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高分子の分野の特性比について最近習いました。 平均二乗末端間距離を回転異性状態モデルを使って求めるとこまでは理解していたのですが、最後に特性比というものが出てきてよく分からなくなってしまいました。 高分子鎖の大きさを議論するときに特性比Cを用いるそうですが、特性比を見れば何が言えるのでしょうか?実際の高分子鎖の状態などを絡めて特性比の物理的意味をどなたか教えてください。
手持ちの教科書といくらにらめっこしても分からず……
自由連結鎖の特性比が1になるのもよく分かりません。
お恥ずかしい質問かもしれませんがよろしくお願いします。

A 回答 (3件)

ご質問に<自由連結鎖の特性比が1になるのもよく分かりません>というのもありましたので、少し追加します。



自由連結鎖は文字通り、ボンドに方向性のない自由な結合の仮想的な高分子の事を言います。エチレン分子ではボンドに方向性はありませんが、結合角が束縛されているので、自由連結鎖より大きな体積を占める事になります。最も大きさの小さい仮想的な自由連結鎖を基準に特性比Cを定義しているので自由連結鎖の特性比Cは1ということになるのです。

自由連結鎖の平均の長さ(大きさ)は、初等的なベクトル代数学で簡単に計算できるので、No1の方の答えを参考にしながら、是非勉強してください。
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特性比を理解するためには、まず有機化学で学ぶNewman図形を理解しなくてはいけません。

最も簡単なエチレン分子CH3ーCH3で考えると、CーC結合の周りの回転の際に障害になるのは、異なる炭素に付いたH同士の反発ですが(立体障害)、エチレン分子の場合、これがCーC結合の周りの(360度の)回転にたいして丁度120度毎に配置されているため対称形になっており、回転によって方向性に偏りが生じず結果的に”自由回転”と同じ性質を持っているわけです。

さてこの結果をポリエチレンーCH2ーCH2ーCH2ーCH2−に拡張すると、今度はそれぞれの水素原子の一つがそれぞれ骨格のーCH2に置き換わるため、回転に異方性が生じます。すなわち、ーCH2置換基同士の反発が最も大きいので出来るだけこれらの反発を避け、これらが遠くに離れた配位をとるように調節が行われる事になります。この”出来るだけ遠くに離れた配位をとる”という調節作用のために鎖は長くのびようとする傾向が出てきます。言い換えると、実際のポリエチレン鎖は当然のことながら3次元空間に存在しているので(長くのびるというよりも)膨張する傾向になります。従って完全に自由回転を仮定した配位よりも高分子鎖は膨張する事になります。これがご質問の特性比Cの起源です。

一方、個々のCーC結合の周り回転障害のみを考慮に入れると、高分子鎖は膨張するけれども、その大きさは単純に自由回転の鎖の大きさに特性比を乗じただけの数値になることが分かっています。しかし、すぐに分かるように、立体障害はすぐ隣の置換基同士の反発だけでなく、その次の置換基、更にまたその次の置換基との相互作用、というようにこの種の相互作用が際限なく続くことが考えられます。従って特性比Cは高分子鎖の長さ(重合度)に従って増大してゆくのではないかという着想が浮かぶことになるわけです。この現象はすでに実験によって証明されており、排除体積効果と呼ばれているものがそれです。

しかしそれでは特性比Cは高分子の種類によって異なり、高分子鎖の重合度によっても変化してしまい学問上の定義が出来ないので、高分子鎖を少し圧縮し丁度特性比Cが重合度によって変化しない点を基準にとる事になったのです。この点はTheta点と呼ばれており、溶媒を変えたり、高分子の濃度をあげる事によって、この(理想的な)状態が実現できる事が分かっています。これらの基本的な着想は主にFloryよってなされました。
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この回答へのお礼

詳細なご回答ありがとうございました。
低分子の化学にはない様々な要素があり難しく感じますが同時に面白くも思います。
まだまだ高分子については勉強が足りませんのでしっかり学んで行こうと思います。

お礼日時:2015/05/25 23:23

まず、高分子鎖の末端間距離と平均二乗末端間距離に付いて考えます。



高分子鎖はn個の鎖の単位からなるとし、それに1,2,3,・・・nの番号を付け、
それぞれを長さbで方向の異なるベクトルbiで表わします。
そうすると、高分子鎖の始点と終点を結ぶベクトルRは
R=b1+b2+・・+bn   となります。

このRは色々な方向を向くことができるので、平均はゼロになります。
そこでゼロにならないRの2乗(R^2)の平均(<R^2>)を考えます。
R^2= (b1+b2+・・+bn)( b1+b2+・・+bn)
=b1^2+b2^2+・・・+bn^2 + ΣΣbi・bj
= nb^2 +ΣΣbi・bj
2重和ΣΣはiとjのi ≠ j で無い物に付いて取ります。

これの2乗平均は
<R^2>= < nb^2 +ΣΣbi・bj> = nb^2 + <ΣΣbi・bj>
となります。

自由連結鎖、ベクトルbiとbi+1の連結に何等の制限も無い鎖では、
biとbjの方向に相関が有りませんから、平均<ΣΣbi・bj>は当然ゼロと
成ることが期待されます。
つまり、<R^2>= nb^2  です。

しかし、現実の鎖では結合角や内部回転角の制約が有ります。
それで、<ΣΣbi・bj>はゼロとならず、ある値を取ることになります。
この値は、鎖単位biとbi+1間の制約が強い程大きくなります。
例えば、全ての鎖単位が直線状に繋がっている完全棒状分子では
<R^2>= nb^2 + (n^2 – n)b^2 = n^2・b^2 となります(最大値)。

それで、高分子鎖の屈曲性の目安として「特性比、Cn」を次の様に
定義します。
Cn = <R^2>/<R^2>o
<R^2>o は自由連結鎖の平均二乗末端間距離でnb^2 です。

いま着目している高分子鎖が自由連結鎖なら、
Cn = <R^2>o/<R^2>o = 1 となります。

Cnはどれだけランダム(自由連結)に近いかの目安となっています。
実際の高分子に付いての例は次のURLを見てください。
http://gozips.uakron.edu/~mattice/ps674/ctable.h …
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この回答へのお礼

大変詳しいご説明ありがとうございました。もう1度ご回答と照らし合わせながら勉強します。 まだまだ高分子について学習が足りていないことを痛感しました。ありがとうございました。

お礼日時:2015/05/24 11:26

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