取引をいくら繰り返しても安定した利益を上げられるようにならなければ、収支は改善しない。FXトレーダーが安定して利益を上げられるようになるまで、はじめてからどのくらいの時間を要しているのか気になるところ。この疑問を解消するため今回も、FXを中心とした投資に関する情報発信メディア「ナビナビFX」編集部の佐藤真奈美さんに話を聞いてみた。
■FXをはじめて利益が安定するまでの期間は?
はじめてすぐに儲かるとは思っていない。しかし、どの程度の期間があれば、利益が安定してくるのだろうか。
「私たちが調査した結果、安定して利益を上げられるようになるまでに、『2~3年程度』かかっているトレーダーが13.3%ともっとも多く、その次は『1年程度』の12.8%でした。そのため、個人差はあるもののFXで安定して利益を上げられるようになるまでには、2年はかかると思っておいたほうがよいでしょう」(佐藤さん)
感覚を得るのに、数年は要するようだ。また、その間継続するための資金も必要だという。
「期間中、ある程度の回数取引を続けられる資金的な余裕がない場合には、FXで安定して利益を上げるのは難しいかもしれません」(佐藤さん)
ある程度とは、どのくらいの金額を指すのだろう。
「トレードスタイルや方針によっても変わるので決まった金額は明確にはありません。しかし、個人であれば数千円ではじめるよりは5万円~10万円くらいは準備してはじめられるほうが、選択肢の幅も広がるはずです」(佐藤さん)
金額いかんによって、許容できる損失の額が変わってくると佐藤さんは教えてくれた。
■安定収入まで時間がかかる、その理由とは
なぜFXで利益を上げようと思うとそれほど長い時間がかかるのか。
「安定して利益を出せるようになるには、経験を積むほかありません。もちろん事前の座学的な学習も重要です。しかし、座学や勉強、セミナーの内容を反復するだけで利益を出せるようになるかというとそうではなく、実際の取引でないと習熟できないこともあります。その代表例が、感情のコントロールです」(佐藤さん)
感情のコントロールとは、具体的にどのようなことなのだろう。
「代表的な事例として、損切りの判断があります。相場が自身の思惑とは逆に動いたときに、損失を最小限にとどめるために損を確定させ決済することです。これを的確に行うには、知識の蓄積だけでは不十分でしょう。頭では損切りをしなければならないタイミングと分かっていても、感情をコントロールできずにズルズルとポジションを持ち続け損失を拡大させてしまうケースが、投資初心者の人に多くみられます」(佐藤さん)
こうした感情のコントロールは、実際に取引を繰り返して、経験を積むことでしか学べないFXの本質的な部分とのこと。こうした実際の取引で学ぶことに、多くの時間がかかるのだ。
■4割程度のトレーダーが半年程度
一人前のFXトレーダーになるには、ある程度の時間が必要ということは理解できた。しかし、もっと早く利益を上げられるようになる場合はないのだろうか。
「40.6%のトレーダーは、半年以内に安定して利益を上げられるようになったと回答しています。おそらく彼らは、スキャルピングやデイトレードといった短期取引をしているのでしょう。同じ半年でも、一日に何度も取引をするようなトレードスタイルと、ポジショントレードのように数か月に一度取引するようなトレードスタイルでは、取引をする回数が異なります。より多くの取引をする短期取引であれば、PDCAサイクルを早く回すことができ、経験の蓄積を早めることもできるでしょう」(佐藤さん)
スキャルピングとは、わずかな利幅を狙い、短期に何度も売買を繰り返して利益を上げる手法のこと。早く経験を積んでFX取引の利益を安定させたければ、短い期間でなんども取引を行う短期取引が適しているということだ。
一人前のFXトレーダーになるためには、ある程度の経験が必須。身銭を切って得た経験こそが、将来の利益へと変わっていくのだろう。
⇒「【役職別】サラリーマンFXトレーダーのトータル収支!」に続く
●専門家プロフィール:佐藤 真奈美
FXに関する疑問や悩みを解決するサイト「ナビナビFX」の編集部員。大学卒業後、FX関連の証券会社に勤務したことが契機となり、金融の世界へ。ベンチャーキャピタルをはじめとした投資会社で経験を積む。現在は、複数のFXメディアサイトに相場予想やFX解説等の記事を寄稿している。