輪ゴムなどで束ねる必要もないとのことだったが、これではコンパクトにまとまらず見た目もすっきりしない。そのためか、ユーザーの皆さんから「電源コードは巻き取り式やコードレス、カールコード式などにならないのか?」という意見が数多く寄せられた。そこで今回は、女性をターゲットに小型家電製品などの開発、製造を行うテスコム電機株式会社に、ヘアドライヤーの電源コードの形状にバリエーションはあるのか、さらに今後の開発の見通しなどについて話を聞いた。
■現在の形状のドライヤーコードが定着している理由
ヘアドライヤーの電源コードは、長さ約1.7~1.8mの直線状のものが一般的である。どのような理由からこの長さが定着しているのか聞いた。
「他社様も含め、現状の電源コードで特に問題なく使えているということ、そして適正なコストでの開発、製造が可能なことが大きな理由でしょう」(テスコム電機株式会社)
巻き取り式やコードレスだと、コスト面だけでなく、構造などにも支障があるのだろうか。
「巻き取り式は、過去に他社様が発売したことがあります。掃除機と同じようにクルクルと本体に収納されるタイプですが、収納するためのスペースや巻き取り機構を入れると、ドライヤー本体が少し大きく、そして重くなってしまいます。そのためあまり広まらずに消えてしまいました」(テスコム電機株式会社)
片手で使用するヘアドライヤーが、大きく重たくなったら不便というのが理由だ。
「コードレスタイプのものは、他社様で発売されています。ただ、ヘアドライヤーのモーターを回すくらいであれば問題ありませんが、発熱に対して電池容量が十分でないと使用時間が短くなってしまいます。かといって電池容量を増やせば、今度は本体が重くなってしまうため、商品化はなかなか難しいようです」(テスコム電機株式会社)
使用時間の観点から、ロングヘアの人は、コードレスでは満足できないかもしれない。
■求められているのは、断線しづらい電源コード
一方、カールコード式(らせん形状で収縮するコードのタイプ)は、ホテル向けのヘアドライヤーで採用されているそうだ。テスコム電機も開発を検討中だそうなので、詳しい話を聞いてみた。
「据付型のカールコード式ヘアドライヤーは、ホテル向けに開発、採用されている他社様の商品があります。通常の電源コードと比べてコストは少し割高ですが、一般家庭で使えなくもないと考えています」(テスコム電機株式会社)
さきに紹介した記事でも、電源コードが断線する原因の多くは「ドライヤー本体に巻きつけて収納すること」。テスコム電機はその点に着目し、断線のリスクを減らすべく、“本体に巻きつけにくい電源コード”の候補のひとつとして、カールコードの開発、導入を検討しているそうだ。
「何度も巻きつけたり、ねじったりしても断線しにくい電源コードの開発が、今後の展望であり課題です。そのため、伸縮するカールコードは、通常の直線上の電源コードに比べ、どの程度耐久性などに優れているかを確認中です」(テスコム電機株式会社)
ヘアドライヤーの電源コードは、使用時も角度や向きを変えながら毛髪を乾かすため、ねじれやすい。巻きつけたりねじっても大丈夫な電源コードなら、収納時も使用時も安全安心だろう。今後、消費者向けにも便利に進化する可能性があるようなので、市場に出回ることを待ちたい。
●専門家プロフィール:テスコム電機株式会社
世界中の女性の「キレイをつくる」会社を目指し、女性をターゲットとした理美容電化製品をはじめ、小型家電製品の開発、製造に取り組む。