「舌鼓」は元々「したつづみ」であったものが「したづつみ」の方が言いやすいことから誤用されていたものが、今では国語辞典にも載るようになりましたね。
誤用や流行言葉などから生まれて定着してしまった言葉を捜しています。ただし、「全然」を肯定に使うとか「ら抜き言葉」のように現在進行形で変遷しつつあったり、「やらさせてください」のように誤用であるかが論議されているものは対象外とさせてください。
例えば、「新し」=「あらたし」→「新しい」=「あたらしい」、「山茶花」=「さんざか」→「さざんか」、「独擅場」=「どくせんじょう」→「独壇場」=「どくだんじょう」、「当然」=「とうぜん」→「当前」→「当たり前」=「あたりまえ」
というようなものです。
できれば、どうしてそうなったか(読み間違えから等)という解説を付け加えていただけるとありがたいです。
(見ただけでわかるものは必要ありません)
No.16ベストアンサー
- 回答日時:
質問文にいくつかコメントを。
●全然は否定語と共に使うという規則は、そんなに古いものではなく、実は昔は肯定文にも「全然」を用いてもなんら問題がなかったし、むしろその用法が主流であったと言われています。
●当たり前については、漁師(猟師だったかもしれません)は共同で作業をするので、獲ったものは全員で分配することが暗黙の了解でした。各人の割り当て、分け前のことを当たり前といい、そこから当然であるという意味になったと言われています。
また、以前の回答に少しコメント。
▲「ごまかす」には別の説もあります。江戸時代に偽者の坊さんが弘法大師の行った祈祷の灰だといって「護摩の灰」を押し売りしており、「ごまのはい」は人を騙して金品を盗む人を意味する言葉となり、「まぎらかす」「だまかす」と同じ「かす」がついて動詞化されたと言われています。
▲「胡麻菓子」のような名詞が動詞になった例としては他に「さげすむ」があります。もともとは「下墨(さげすみ)」で、建築用語。大工が柱などの傾きを見るために、おもりをつけた墨縄を上から下ろしたことから、人を見下すという意味の「さげすむ」が生まれたと言われています。
それでは新しいものを。
◆宮澤賢治の「雨ニモ負ケズ」にある「一日ニ玄米四合ト」の「四合」は「よんごう」ではなく「しごう」であるという説があります。作者本人がどう思っていたのかは未確認です。確かに、数詞では「イチ、ニ、サン」と漢語系なのに「よん」と和語を織りまぜて数えるのは違和感があります。「シチ」も「なな」として漢語系にまぎれています。おそらくは「シ」は「シチ」と、「シチ」は「イチ」と紛らわしいということが原因かもしれません。
◆「帝王切開」なんかどうでしょう。鋏を意味する「シーザー」を、帝王ジュリアス・シーザーの意味であると誤解して、ヨーロッパで広まったものを、そのまま訳してしまった例です。
◆「灯台もと暗し」は、意味は正しいですが、語源が誤解されている言葉です。「灯台」は岬などにある灯台ではなく、蝋燭を立てる灯明台のことです。
◆「孫の手」は本来「麻姑の手」。麻姑とは古代中国にいた美女の名前で、長く鋭い爪を持っており、それで掻いてもらうと気持ちがよかった。背中を掻くための棒を「麻姑」というようになり、それが中国から日本に伝わった後で「孫の手」と言われるようになった、とのことです。
◆「お愛想」という言葉は本来客が使うべきではないというのを御存知でしょうか。店側が「勘定のことを言うのは愛想づかしなことですが」という風に切り出す言葉で、客が「お愛想」と言うのは、もう来てやらないからな、ということになってしまいます。
◆「侃々諤々」(カンカンガクガク - 遠慮することなく盛んに議論すること)と「喧々囂々」(ケンケンゴウゴウ - 大勢の人がしゃべってやかましいこと)が混同されている例が多く、意味の取り違えだけでなく、ケンケンガクガクなどとごっちゃにしてしまう例もあるが、語感でうやむやにされている。
◆右顧左眄、本来は左顧右眄が正しい。
ざっと思い付くのでこんなところです。
この回答への補足
回答者の皆さん、ありがとうございました。
皆さんのお陰で雑学好きの私の引き出しもかなり増えました。
回答者の皆さん全員にポイントを差し上げられなくて申し訳ありません。
ありがとうございます。
「全然」については、高校のときに(といっても何十年も前ですが)現国の先生が肯定でも使う例を示していて違和感を覚えたことがあります。
否定で使うようになったのは近代のことなんですね。
「帝王切開」は、「切る」という意味のラテン語"caesarea"をドイツに翻訳するときに"caeser"としてしまって、シーザー(カエサル)の"Caesar"と混同してしまったらしいですね。そこからシーザー自身が帝王切開で生まれてきたという話にまで発展したとか。
今は「侃々諤々」や「喧々囂々」自体も知らない人が多いようです。
「お愛想お願いします」と、ほかの客が言っているのを聞くと、なぜか背筋が「ゾクッ」とします。
いろいろな例を挙げていただいて参考になります。
No.15
- 回答日時:
「誤用や流行言葉などから生まれて定着してしまった言葉」ということですよね。
語源について語ろうとすると、私自身はその言葉の変遷の現場に居合わせたわけではないし、専門家でもないので、どこかで読んだり聞いたりしたことを書くしかありません。私は、語源に興味があるので、そういう本を比較的よく読んでいるのですが、ある言葉の語源に幾つもの説がある場合でも、根拠を示さずに一つの説だけを断定的に書いている本も多く目にしました。そこで、専門家でもない私が、自分で直接確かめられないことを「又書き」するということの危険性を承知の上で、ここでは、私が「これは本当っぽい」と思っているものの一部を書かせていただきます。ご容赦ください。
■立派な人が連なり並んでいることを形容する「きら星のごとく」という言い回しがあって、「きら星」という言葉が「きらきら輝く星」という意味の名詞のように扱われていますが、実は「綺羅、星のごとく」という言い方から誤ってできた言葉だそうです。「綺羅」(「綺」は綾織りの軽い絹、「羅」は透けるような薄い絹の意)は「美しい衣服」のことで、「綺羅、星のごとく居並ぶ」は、「美しい衣服で着飾った人が、星のように居並ぶ」という意味。
■「万引き」は、「間引(まびき)」から転じた言葉だそうです。「間」は「人が見ていない隙(すき)」を表す言葉です。
■「ものすごい剣幕で詰め寄る」という場合の「剣幕」は、「険悪」を「ken-aku」でなく「kem-aku」と発音して連ねて読んだ「けんまく」に、別の漢字を当ててできた言葉だということを、どこかで読みました。
■先のことを考えずに強引に事を行うことを「無鉄砲(むてっぽう)」といいますが、この字は当て字で、もとの言葉は「無点法(むてんぽう)」か「無手法(むてほう)」のどちらかだということです。「無点法」とは、漢文に訓点がついていないことで、訓点の無い漢文を読もうとするのは「無鉄砲」ですね。「無手法」の「無手」とは「素手」あるいは「何の方策もないこと」で、敵に「素手」で立ち向かうのも、物事に「何の方策もなく」あたるのも「無鉄砲」です。(鉄砲を持たずに戦場へ行くのは、まさに「無鉄砲」ですが……。)
■表に出さずこっそりすることを表す「内緒(ないしょ)」は、仏教で「自分の心のうちで真理を悟ること」を表す「内証(ないしょう)」という言葉からの転だそうです。「内証」は、べらべらと人に語らず、心に秘めておくべきものだということでしょうか。
■「ゲンをかつぐ」という言葉は、江戸時代に逆さ言葉が流行したとき「縁起をかつぐ」を「ギエンをかつぐ」と言ったのがもとになり、「ギエン」が「ゲン」に変化して定着したのだそうです。
P.S.
こうして書き出してみると、「どうしてそうなったか」というリクエストには、あまりお応えできていないことに気付きました。ごめんなさい。
たくさん、それに詳しく書いていただいてありがとうございます。
「綺羅、星のごとく」と「ゲンをかつぐ」以外は初めて聞いた語源です。
「縁起」が「ギエン」になったことなど、やはり江戸時代に言葉をひっくり返すことが流行っていたということなのでしょうか。
No.13
- 回答日時:
名字だけど、「東海林」。
有名な芸能人がいたおかげで「しょうじ」と読む人が多いだろうけど、実はこう書いて「とうかいりん」と読む方が多いのです。おそらくは昔「荘治(しょうじ)」という役職に就いていた「とうかいりん」さんが、そのまま「しょうじ」さんと呼ばれるようになり、やがて「東海林」と書いて「しょうじ」と読むのが定着してしまったのだろうと言うことです。
この回答への補足
調べているうちに、「当然」→「当たり前」説以外に、「当たり前」=「昔の漁師たちの分け前」説というのを見つけました。ただし、なぜそれが今の「当たり前」の意味になったかは定かではありません。
補足日時:2004/11/05 23:35ありがとうございます。
私も「東海林」と書いて「とうかいりん」と読む苗字の人に会ったことがあります。
よく「しょうじ」と間違えられるとおっしゃっていました。
No.12
- 回答日時:
はんなり=京都っぽい、やわらかいイメージで皆さん使ってますが、本来は艶やかなイメージのはず。
TVでも頻繁に誤用「はんなり」が、まかり通ってる。
他力本願=本来は現在の意味ではない。
ありがごうございます。
私、生まれも育ちも関東ですので、関西の方の言葉でその意味が判然としないものが多くあります。
ですから「誤用」と言われてもピンと来ないものがあります。
「はんなり」もそうですし、「まったり」もそうです。はっきりした定義はないのですか?
「他力」というのは「阿弥陀如来の力」で、「本願」とは「成仏を願うこと」でしたか。現在の意味はそれの拡大解釈ということですね。
No.10
- 回答日時:
「誤用」とはちょっと主旨がことなるかもしれませんが、回答を読ませていただいてまして、興味深く、勉強になる課題でしたので、参加させていただきます。
味噌摺り坊主=寺の炊事などの雑役にあたる下級の僧。僧を罵っていう語
味噌役人=旗本に使える用人などを侮っていう語
胡麻菓子=胡麻胴乱(ごまどうらん)を「ごまかし(胡麻菓子)」といったことから、見せかけだけ良くて内容の伴わないもの。騙して人目をまぎらかすこと。また、目前ばかりをつくろうこと「誤魔化し」とも書くは当て字。
現在使われている「胡麻を擂る(へつらう)」という言葉の意味は、もともとは、「味噌を擂る」の方が先だったのではないだろうか。「味噌を擂る」ような雑役をする下級の僧を罵って言うことから、役人にも使われるようになり、そこから現在の「へつらう」のような意味が生まれてきたのではないかと推測される。
胡麻の方は、「胡麻菓子(誤魔化し)」から、「悪い印象」の意味が生まれ、「味噌擂り」と「胡麻擂り」の類似性から、近年では、「胡麻擂り」の方だけが生き残ったのではないか。また、胡麻擂りの方が、小さい鉢ですむことから、平手を握り手で摺るという動作との適合性も考えられる。
確かに「誤用」というものからは外れますが、非常に興味深い回答をいただきありがとうございます。
特に「誤魔化し」が「胡麻菓子」に由来していることは全く知りませんでした。元々「名詞」としてしか機能しなかった言葉が「五段活用の他動詞」として使われるように変化した典型を見たような気がします。
No.9
- 回答日時:
誤 - 正 (- 意味)
ーー --- ーーーー
一生懸命 - 一所懸命 - 土地に命を懸ける。 領主(地主)が命を懸けて戦って領地を守る。
的を得る - 的を射る
世論(正しくはセロンと読むが、間違ってヨロンと読まれている)ー 與論=ヨロン
(関連で
ヨロン調査なら與論調査。 世論調査ならセロン調査。)
とんでもございません - とんでもないことです
危機一発 - 危機一髪 - 髪の毛一本の差で危なかったこと。
上ぐらいしか頭に浮かんで来ませんがご質問の主旨に合っているでしょうか。
ありがとうございます。
主旨に合っているどころか定番物のオンパレードですね。
でも私が忘れていたものばかりです。
特に「與論」なんて知っている人はあまりいないんじゃないでしょうかね。
No.7
- 回答日時:
#5です。
「危機一発」の件で。意図的に「髪」を「発」にかえて使った人物が映画評論家の水野晴郎氏です。
英国映画「007」シリーズの第2作目「ロシアより愛をこめて」が、スパイ映画なのに、これじゃわかりにくいだろうという理由で日本用のタイトルで「007危機一発」とつけかえたのがルーツで、その後ブルース・リーの「ドラゴン危機一発」にも流用されました。
ありがとうございます。
犯人は水野晴郎氏でしたか。
「007危機一発」も「ドラゴン危機一発」もタイトル見たことあるのに気が付かなかったですね。
そういえば、ビートルズの"A Hard Day's Night"の日本語タイトルを「ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!」にしたのも水野晴郎氏でしたね。
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