るとどう見えるでしょうか?生産量を拡大するためには設備投資を増加させます。生産量を一定に保ちたいときには、設備投資を一定に保ちます。生産量を減らしたいときには設備投資を減らします。つまり、数十年という長い期間で見た場合には、設備投資も生産量によって変化する費用なのです。そこで経済学では、長期的に見る場合には設備投資も「可変費用」であるとみなします。つまり、経済学でいう「可変費用」は市場を長期的に見るか短期的に見るかで、内容が異なってくるのです。短期的な視点では可変費用と変動費は同じものです。しかし、長期的に見た場合には「固定費用」はなくなり、すべてが「可変費用」になるのです。


(2)
会計の分野では、経済学でいう短期間の視点でしか費用を見ませんから、固定費は一定であり変動費が操業度に比例的に変化するので総費用は直線となります。
しかし、経済学の分野で総費用曲線を見ているときは長期的な視点で見ています。従って設備投資も生産量によって変化する可変費用になります。生産拡大のための設備投資をするのは、生産設備をその能力の限界まで使い切っても生産量が需要に追い付かない場合であると経済学では考えます。設備の能力の限界ぎりぎりまで動かすということは、これ以上スピードを上げるとモーターが焼付くギリギリまでモーターの回転を上げ、これ以上スピードを上げると工具が破損してしまうギリギリまで工具を動かすスピードを上げ、これ以上手を動かせないギリギリまでベルトコンベアーのスピードを上げ・・・、ということを行なうわけです。当然、故障が増えたり、製品の不具合による作り直しが増えたり、労働者のけがや疲労による生産効率低下が生じたりします。つまり限界可変費用が増加するわけです。その結果限界費用は直線的ではなく曲線的に変化することになります。これに設備投資が可変費用として取り扱われるので、総費用線が曲線になるのです。

3次曲線とは限りません。計算問題を作るのに、3次曲線だと簡単に解けるので、演習問題や例題で3次曲線を採用しているだけです。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。
すごい分かりやすい説明ですっきりしました!

お礼日時:2011/01/01 12:06

可変費用は、経済学で使う用語で総費用から生産量0の時費用を引いたものです。


変動費は、管理会計で使う用語で、費用のうちおおむね生産量(売上高)に比例する経費です。

費用曲線は、特に定義がありません。
 ただ、財務会計は誰でも使える経営分析ツールを提供しようとしますので、あまり複雑な数学が出ないように工夫されています。
 一方、経済学は、ある程度数学の知識がある人を前提とした学問なので、比較的現実に近い数式モデルを構築します。
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