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男は遺伝子を残すことが存在理由である。
 だから、女をとっかえひっかえ関係を持ちまくり、時にはレイプもし、女を搾取する。
 これが生物学的に正しい男の姿である。

 はい、もちろんこれは間違いです。
 理由を説明します。

【登場人物】

プレイボーイ
「面倒くせー女は苦手だぜ。俺、実施主義なの。わかる?」
 メスに出会うといきなりくどく。交尾のことにしか興味がない。交尾を終えると、すぐに別のメスを探して同じことをする。交尾をしぶるメスは、ぱっぱとあきらめ別のメスを探す。交尾マシーン。


貢クン
「繁殖は根気よく計画的に。」
 メスを口説く前に、子育てに必要な巣を作る。交尾をしぶるメスには根気よく口説き、色々とプレゼントする。子供が生まれたら成人するまで、子育てを一緒にサポートする。そして子供が一人前になってから、次の交尾に移る。

 ジョン・メイナード・スミスという進化生物学者は、この2つのキャラでシミュレーション・ゲームを作ってみた。
 このどちらが、より多くの子孫を残し、遺伝子を残すのに有利であるか? と。

 言うまでもありません。
 プレイボーイの圧倒的大勝利でした。
 貢クンは子孫を残すのに効率が悪すぎるからなんですね。
 貢クンが巣を作ったり、根気よく口説いたり、子育てをサポートして、時間をロスしまくっているうちに、プレイボーイはパコパコ交尾して子孫を増やせるわけですから。

 しかし、ドーキンスは、このモデルは欠陥があるという。
 それは、このモデルはオス視点からしか、ものを見ていないということです。
 ドーキンスは言う。
 多くの場合、メスは繁殖において生物学的には搾取される側にある。
 胎内に赤ちゃんや卵があるうちは、栄養を取られ、体力を使い、身体に変調をきたす。
 出産の後は、今度は子育てです。
 これに対し、オスは遺伝子の半分を提供するだけ。
 メスの方ばかりに、一方的にコストが偏っている。

 となると、メスのほうも、オスに対抗して戦略を練る必要がある。
 繁殖に必要なコストの一部をオスにも支払って貰おうというわけです。
 ドーキンスは言います。
 この場合、メスが最初に行う戦略は、交尾には簡単には応じないことである、と。
 となると、オスはメスに交尾に応じて貰うために、これまた戦略を練る必要が生じるわけです。
 それはまず、根気よく口説くことに始まり、メスにプレゼントをし、巣のような子育てに必要なお膳立てをしてこれをメスに見せ、子育てを手伝う約束をし、何とかこれに応じて貰おうと。

 そこで、ジョン・メイナード・スミスは、このシミュレーションに新しいキャラを用意します。
 それはメスのキャラも2種類に増やすことです。

【登場人物】

安売り娘
「リア充になれるんなら、この際、相手は誰でもいい!」
 オスに口説かれると無条件で交尾に応じる必死系。


高売り娘
「やっぱ、甲斐性のある人じゃないと心配ですよねー。」
 口説かれても簡単には交尾には応じない。子育てに必要な巣を持っていることが、付き合いに応じる最低条件。じらしまくって、オスからいろんなプレゼントを巻き上げてから、交尾に応じる。

 スミスは、以上のプレイボーイ、貢クン、安売り娘、高売り娘の4種のキャラをランダムで出会わせるようにして、繁殖シミュレーション・ゲームをやってみた。
 結果は非常に興味深いものでした。

 最初は、プレイボーイと安売り娘が凄い勢いで数を増やした。
 貢クンは巣作りや口説きでモタモタ時間をかけているうちに、プレイボーイはパコパコ交尾をしまくり、子孫を増やした。
 プレイボーイは、高売り娘と接触しても「面倒臭せえ女は苦手だぜ」と、すぐにあきらめ、別のメスを探す。そして安売り娘を見つけては交尾します。時間を無駄にしない効率の良いやり方です。

 すわ、群れはプレイボーイでいっぱいになるのか?
 ところがぎっちょん、貢クンは着実に反撃の準備を整えていたのです。
 貢クンは高売り娘との間に着実に子供をもうけ、子孫を増やして行った。
 やがて、第二、第三、第四世代の貢クンが一人前になって、交尾の相手を探し始めると、状況は変わった。

 そう、単純な算数です。
 プレイボーイは高売り娘には相手にされないので、安売り娘との間にしか子孫を残せません。
 しかし、貢クンは高売り娘と安売り娘の両方の間に子孫を残せるのです!
 
 つまり、短期的にはプレイボーイが有利だけど、長期的には貢クンが有利なのです。
 貢クンは、ゆっくりと群れを蚕食し始め、ついにはプレイボーイを追い抜いて、その数が逆転してしまうのです。
 そして、貢クンが多数派となった形で群れの比率は安定した!
 スミスは何度もコンピューターで、このシミュレーションを繰り返しましたが、結果は同じだったのです!

 生物界においては、オスがメスの子育てをサポートする例が大量に見られる。鳥が顕著な例ですね。
 長らく生物学者達は、これを群淘汰説、つまり「種の保存」のためだと考えてきた。
 しかし、この群淘汰説には大きな問題がある。知能を持たない繁殖マシーンが、どうして「種の保存」と言う発想にたどりついたのか?
 その説明がつかなかったのです。
 しかし、上記のスミスのゲーム理論でもってすれば、綺麗に説明がついてしまう。
 また、貢クンが多数派であっても、プレイボーイは絶滅せずに少数ながら存在し続けている理由も、これで綺麗に説明がついてしまう。

 つまり、貢クンが現れた理由は、種の保存のためではなく、プレイボーイとの種内競争に勝利するための戦略だった。
 これが群淘汰説を批判したドーキンスの利己的遺伝子仮説だったわけです。

 もちろん、「種の保存」の概念自体は、決して否定はされない。
 例えば、群と群との競争が起こった場合、「プレイボーイばかりの種」よりも、オスが繁殖をサポートする「貢クンのいる種」のほうが生存に有利に決まっています。
 しかしそれは、いわばボーナスのようなもので、貢クン登場の本当の理由は、種の保存のためではなく、種内競争にあったというわけです。

 これがご存知「利己的遺伝子仮説」なわけであります。
 これは還元するならば、生物の本質は遺伝子であって、生物の身体はいわば遺伝子の乗り物にすぎない、というわけです。
 生物が身体を構成するために遺伝子を作ったのではなく、遺伝子が自分の子孫を増やし残すために身体を作ったというわけです。
 こう考えるのなら、例えば哺乳類に広く見られる「子殺し」のような群淘汰説では説明の出来なかった現象も、あっさり説明がついてしまうのです。
(ただし、「子殺し」が有利なのも、あくまでオス視点からの話です。メスの遺伝子にとっては全く不利になるので、メスは抵抗する。ゆえにこれは生物全体を見渡すと稀な現象に留まっているのです。)

 ただ、ここで注意しなければならないのは、こうした「利己主義」というのは、生物学上の話であって、道徳の議論とは、まったく別物なのです。
 ドーキンス自身も認めている通り、人間は遺伝子の命令に逆らえる稀有な動物であり、まさにこれこそが人間の尊厳なわけですから。
 ドーキンスは今になって、誤解をさけるために「利己的遺伝子仮説」ではなく、「遺伝子主体仮説」とでもすれば良かったんじゃないか、とも言っていますが、多分それではこの学説が、これほど世界中から広く注目を集めることはなかったでしょう。
 「利己的な遺伝子」というインパクトがあったからこそ、でしょうねえ。


『利己的な遺伝子』 R・ドーキンス
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4314010 …





PS
スミスのゲーム理論とは別に「繁殖コスト」の問題もあります。

コストの高い順をまとめますと。

安売り娘>高売り娘>貢クン>プレイボーイ

安売り娘は出産という肉体的コストと子育ての労働コストを全額自己負担<しなければならない。
高売り娘は肉体コストはどうにもならないけど、子育てを貢クンに手伝ってもらえるので労働コストを軽減できる。
貢クンは子育てを手伝い、労働コストの一部を支払わなければならない。
プレイボーイは、コストはゼロ。

こうなると、一見プレイボーイが得をしているように見える。
しかし、
例えば食料不足や病気の流行、天敵の登場といった事態になると、一番コストを多く支払っている安売り娘が最初に淘汰されてしまう。
メス間の競争では、高売り娘が有利なんですね。

そして、安売り娘が淘汰されると、その直撃を食らうのがプレイボーイなわけです。

こうして、群れはますます貢クンと高売り娘に有利に動いてゆくことになる。

A 回答 (6件)

ってか、カテゴリ見たら「恋愛相談」なんだけど、


どうゆう論点なんだろ?
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なげぇww



とりあえずQAサイトでやるネタじゃねーな。

よそでやれ。
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>>男は遺伝子を残すことが存在理由



これは結果的になことで、もっと煎じ詰めれば
「生物は進化するために生きている」

ですよ。進化するためには優秀な遺伝子を残すこと。
ブスは結婚できない、巨乳はモテる。美人はモテる。
愛嬌のいい女はモテる。 チンチンが大きい男はモテる。
優しい男もモテる。スポーツ男子はモテる。 頭がいいオトコもモテる。
モテる=イコール=優秀な遺伝子を持っている証左です。
すべては進化のため。異性の優秀な遺伝子を本能的に選択しているからです。

私たちはみんな優秀な遺伝子の子供、孫、ひ孫、なんです。
100年前の人間よりもほんの少し進化してるんです。
そして、100年後の人間はまたさらに進化している。
なぜならモテる男女はエッチできて、モテない男女はエッチできないからです。
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面白い見解ですね。



ですが、貢くんと高売り娘との間に生まれる子供は、遺伝子を克服した人間においては、必ずしも貢くんか高売り娘ではないはずです。ここはどう説明しますか?
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シロートですが、好きな分野なので興味深く読ませていただきました。



親が貢クンの方が、危険から守ってもらえたり、充分な栄養を得られたり、人間なら高い教育を受けられるだろうから、優秀な子孫が残って増えそうですね。
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妄想を膨らます事も時には大事なのかな、と思いました。


また、意見を述べたいのであればもっと他でやれば、とも思いました。
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