物権的請求権についての返還費用についてですが
他のサイトで回答をもらいましたが
改めて、問題を解くと更に混乱してしまいましたので
お願いします
事例
甲は立木を所有していたが、地震などによりその立木が
隣の乙の土地に転がってしまった
この場合に、甲としてみては返還請求権を行使できますが
その費用についてです
行為請求権においては、行為をした者ではなく、その相手方が費用を持ちます
乙持ちです
受忍請求権については行為を行った人が持ちます
甲持ちです
ここからが質問です
修正行為請求権説ですが
これは、原則甲持ちですが、不可抗力の場合には
甲持ちということですか?
また、この事例で乙も妨害排除を行えますが
甲の返還請求と乙の妨害排除が競合した場合は
どうなるのでしょうか?
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
貴方が設定している「甲の所有する木が乙の所有地内に倒れ」という事例で進めましょう。
★ 説明の前提
事例では甲の木が倒れて乙の土地に転がり込みましたから、転がり込んだ甲所有の倒木によって乙の所有権が侵害されたことになります。
乙の所有権が倒木によって侵害された原因が甲に責任があるためか地震台風など不可抗力に原因があるためかは問題になりません。問題なのは、甲の所有する木が倒れて乙の所有地に転がり込んだということです。
繰り返しますが、所有権を侵害されたのは乙であって甲ではありません。
★ 事例における物権的請求権
所有権を侵害されたのは乙ですから、乙は甲に対して妨害排除請求が出来ます。
ですから、貴方が「甲としてみては(倒木の)返還請求権を行使できますが」とし、さらに末尾で「甲の返還請求と乙の妨害排除が競合した場合はどうなるのか」と述べた疑問は設定自体が間違いです。なぜなら、乙の所有権を侵害したのは甲であって、乙が甲の倒木を奪ったわけではないからです。甲は乙に返してもらいたいという御願い以上のことは出来ません。
もし甲に物権的請求権(所有物返還請求権)があるとしたら、甲の所有物返還請求権と乙の所有物妨害除去請求権という二つの物権的請求権が正面から衝突することになりますが、占有権と本権がぶつかり合うことはあっても物権的請求権同士がぶつかり合うことはありません。もしそんなことがあったら、先に勝訴判決を得た者が得をする結果になりかねず、事例で甲が先に勝てば乙は所有権を侵害された上に敗訴し、判決内容次第では倒木返還費用まで負担させられかねないことになります。これは近代私法の原理ともいうべき衡平の考え方にもとります。
また二つの物権的請求権が衝突するということを認めると、乙の所有地内に甲の倒木があるという状態そのものが、乙が甲の倒木所有権を侵害している為だということになってしまうからで、事例からではどのような視点に立っても乙の所有地が甲の倒木を侵害しているという法的評価が出て来るはずがないのです。
それで、もし仮に甲に倒木の返還請求権があるとしたら、倒木を取り戻そうという甲の行為を乙が阻止するという積極的な行為をしたり、甲の御願いに対して乙が「俺の所有地に入った物は俺の所有物だ。俺の土地に入るな」とかなんとか言って甲に返そうとしない場合だけです。
ですから勉強時間の無駄遣いをしない為にもそのような場合は事例として取り上げるまでもないということで、貴方の設定の仕方は無視して消しゴムで消しましょう。
では、乙の行使する物権的請求権の内容がどのようなものかというと、これは二つ考えられます。
(1) 乙が、甲に対し「甲の責任(即ち、甲自身が行うか、甲が作業員などに頼んで行うか)で倒木を撤去しろ」と請求する方法。これは甲の積極的な行為を請求するので貴方の言葉で書くと、乙の甲に対する行為請求権です。
(2) 乙が、甲に対し「自分の土地内のことだから自分で撤去する。あんたは俺の土地内に立ち入るな。文句を言わず黙って見ていろ」と言う場合で、乙が自分の行う回復行為について相手方甲が受忍することを求めているに過ぎない場合で、貴方の言う乙の甲に対する受忍請求権です。
【考察】
事例における乙の物権的請求権が行為請求権を指すのか受忍請求権を指すのかは議論があり説が分かれますが、判例や多数説は行為請求権説に立っています。ただ多数説の中でも、甲に酷にならないように特別の考慮をすべきだと述べる説もあります。
以上、可能な限り簡便に書きましたが、次回は費用負担です。
毎回ありがとうございます!
書き方とか色々、不備があったりしましたので
今一度、回答くださったことをふまえて
出直してきます
でないと、何か申し訳がありませんので
また、初期段階の学習で学説問題は、余り踏み入れるべきではないの
かもしれません。
法学検定3級などのテキストも使っているので
どうしても学説問題の問題が多いです。
それよりもまずは理解力をお補いたいとおもいます
どうもありがとうございました。
No.1
- 回答日時:
254条を理解してくださるのを待っていましたが、どうにか理解してくれたようだという感触を得ましたので物権的請求権について答えます。
まず、感想からいいますが、254条に比べたらとんでもなく難しい問題に取り組もうとしていると感じます。というのも、物権的請求権は民法に直接の規定がなく、そのためでしょうか解釈が分かれているからです。従って「設問→正答」というような図式にはなりにくいのです。
また貴方がどのようなテキストを使用しているのか、どのレベルの勉強をしているかも不明なため回答方法に難儀します。どう答えていいか難儀するのです。
また使用するテキストがもし物品の取扱説明書やマニュアルのような「例示と解答」という方式のもので、しかも理論的説明がないものだとしたら、法律的考え方が涵養されにくいため例示以外の問題に対してお手上げになってしまうでしょう。「ちゃんと学ぶ。正しく学ぶ」という基本的勉強方法を全うしようとしたら法律学をテキストだけで正しく理解するのは至難です。でもお手伝いしましょう。
まず貴方の設問ですが、設問の設定の仕方が間違っていますので、答えようがないのです。それで学生に講義していた当時を思い出しながら至極簡便に物権的請求権の説明から始めていくことにします。
★ 物権的請求権が認められる理由
(1) 民法が198条から200条まで占有訴権を認めていること。
占有権は占有という事実状態を要件として法律効果を与えられる権利ですが、これは本権(所有権・地上権・永小作権・不動産質権)ではありません。占有権に訴権を与えたのだから本権に訴権を与えていないと解釈する余地はないこと。
(2) 202条が「占有の訴えは本権の訴えを妨げず」と規定していて、本権の訴えを予定していること。
(3) ロ-マ法以来認められてきたという沿革があること。
(4) 憲法が財産権を保障していること。保障しているのだから財産権の侵害に対する回復の権利を認めていると解釈すべきこと。
以上が物権的請求権を認める根拠ですが、(4)は私の理論です。
★ 物権的請求権の種類
占有訴権の三つの態様に倣って所有物の占有が奪われた場合の所有物返還請求権、所有物の円満な支配が妨害された場合の所有物妨害除去請求権、所有物の円満な支配が妨害される恐れがある場合の所有物妨害予防請求権の三つがあります。そもそも物権は物に対する直接の支配をその内容としていますから、内容を妨げる行為に対して対抗出来る権利がなければ排他性が否定されてしまいます。
今日はここまでにしましょう。次は貴方の設問に関連して説明しましょう。
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