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半導体レーザの発振条件は
Γg = αi+αm
Γ:閉じ込め係数
g:利得
αi:内部損失
αm:ミラー損失
と表され、
ミラー損失は
αm=(1/L)ln(1/R)
L:共振器長
R:ミラー反射率
となると大体の教科書には載っています。

ここで、?と思いました。
ミラー損失の反射率に関係した項はいいとして、共振器長に反比例するというのはどのような物理イメージを持てばいいものかと。。。
もしよい説明がありましたら教えて頂けないかと思います。

A 回答 (2件)

>ただ、この場合1/Lがあることで非常に長い共振器では内部損失の方が支配的になって、ミラー損失はほぼゼロとみなせる


共振器が長くなってもミラー損失による損失量は減りません。光が1往復して戻ってくる間に2つのミラーで必ず反射しなければならないので、反射による損失量そのものは同じです。一方、内部損失による損失量は共振器が長いほど大きくなります(これは直感として理解できますね)。

「損失」というのは長さあたりで定義されている量なので、それに経路長をかけて指数をとった量の逆数が減衰率になります。ですから、内部損失αiは定数なので共振器長Lが大きいほど減衰率は大きくなり、ミラー損失αmは共振器長Lが大きくなっても減衰率としては変わりません。(1/L)*ln(1/R)のLをかけて指数をとると 1/R で、その逆数は R ですから、この場合の減衰率は反射率そのもので、これはRが一定なら共振器長によらず一定です。

レーザの利得gも長さあたりの量で、これは内部損失と同様に、共振器長によらず一定なので、共振器長が長いほど利得そのもの(増幅率)は大きくなります(これも直感的には理解できるはずです)。したがって、レーザ全体で見ると、共振器長が長いほど、利得量と内部損失量は増えますが、ミラー反射率による損失量は変わらないので、割合で言うと、ミラー損失の寄与は小さくなります。逆に共振器長が短いほどミラー損失の相対的な寄与は大きくなります。

実際に端面反射率Rを変えたり、共振器長Lを変えた素子を作ってみると分かると思いますが(私は以前、半導体レーザ素子の開発をやってました)、反射率を高めるほど発振条件を満たす利得gが小さくて済むので、しきい値電流(発振開始電流)が下がります。しかし、共振器長のほうを変えたときの挙動は簡単ではありません。共振器長が短いほど利得そのもは減りますが、内部損失量も減ります。しかしミラーによる損失量は変わらないので、発振条件を満たす利得量は、共振器長を短くすればいくらでも下がっていくのではなく、ある一定量(ミラーによる損失量)未満にはなりません。したがって共振器長を短くするほどしきい値電流は下がりますが下限があります。この下限は反射率を高めるほど小さくできます。したがって、しきい値電流の小さい半導体レーザを作るには、共振器長を短くすると同時に端面反射率を高めます。内部損失αiと光閉じ込め係数Γも、しきい値電流に影響するので、αiをなるべく小さく(屈折率導波構造など)、Γをなるべく大きく(SCH構造など)します。ただし、反射率を大きくすると、しきい値電流は減っても出てくる光は減ってしまう(電流増加分に対する光出力の増加分の微分利得が低下する)ので、高出力レーザでは前方反射率を下げます(必要な光出力で動作電流が最小になる最適な反射率がある)。

この回答への補足

大変詳しい回答を有難うございました。
ようやくすっきりしました。

補足日時:2011/12/22 22:49
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損失というのは、光が単位長さ進むときの減衰を表わすものですが、光が距離 x だけ進んだときの光強度は exp( -α*x ) 倍になるという法則があります。

こときαを損失と定義します。α*x は無次元量でならなくてはならないので、αの次元は距離の逆数になります。ミラー損失も、その「損失」と同じ次元の物理量として定義すると 1/L がつくのです。以下のレーザ発振条件が理解できれば 1/L がつく理由が分かると思います。

光が半導体レーザの共振器内を1往復したとき(進む距離は 2*L)
(1) 内部損失によって光強度は exp( -αi*2*L ) 倍になる
(2) ミラー損失によって光強度は Rf*Rr 倍になる(Rf はフロント反射率、Rr はりア反射率)
(3) 媒質の光利得によって光強度は exp( Γ*g*2*L ) 倍になる
ので、レーザ発振する条件は、1往復してきたときの光強度がもとの光強度より大きくなることなので
   exp( -αi*2*L )*Rf*Rr*exp( Γ*g*2*L ) > 1
となります。この両辺の対数をとれば
   -αi*2*L + ln (Rf*Rr) + Γ*g*2*L > 0
   → Γ*g*2*L > αi*2*L - ln (Rf*Rr)
   → Γ*g > αi - {1/(2*L)}*ln (Rf*Rr)
   → Γ*g > αi + {1/(2*L)}*ln { 1/(Rf*Rr) }
特に、Rf = Rr = R のとき
   Γ*g > αi + {1/(2*L)}*ln ( 1/R^2 ) = αi + (1/L)*ln ( 1/R )
この (1/L)*ln ( 1/R ) をミラー損失αmと定義すると、αm = (1/L)*ln ( 1/R ) になりますが、R は無次元量なので、αm の次元は距離の逆数で、最初の「損失」と同じ次元になります。

この回答への補足

詳しい回答を有難うございました。
レーザ発振の条件はよく理解できます。

確かに次元を合わせるという意味では(1/長さ)がどこかにないと合いませんね。

ただ、この場合1/Lがあることで非常に長い共振器では内部損失の方が支配的になって、ミラー損失はほぼゼロとみなせると考えられそうですが、間違いではないでしょうか?

また、逆の場合の非常に短い共振器ではミラー損失は非常に大きくなるということになりそうですが、これはどのようなイメージを持てばよいかピンときません。
(この場合、式の上での話ということで納得するしかありませんでしょうか?)


もしよい説明がありましたら教えてください。

補足日時:2011/12/10 22:21
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