実は妊娠・出産に伴うトラブルとして女性を悩ませがちなのが、おしりのトラブルの代表格である“痔”。
海外の研究では、妊娠から産後までの期間中に「いぼ痔」、「きれ痔」、またはその両方を発症した女性は40%以上にものぼったという結果も出ている※1。また、特に妊娠中期・後期での痔を発症する割合は、約85%以上との報告もある※2。
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一体なぜ妊娠・出産には痔がつきまとうのだろうか?その理由を見ていこう。
【参考】※1:Poskus, T. et al: BJOG, 13: 1666, 2014.(海外データ)
■大きくなった子宮が痔の原因に!?
そもそも「痔」とは肛門の病気の総称。「いぼ痔」、「きれ痔」、「痔ろう」が三大疾患として知られているが、妊娠から産前・産後にかけての女性がなりやすいのは圧倒的に「いぼ痔」である。
「いぼ痔」になってしまう原因には便秘や下痢、おしり周辺に大きな負荷がかかることによるうっ血などがある。
お腹の中で赤ちゃんが大きくなるにつれて、当然子宮も大きくなっていく。大きくなった子宮が周囲の血管を圧迫し、血行を低下させてしまうことがある。血液の循環がうまく行かずにうっ血が起こると「いぼ痔」に発展するリスクが高まってしまう。また、子宮が腸を圧迫することで便秘気味になる場合も多く、便秘から痔へとつながってしまうケースもあるのだ。
更に、分娩時には赤ちゃんを送り出そうといきむため、やはりおしりまわりに大きな負荷がかかることになる。これも「いぼ痔」の原因となるうっ血を引き起こしやすい。
■特に痔になりやすい時期は?
妊娠初期から産後までの期間の中で、特に痔になりやすい時期はいつなのだろうか?
海外の研究結果※4によれば、妊娠初期から産後までに痔を発症した女性全体の中で、最も多い6割以上を占めるのは、妊娠28週以降の妊娠後期に属するという。それに次いで多いのが産後1ヵ月までの間で、これが3割以上。妊娠から13週6日までの妊娠初期に痔になるケースは0.1割程度となっている。
この数値を見ても、やはり出産のタイミングに向けて子宮が大きくなっていくことによる毛細血管への圧や、分娩時のいきみが痔を発症させる要因になっていることがわかる。もちろん、出産への不安・ストレスからくる便秘も、痔の原因の一つになる。
このように、特に妊娠後期から産後までの間には痔を患うリスクが大きくなるのだ。大切なのは、違和感を感じた際にできるだけ早く、症状を把握してケアをしてあげること。相談しにくいおしりのトラブルだからと放置することのないよう、常に頭の片隅に入れて心の準備をしておこう!
提供:天藤製薬株式会社