■小学校、中学校、高校、大学と4つの卒業シーンで使い分ける例文
小学生と大学生とでは、伝えることも違うはずだ。それぞれにふさわしいメッセージを矢部さんに教えてもらった。
まずは、小学校の卒業に向けた例文だ。
「小学校卒業おめでとう! ランドセルがからだより大きかった入学式から6年。今では立派なお兄さん(お姉さん)ですね。中学生になっても充実した毎日を過ごしてください」
やはり、小学校の象徴といえばランドセル、そして体の成長が入学と卒業時で一番差がある時期だ。このまま健やかに新しいステージに進んでほしいという願いをこめたい。
次に、中学生向けだ。
「中学ご卒業おめでとうございます。新しい門出を心よりお祝い申し上げます」
校門の桜など学び舎に関する描写や、部活動での思い出や活躍ぶりなどに触れてみてもよいとのことだった。
そして、高校生向けだ。
「高校卒業おめでとうございます。これから環境も大きく変わると思いますが、高校で過ごした3年間を一生の財産として、未来に向かって大きく羽ばたいてください」
卒業後の進路が多岐にわたるのが高校の卒業だ。大学に進学したいと思っても、断念していたり、浪人になったというケースもある。不明確な場合は三年間の充実した生活に触れ、未来の躍進に前向きなエールを贈ろう。
最後に、大学生向けの例文を教えてもらった。
「ご卒業おめでとうございます。いよいよ新しい門出ですね。今後ますますのご活躍をお祈りしています」
他に「希望に満ちた大空へと飛翔する●●さんのご多幸を祈ります」など、社会人にふさわしい大人びた表現もここでは好ましい。
■寄せ書きに書くメッセージの例文
卒業式で寄せ書きを渡す人も多いと思う。そこでその例文も教わった。ここでは、大切にとっておくことが多いことも意識しよう。
「卒業おめでとう!これからは別々の道へ進むけれどお互いを励みに頑張ろうね!」
後輩から先輩に贈る時には、敬語を使おう。今までの感謝と尊敬の念を述べ、再会への思いを添えてみるのもよいだろう。
お互い同時に卒業する場合は、今までの思い出や「これからもずっと友達でいよう」という気持ちも込めたい。
■ NGな言葉、言い回しはある?
例文がわかったところで、気を付けたい点についても聞いた。
「いくら思い出とはいえ相手の失敗したエピソードなど、ふざけたつもりでも傷つける可能性があるので気をつけましょう」(矢部さん)
時間がたって見直した時に顔が赤らむような、イマドキすぎる流行言葉や表現も控えよう。親しい間柄で、たとえ日常ではきついジョークを言い合う仲でも、改まった記念のメッセージではきちんとした言葉を贈るのが無難だ。
最後に矢部さんは、こんなアドバイスもくれた。
「卒業はお別れの時期ではありますが、別れという言葉を使うより、『旅立ち』や『これからの明るい未来』などポジティブな言葉を心がけましょう」(矢部さん)
相手が卒業して会えなくなることは、淋しいことには変わりはない。しかし、それをいつまで言っていても仕方がない。そこにフォーカスするよりも、お互いの思い出や絆を確かめ合おう。そして、新しい世界へと一歩踏み出す相手の背中を押すつもりで、期待に満ちた未来へのエールを贈るとよいだろう。
●専門家プロフィール:銀座フィニッシングスクール ティアラファクトリー主宰 矢部惠子
株式会社エリタージュ 代表取締役。現在、銀座校とパリ校でフィニッシングスクールを主宰。日本人として世界に誇る美しい和のマナーとヨーロッパのエッセンスをプラスした質の高いフィニッシングレッスンを行っている。