法律初学者です。
会社法128条1項但書に関し、以下について、極めてやさしくご教示願います。
1.「自己株式の処分による株式の譲渡」の具体例
2.条文のとおり、「自己株式の処分による株式の譲渡については、この限りでない」となっている理由
(株券発行会社の株式の譲渡)
会社法128条:
株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じない。ただし、自己株式の処分による株式の譲渡については、この限りでない。
2 株券の発行前にした譲渡は、株券発行会社に対し、その効力を生じない。
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
>いただいた
>「株券不発行会社では
>A株主がB株主に株式を譲渡しても、
>株主名簿に新株主が記載されるまで
>効力自体が発生しません。
>(意思表示だけで効力が発生しないのが
>株式譲渡の特徴です。)」
>の効力とは、つぎのいずれに該当するのでしょうか
>(ア)「A株主からB株主への譲渡」についての効力
>(イ)「株券発行会社のAに対する株式の発行」についての効力
>(ウ)「株券発行会社のBに対する株式の発行」についての効力
(ア)です。
上記の「効力」の主体は株券(不)発行会社です。
念のため。
>2.会社法128条(下記)の「その効力を生じない」を「対抗できない」に変えると、
>「株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、対抗できない。
>ただし、自己株式の処分による株式の譲渡については、この限りでない。
>2 株券の発行前にした譲渡は、株券発行会社に対し、対抗できない。」になるのですが、
>これによって、原文の場合と、効果がどのように違ってくるのでしょうか。
まあ、これだと130条とかぶってしまいますが・・・
この場合、効力発生時点について、会社法に記載が無い以上、
民法の原則に従い、意思表示の時点となりますが、
1項の文も仮に「株券発行会社に対抗出来ない」としますと、
例えば、株式の譲渡日の意思表示が5月1日だったとすると、効力が生じている以上、
会社が6月1日に株主名簿に記載したとしても5月1日から株主であったことに
なります。
効果が遡及するというようなイメージではなく、
確定的に譲渡事実は発生しているので、遡及効すら必要なく、
株主であったことになります。
>3.会社法128条の
>「ただし、自己株式の処分による株式の譲渡については、この限りでない。」は、
>「ただし、自己株式の処分による株式の譲渡については、株券を交付しなくても有効だが、
>だからといって、
>「その事実(有効であること)を相手方(株券発行会社を含む)に主張できる」
>ことにはならない。」と解釈できるのでしょうか
これも、すごくいいポイントだと思います。
この場合、当事者たる株式会社には、主張出来ます。
(但し、第三者に主張出来るかどうかは微妙です。)
当事者である以上、130条には無理が出て来ます。
厳密に言うと、
この場合にも130条が無視されるわけではありませんので
適用不可能というわけではなく、
自己株式処分による譲渡であっても、株主名簿に記載されない限り、
株式会社には対抗出来ないとも考えられますが、
132条3項では、株主名簿への記載を義務付けておりますので、
まあ、株券の所持という証拠はありませんが、何か客観的な証拠があれば、
たとえ株主名簿に記載されていなくても、記載を怠った会社の責任ですので、
主張することは当然に出来ます。
No.4
- 回答日時:
色々と議論なされているようなので、私が回答するのも気が引けますが・・・
1はよさそうなので、2についてコメントします。
そもそも株券とは、株式会社の社員の地位を表彰する要式の有価証券のことですが、これは取引の保護のためです。大量の株式の流通を合理的に行うために、株券の交付によって譲渡することができるものとされ(会社法128条1項)、株券の占有者は適法の所持人と推定され(131条1項)、株券の占有には資格授与的効力が認められます。
しかし、反面株主は株券を紛失すると、善意取得(131条2項)によって他のものに権利を奪われてしまう可能性があります。そこで会社法は株券の所持に伴う危険を回避し、株主の静的安全を保護するために、株券不所持制度(217条)というものがあり、株券発行会社であったとしても、必ずしも株券が発行されているあるわけではありません。
よって、譲渡される人が株券不所持制度を希望する場合に、わざわざ株券を交付した後に、株券の無効手続きをするのも面倒ですし、そもそも株式会社の自己株式の譲渡しであるならば、株券が無くとも適法の所持人である可能性は極めて高いですから、「自己株式の処分による株式の譲渡については、この限りでない」となっているのでしょう。
No.2
- 回答日時:
>「その株式会社本人が自ら株式を譲渡しているのですから
>株券交付の有無は効力発生の問題ではなくなるので除外される」
>におきまして、「効力発生の問題」と「対抗力」が同じように思え、
>区別がつきません。
すごくいい質問だと思います。
(いつもえらそうですみません。)
一番簡単な区別としては、
効力とは取引の当事者同士の間で発生するもので
対抗力とは第三者に対する関係で発生するもの
です。
実際のイメージですが、恐らく法律を勉強する上で、
必ず自分なりのイメージを持っていなければならない部分
だと思います。
特に対抗力の他にも順位保全効というのが出て来たりすると、
もうイメージが出来なかったりします。
なお、区別が出来ないということは、
民法をあまりやってらっしゃらないと推測しますが
焦らず民法を先にある程度やっておいたほうが
良いのかも知れません。
(なにか事情があって
会社法のみをやってらっしゃるのであれば
別ですが・・・)
以下イメージです・・・
効力の発生は、社会的確定的事実の発生
というイメージです。
例えば、AがBに「土地をあげるよ」と言った場合
意思表示の効力が発生します。
「土地を譲渡する意思を明確にする」という事実は
社会的にはこれで確定しています。
またBが、「じゃあ土地を貰うよ」と言った場合
売買の効力が発生します。
AとBの二人の意思が合致したという事実が
社会的にはこれで確定します。
難しいのは、所有権移転の効力まで発生するところです。
民法上は、
AとBの二人の意思が合致した以上、
権利の変動の事実も発生したことに
なるのです。
これに対して、対抗力とは、
社会的確定的事実の公的な証拠及びその証拠能力
というイメージです。
例えば、AがBに「土地をあげるよ」と言った後、
更に、Cにも「土地をあげるよ」と言った場合には、
どちらの場合でも、相手が「貰う」と言うことで
売買の効力が発生するのですが(二重譲渡)
公的には証拠がありませんのでお互いに対抗力が
無い状態です。
そこで、Bが土地が自分のものであるという登記をした場合
対抗力が備えられ、Cにも対抗出来るようになります。
土地がBのものだという公的証拠があるので、
Cは勝てなくなるのです。
株式の例では、
株券不発行会社では
A株主がB株主に株式を譲渡しても、
株主名簿に新株主が記載されるまで
効力自体が発生しません。
(意思表示だけで効力が発生しないのが
株式譲渡の特徴です。)
株券発行会社では
A株主がB株主に株券自体を譲渡すれば、
株主名簿に新株主が記載されなくても
効力が発生するのです。
しかし、株式会社には対抗できないのです。
会社にとって公の証拠とは自分が管理する株主名簿
だからです。
この回答への補足
以下につきご教示いただきたく、よろしくお願いいたします(知識その他が不足しており、的外れなものかもしれませんが、ご了承願います。)。
1.
いただいた
「株券不発行会社では
A株主がB株主に株式を譲渡しても、
株主名簿に新株主が記載されるまで
効力自体が発生しません。
(意思表示だけで効力が発生しないのが
株式譲渡の特徴です。)」
の効力とは、つぎのいずれに該当するのでしょうか
(ア)「A株主からB株主への譲渡」についての効力
(イ)「株券発行会社のAに対する株式の発行」についての効力
(ウ)「株券発行会社のBに対する株式の発行」についての効力
2.会社法128条(下記)の「その効力を生じない」を「対抗できない」に変えると、
「株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、対抗できない。ただし、自己株式の処分による株式の譲渡については、この限りでない。
2 株券の発行前にした譲渡は、株券発行会社に対し、対抗できない。」になるのですが、
これによって、原文の場合と、効果がどのように違ってくるのでしょうか。
3.会社法128条の「ただし、自己株式の処分による株式の譲渡については、この限りでない。」は、「ただし、自己株式の処分による株式の譲渡については、株券を交付しなくても有効だが、だからといって、「その事実(有効であること)を相手方(株券発行会社を含む)に主張できる」ことにはならない。」と解釈できるのでしょうか
記
会社法128条:
株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じない。ただし、自己株式の処分による株式の譲渡については、この限りでない。
2 株券の発行前にした譲渡は、株券発行会社に対し、その効力を生じない。
回答いただき、誠にありがとうございました。
「すごくいい質問だと思います。」→ありがたく存じます。
「いつもえらそうですみません。」→とんでもございません。感謝いたす限りです。
「民法をあまりやってらっしゃらないと推測しますが
焦らず民法を先にある程度やっておいたほうが
良いのかも知れません。」
→アドバスいただき、ありがとうございます。
実は、民法も一応やりましたが、身についていないのが現状です。
回答者等のおかげで、大いに助かっています。
なお、後ほど、補足にて質問させていただくかもしれませんが、その際、ご返答いただければ幸いに存じます。
お忙しい中誠に恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
No.1
- 回答日時:
まいどですね。
>1.「自己株式の処分による株式の譲渡」の具体例
例えば、A株式会社がBさんから株式を買い取ったとします。
この場合、A株式会社がA株式会社の株主になるので、
自己株式の状態です。
この株式をCさんに売った場合には、株券を交付しなくても
売ったことになります。
この「Cさんに売る」という行為が
「自己株式の処分による株式の譲渡」
になります。
>2.条文のとおり、
>「自己株式の処分による株式の譲渡については、この限りでない」
>となっている理由
株式の譲渡は、取得者の氏名等を株主名簿に記載しなければ、
「会社その他の第三者」に対抗できません。(130条1項)
そして株券発行会社でも、取得者の氏名等を株主名簿に記載しなければ、
「会社」には対抗できません。(130条2項)
結局、株式会社にとっては、株券の保持者が株主なのではなく、
株主名簿に記載されているものが株主なのです。
そこで、ご質問の条文の場合には、
その株式会社本人が自ら株式を譲渡しているのですから
株券交付の有無は効力発生の問題ではなくなるので
除外されるのです。
この回答への補足
いただいた「その株式会社本人が自ら株式を譲渡しているのですから株券交付の有無は効力発生の問題ではなくなるので除外される」におきまして、「効力発生の問題」と「対抗力」が同じように思え、区別がつきません。
これにつきご教示いただきたく、よろしくお願いいたします(知識その他が不足しており、的外れなものかもしれませんが、ご了承願います。)。
回答いただき、誠にありがとうございます。
お陰さまもちまして、大筋理解できたものの、納得するには至っておらず、したがいまして、後ほど、補足にて質問させていただくかもしれませんが、ご返答いただければ幸いに存じます。
お忙しい中誠に恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
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