高齢ですが、まだ頭のしっかりした親族から後見制度について調べるように頼まれています。自分の調べた範囲では、後見制度として
(1)任意後見人(もしもの時のために、あらかじめ後見人を決めておくこと)
(2)財産管理委任契約(自分の財産の管理を他の人に委任すること)
(3)成年後見人(認知症になった人の後見人)
の三つがありました。自分の親族に関して言えば、後見的な制度を使うとすれば、(3)には該当しないので(1)、(2)の何れかだと思いますが、調べるとどちらも一長一短がある様で、実務的にどんなものなのか、法律関係者の御意見を伺いたく思います。
(質問1)
(1)ですが、自分の認知力に問題が出たと思ったら本人が裁判所に申し出ることで正式に後見が始まるようですが、本人がそんな風にある時点で認知力が衰えた、とちゃんと認識できるものなのでしょうか?自分の母は、認知症がだいぶ進みましたが、認知力が衰えたと最後まで認めませんでした。オレオレ詐欺のニュースなどを見ていても、普段から「自分はまだまだしっかりしている」と考えるのが人間としては普通だ、と言うのが僕の考えです。そうだとして(1)の様な本人の申し出を前提にした制度は機能しているのでしょうか?僕の考えが正しいとすると、全く機能しないとまでは言いませんが、この制度では、大半のケースが、もしもの場合に後見人になる人は決まったまま、本人の申し出がなく、認知力が衰え、結局、後見が出来ないままになる、と言う気がします。
(質問2)
本人がしっかりしていても、(2)のような制度があるそうですが、社会的信用が足りない(当事者間の合意だけで有効)と言う欠点があると聞きました。(1)は公正証書により、(3)は登記により社会的信用が増す様ですが、例えば(2)の契約を公証役場で結ぶとか、財産管理委任契約自体に弁護士や司法書士などの監督者を選定する旨定める、などの措置は取れないのでしょうか?また、もし、こういった措置を取れれば社会的信用が増すと言えるのでしょうか?
そもそも「社会的信用」(公正証書や登記)が何を意味するのかよくわかりません。係争などに陥った時には、立場が強くなる、と言った解釈で良いのでしょうか?
(質問3)
結局、後見人制度と言うのは、(1)や(3)の様に、認知能力上の問題が出て初めて有効に機能するようで、本人の認知力に問題がない場合には、質問2のご回答が全てYes、とでもならない限り、なかなか有効な制度がないように思います。この他に後見的な制度で何か活用できるものはないのでしょうか?
長々とした質問で大変申し訳ありませんが、後見制度や代理制度の実務や法律に詳しい方からのご回答を希望いたします。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
(質問1)
任意後見契約は、本人と任意後見受任者とが公正証書により契約を締結しますが、契約を締結しただけでは何の効力も発生しません。精神上の障害により本人の事理を弁識する能力が不十分な状況の場合において、本人、配偶者、四親等内の親族又は任意後見受任者の請求により、家庭裁判所が任意後見監督人を選任することによって効力が生じ、それで任意後見受任者は任意後見人になるわけです。条文上は本人自らも任意後見監督人の選任の請求をすることができますが、実際上は、任意後見受任者等が選任請求の申立をすることが多いでしょう。
(質問2)
たとえば、財産管理契約に於いて、預金を引き出す権限を本人が受任者に与えたとしても、金融機関は果たして受任者は本当に本人からそのような代理権を与えられたのか疑問に思うわけです。その疑義を解消するため、契約を公正証書でするというのは一つの手段です。また、財産管理委任契約自体に弁護士や司法書士などの監督者を選定する旨も有用でしょう。あるいは、弁護士や司法書士自身を受任者にするということも考えられます。
親族を受任者にするのであれば、一度は本人も同行させて、金融機関に本人の意思確認をしてもらうのが有用です。
(質問3)
本人の判断能力は問題ないが、外出して預金を引き出すことができないような場合は、財産管理委任契約でカバーするしかありません。問題は金融機関が本人に直接、意思確認をすることを要望した場合ですね。本人が寝たきりの場合、職員に本人がいる自宅、病院、施設に来てもらえれば良いのですが、そういう対応をしない金融機関もあるかもしれません。理想論で言えば、頭も体も問題がない時点で、事前に金融機関に確認し、そのような対応をしてくれなさそうな場合は、取引先の金融機関を変更しておくことです。(大手銀行から信用金庫に変えるなど。)
ご回答ありがとうございます。
質問1に関しては受任者も申請できるのですね。それは知りませんでした。ありがとうございます。
質問2、3に関しては、なるほど社会的信用とは金融機関の対応なども含まれているのですね。確かに、後見人による横領や詐欺対策などのことを考えると、難しい問題ですね。
具体的な回答を頂き、大変助かりました。参考になります。後見人制度の難しさに関する知識が増えました。
No.1
- 回答日時:
(質問1)
↑
もっともな指摘ですが、任意後見制度は年々利用が
増えております。
最高裁事務総局家庭局による直近の統計では平成26年(2014年)12月末時点で
制度利用者数は2,119人でした。
この4年前の平成22年(2010年)の利用者数は1,475人でしたので
制度利用者の数は年々増加傾向にあります。
(質問2)
↑
銀行などはどうでしょう。
最近の老齢化時代により、銀行も信託銀行を
中心にこの手の業務に載りだしています。
社会的信用はあると思います。
(質問3)
この他に後見的な制度で何か活用できるものはないのでしょうか?
↑
スミマセン。
ちょっと思いつきませんが、
他に、保佐とか補助という制度もあります。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji17.html
ご回答ありがとうございます。
なるほど、利用は増えているのですね。銀行の活用や保佐、補助制度などについては、本人と良く相談しようと思います。
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