■電子書籍のメリット
電子書籍のメリットはどのようなものだろうか。その魅力を改めて聞いてみた。
「何と言っても『読みたい!と思ったときすぐにダウンロードでき、場所を取らず、バックナンバーをいつでも検索し読むことができるところ』という意見が多いです。雑誌は分厚く重いものが多く、何冊も購入すれば収納するのも廃棄するのもひと苦労です。電子書籍はコンパクトで軽量のため扱いやすく、通勤電車内などの狭い場所や寝床でも読みやすいです。また“本棚機能”を利用すれば、タイトル順、著者別、シリーズ別などに分類、表示されるため、整理も不要です。旅行誌やグルメ誌などでは、地図との連動が可能なのでとても便利ですよ」(巴工芸株式会社)
さらに、電子書籍は視覚弱者にも配慮があるそうだ。
「拡大機能や白黒反転機能、自動音声読上げ機能などが利用でき、視覚弱者へ配慮しています。これらの機能は、拡大鏡などを利用しながら新聞を読んでいたご高齢の方々にも、目が疲れず読みやすいと好評です」(巴工芸株式会社)
紙媒体より目の負担が大きいイメージもあった電子書籍だが、端末自体のさまざまな改良がなされて現代に至る。
「紙媒体は廃棄してしまうと再度入手するのは困難ですが、電子書籍の場合は、削除したけれど再び読みたくなった……という場合も改めてダウンロードできます。広告が省かれているため『余計なものを見なくて済む』という声もあるようです。電車など公共の場で『何を読んでいるか周りの人にわかりにくい』という点も魅力のようです」(巴工芸株式会社)
メリットや魅力に感じる点も人それぞれのようだが、電子書籍は“良いこと尽くめ”のように思える。
■電子書籍のデメリット
しかしデメリットもあるという。それはどのような点だろうか。
「『付録が手に入らない』、『スマホなどの小さい端末で、見開きの雑誌を読むのは困難』、『人に貸しにくい(シェアしにくい)』という意見が多いです。また、『紙媒体のように読み飛ばせない上、読み返したい記事に戻りづらい』、『料理のレシピなど記事のスクラップができない』、『気に入った記事や表紙を切り取って飾れない』という声を耳にします」(巴工芸株式会社)
アイドル雑誌や音楽雑誌、スポーツ雑誌などの購読者の中には、気に入った表紙の号を部屋に飾っている人もいる。
「その他、少数派の意見では、『紙やインクの匂いがせず味気ない』、『読まなくなった本を古本屋さんへ売るという行為ができなくなる』、『手に取ることのできない電子データなので“モノ”として認識されにくく、周知や価値付けがしづらい』などがあります」(巴工芸株式会社)
昨今、ネットオークションなどを見ると、その希少価値からプレミアのついた雑誌の掲載もある。
今回のお話により、利便性が格段に上がった電子書籍を利用してみたくなった人も多いのではないだろうか。電子書籍の発展により、紙雑誌の魅力は以前より少なくなってきているが、しかし、付録のような紙雑誌ならではの魅力もまだまだ捨てがたい……。それぞれのメリットや魅力を理解した上で、上手に使い分けるのがベストといえそうだ。
なお、「定期的に読んでいる雑誌はありますか?」ということで、「教えて!goo」では皆さんの意見を募集中だ。
●専門家プロフィール:巴工芸株式会社
1963年創業。印刷業。2009年より電子書籍に取組み、2011年よりePubに特化。変換ツールを一切使わない手制作にこだわり、印刷業ならではの肌理細やかな対応で、ユーザーの厚い信頼を得ている。