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刑法を勉強しはじめた者です。
刑罰法規と構成要件という言葉でこんがらがっています。
両者はどう違うのですか?

よろしくお願いします。

A 回答 (1件)

刑罰法規とは通常はそのものずばり刑罰を内容とする法規のことです。

ただ、質問の趣旨からすると、刑罰を定める条文のことでしょう。
一方、(犯罪)構成要件とは、簡単に言えば、刑罰を定める条文を解釈して得られる「犯罪となるべき行為の基準となる枠組み」のことです。
ちなみに(犯罪)構成要件は犯罪成立要件とは違います。犯罪成立要件は、(1)行為性、(2)(犯罪)構成要件該当性、(3)違法性阻却事由の不存在、(4)責任阻却事由の不存在の四つ。犯罪の定義が「構成要件に該当する違法かつ有責な行為」というのはまさに成立要件を記述したものです。もっとも、行為性は実用的にはあまり意味はありません。

条文はどうしても一般的抽象的にならざるを得ないので解釈で意味を補充しないといけないことがよくあります。その解釈の結果としてそれぞれの犯罪ごとに必要な条件を類型化したのが構成要件だと思っていれば大体合ってます。

窃盗罪を例を挙げて考えてみます。窃盗罪の条文は次の通り。

・他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

ここで「窃盗の罪とし~」以下の記述は、法律効果としての罪名及び発生する国家刑罰権の内容、範囲を定めているだけなので、構成要件とは関係ありません。
構成要件と関係あるのは「他人の財物を窃取した」の部分です。条文の文言はまさしく「他人の財物を窃取した」だけです。しかし、これだけでははっきり言って基準として抽象的すぎます。そこで解釈によってその範囲を明確にする作業をします。その結果として明確になった基準が構成要件です。

なお、構成要件を考えるに当たって、あくまでも条文解釈なのですからまずは条文の文言に即して考えます。時々、条文が全てではないとか言って条文に「反する」ようなことを当然のように主張する頭のおかしなのがいますけど。全てではないのは確かですが、基本はあくまでも条文ですから条文に「反する」というのは非常に特別。まあそういうおばかさんに限って条文まるで読んでいませんけどね。このサイトで回答している連中も多くは条文すら読んでないのが丸判りだったりしますが。条文すら読まない奴と条文しか読まない奴ばっかりです。

閑話休題。

一応、判例通説に従って書きます。

まず「他人の」とは何か。簡単に言えば、「行為者以外の者が占有している」ということです。「他人」が「行為者以外の者」なのは単なる言い換えで当然なのですが、「の」というのは「占有している」という意味になります。理論的には、窃盗罪の保護法益論の争いがあるのですが、そういう話は省略。そして、「占有している」とはどんな状態かと掘り下げていかないといけないのですが、長くなるので省略。
次に「財物」とは何か。簡単に言えば、「客観的または主観的に積極的または消極的な財産的価値がある有体物」ってことです。この話もまた非常に長いので大雑把に言えば、「有体物」だから「情報」は該当しないとか、「財産的価値」が必要だから「ちり紙一枚」は該当しないとか、「主観的」でも良いから個人的な思い入れがあるだけの物でも該当するとか、まあ色々あります。後は自分で刑法各論の教科書を読んでください。
更に「窃取した」とはどういうことか。これは、「占有者の意思に反して占有者の占有を排除して自己または第三者の占有に移すこと」です。本来の「窃取」というのはこっそり盗ることなのですが、堂々と盗っても構わないというのが判例。これも「占有者の意思に反する」とはどのような場合かとか「排除し」たと言えるのはどんな状態かとか色々話があります。
加えて「不法領得の意思」が必要と考えるのが判例通説。不法領得の意思というのは、大雑把に言えば、自分の物にしようと考えること(正確にはもっと細かいです。)。なぜこのような条文にない要件が必要かといえば、毀棄罪(器物損壊罪など)との区別のためです。
最後に「故意」ってのもあります。これは刑法の総則規定で38条1項本文に「罪を犯す意思がない行為は、罰しない。」とあるので、原則的には全ての犯罪に共通です(過失犯は例外ですので念のため。)。

とまあこんな感じで条文の文言の意味するところを解釈して犯罪となるべき行為を判断する基準となる枠組を確定するのですが、この枠組みが構成要件ってことです。

きちんと説明すると恐ろしく時間もかかるしとてもこんなところの回答では書き切れないのでこれ以上の話は教科書を読んでください。

以上
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この回答へのお礼

ありがとうございました!

お礼日時:2015/04/17 11:58

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