■専門店との価格差が大きい調理器具やファッション雑貨
100円ショップの商品の中でも、特に雑貨店や専門店と比べて値段の差が大きいのはどのような商品なのか。
「ザルをはじめとし、調理器具や食器類の価格差は大きいですね。他にもポーチ類、帽子、ハンカチなどのファッション雑貨や、文具類などのアイテムも大きな価格差があります」(富本さん)
調理器具やファッションアイテムなどは、100円ショップで購入しているという人には朗報であろう。
「ザルなどの調理器具選びに関しては、おそらく『国産、もしくは製品に定評のある国による商品』や『職人が手掛けた商品』、『信頼のあるメーカーによる製造』など、製品を作る際の背景も重要となってきます」(富本さん)
専門店の商品は、製品を作る際の行程や、産地などにもこだわりがあるという。
■値段の違いはデザイン性やブランド力にあった
そもそも、なぜ100円ショップの商品と他の専門店とは価格帯が大きく異なるのだろう。普段から感じていた疑問を富本さんに投げかけてみた。
「コーヒーで例えると分かりやすいです。おしゃれなカフェやこだわりの専門店が出すコーヒーが雑貨店の商品、ファストフードやコンビニで買えるコーヒーが100円ショップの商品だと考えてください。同じ商品でも、素材や店内の雰囲気なども含め、全く質が異なります」(富本さん)
雑貨店や専門店は、商品そのものだけでなく、店内の雰囲気づくりからこだわっている。
「雑貨店や専門店の商品は、新規性やブランド力、デザイン性など、さまざまな理由で100円ショップよりも高い値段設定がされています。また、仕入れの開拓や接客、ラッピングやディスプレイにも手間が掛けられています。お客さんから見ても専門店などの商品は、新規性や特別感のある商品に映るでしょう。100円ショップの商品とは違い、個性や自分らしさを演出するアイテムにもなりますし、プレゼントなどにできるのも大きいです」(富本さん)
専門店と100円ショップでは、似たような商品だとしても、素材やデザイン性などで大きな差がある。購入する側としても、オリジナリティや特別感を求めて専門店で購入するケースがあるという。
■100円ショップと専門店を使い分ける
結局、100円ショップと専門店では、どちらで商品を購入するのがよいのだろう。富本さんの目線で、率直な意見を聞いてみた。
「私は雑貨店やライフスタイル店のコンサルティングをしている仕事柄、安さだけを理由に商品を買うことはありません。 納得できる価格であれば、多少高かったとしても、100円ショップで買わずに、雑貨店や各専門店で買いたいと思います」(富本さん)
やはり専門店の商品は、素材やデザインなどを含め、高価であったとしても購入する価値があるものが多い。だが、100円ショップの商品にも優れたものがあると富本さんは続ける。
「最近はデザインや質にこだわった商品を100円ショップでも扱っていたり、マスコミでも100円ショップが大変話題になっています。個人的には人に見られない場面で使うものや、自身のこだわりがないもの、掃除用品などの消耗品などは100円ショップの商品を購入します。また、押入れの中で使う収納グッズや小さい子供が気まぐれに欲しがる学童用品、シンプルなクリアファイルなどの文具やハンドメイドやDIY素材、そういったものも個人的におすすめします」(富本さん)
他人に贈るプレゼントや人目に触れることが多いものに関しては、やはりデザイン性などが優れた専門店の商品が適している。しかし、頻繁に買い換えるものや消耗品などは、値段の面で優れた100円ショップの商品で揃えるのもよいだろう。場面と自身のこだわりによって、使い分けたい。
●専門家プロフィール:富本雅人
雑貨ビジネス専門コンサルタント。雑貨ビジネスコンサルティングの草分け。9大手小売企業から個人の小規模な雑貨店などに対して開業、経営指導を行う。講座「雑貨の学 校(R)」主宰。著作に第13刷を超える「はじめる雑貨屋さん」や「雑貨力(R)」がある。