そんな全自動洗濯機の取扱説明書を読むと、注意書きに「運転終了後は、必ず水栓を閉じてください」と書かれている。ご存知だろうか? そもそも全自動洗濯機は、水栓を閉めることが前提の製品なのだ。「教えて!goo」にも「洗濯機の水栓閉めていますか?」と、質問が寄せられていた。
そこで今回は洗濯機の水栓を閉じるべき理由について、電気工事士の佐藤昭弘さんに話を聞いた。
■洗濯機の水栓を閉めなかった場合のリスク
洗濯機の水栓を閉めなかった場合どのようなリスクがあるのだろうか。また、実際にどのような実害を被る可能性があるのだろうか。
「まず懸念されるのは、水栓のホースが外れたり、冬場の凍結によりホースが破れた場合、水道水が出しっぱなしになる点です。水道水が流れ続けている間は水道料金がかかるわけですから……。さらに、水が流れ続けた時間にもよりますが、床が水浸しになったり、場合によっては、家具や家財を濡らしてしまうことがあります」(佐藤さん)
佐藤さんは、自宅の被害だけでは済まない点も指摘してくれた。
「マンションやアパートなどの集合住宅では、床や壁を伝わって水が漏れて、お隣や下の階に住んでいる人とトラブルになる可能性があります。また、冬場の家族旅行や一人暮らしの人の長期出張などは、長い間水道管の中の水が動かないため、さらに凍結の危険性が増すのです」(佐藤さん)
水栓を閉めないということは、かなり開いている状態でもある。一人暮らしの人は特に注意したい。
■水栓を閉めなかったことによる洗濯機本体への影響は
水栓を閉めなかったことにより、洗濯機本体にはどのような影響があるのだろうか。
「水栓を閉めないということは、洗濯機に水圧がかかり続けるわけです。しかし、それによって洗濯機本体が故障することは、皆無と言っていいほど稀です。日本の白物家電は性能がよいですからね(笑)。万が一故障したとしても、一気に水道水が流れ出すということは少なく、ポタリポタリと徐々に流れる程度です」(佐藤さん)
水栓を開けたままにすることによる洗濯機本体への影響は、結果として少ないともいえるようだ。
■水漏れのリスクを回避する方法
これまで佐藤さんの話を聞く限り、水栓を閉めなくても実害を被るケースは稀なように感じる。しかし、そこに少ない確率ながらリスクが存在するのも確かだ。実害を受けないための対処法とはどのようなものだろうか。
「やはり洗濯が終わったら水栓を閉めることにつきます。実際私もアパートで独り暮らしをしていたときは、洗濯が終わる度に閉めていました。何回かやっているうちに習慣になりますよ。そう簡単にホースが外れたり壊れたりするものではありませんが、気になるじゃないですか。あとは、水栓の近くに『洗濯終了後は水栓閉めよ』など張り紙をするのもよいかも知れません」(佐藤さん)
実際のところ水栓を洗濯ごとに閉める家庭は少ないと佐藤さんは言う。しかし、今回の佐藤さんのお話しで自宅が水浸しになる様を想像してしまった筆者は、洗濯ごとに水栓を閉めるよう心掛けたいと思った。家族構成や事情は様々だが、少なくとも長期間家を留守にする際は水栓を閉めることをおすすめする。
●専門家プロフィール:佐藤 昭弘さん
電気店員、電気工事士として37年のキャリアを有する。