昔、祖父母の家へ行った際に、悪さをすると、祖父母に「ご先祖様に申訳けない」とか「ご先祖様に顔向けができない」「ご先祖様は我々を見守っているのだよ」「ご先祖様はよく見ているのだよ」などと度々諭されました。
彼らは、神様や仏様を取り上げた記憶がありません。ただし、神棚や仏壇は備わっていたような気がします。昔は、ご先祖様と言うこと言葉が、会話でよく交わされていたような気がします(今は少なくなったようですが)
ところで、日本には(外国のことは分りませんが)、神様のいる神道・仏様のいる仏教ばかりではなく、ご先祖様がいるご先祖教が(組織化されてはいませんが)存在している、と思い始めました。
質問は、ご先祖教は存在している、と考えてよいでしょうか?
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
日本のご先祖教は儒教を基礎とするものです。
お隣の韓国はもっと厳密に先祖教があり、中国も日本にくらべて強く社会システムの基礎になっているぐらいです。儒教というのは親に対する孝と主君に対する忠を中心とする道徳概念と思われていますが、大陸では「ほぼ宗教」と言っていいぐらいの体系を持ちます。
日本は、古代から儒教的な社会システムではなかったのに、仏教とほぼ同時に律令制を取り入れたことによって、儒教も道徳として取り入れました。鎌倉時代以降は武士が「忠」の概念を発展させて武士集団の忠誠を強化し、その際に日本的な道徳の基礎が出来たとされます。
日本でご先祖教がなぜ取り入れらたのかというと、墾田永年私財法ができたからです。墾田し田畑は子々孫々まで自分のもの、という法律ですが、これがのちに武士階級を産むことにつながり、また子孫からみれば「先祖様が苦労して田畑を開墾したから、今の自分たちが生きられる」という感謝につながったわけです。
だから「ご先祖様に申訳けない」とか「ご先祖様に顔向けができない」という言葉になるわけで、さらに戒めとして「ご先祖様はよく見ているのだよ」という言葉になるわけです。
日本は神道・仏教・先祖崇拝がミックスした宗教をもっていて、それは一神教の教義や信仰とは全く違うものです。
ちなみに中国や韓国ではもっと厳密に「先祖崇拝」があって、それが元で「結婚しても氏名を変えない」のです。族譜という家系図も古くから中国・韓国・ベトナムなどに有って、中国の孔子世家譜は現代では200万人もの末裔がとうろくされているそうです。
日本は元々「近隣の親戚で結婚しあう」ことが通例な民族だったので、儒教的な「同じ苗字の人と結婚できない」ということにはなりませんでした。ただ、田畑の相続は必要だったので、その部分を「本家だけの相続」にしてさらに墓も「先祖代々の墓」にし、苗字も「結婚したら変える(数は少なくても、婿なら男が変える)」というやり方で落ち着いたのです。
早速のご回答ありがとうございました。
まず、中国や韓国に厳格なるご先祖様教があるのですね。(中国の儒教やそれ以上に厳しい韓国)
日本は、ご先祖教と称されるものは古来なかったが、仏教が入ってきたころ、儒教も入ってきて(当時は、文化の流入時代だったのでしょうね)ご先祖教が確立し、かつ鎌倉時代の武士の発生により、ご祖先教は強固になったのですね。
<日本は神道・仏教・先祖崇拝がミックスした宗教をもってい>ますね。神道・仏教は、このご先祖教の中身を自己に取り込んで、日本で発展したのですね(キリスト教はかたくなに拒んだ結果、日本には浸透が少ない)。
No.3
- 回答日時:
神道は、先祖と自然を崇拝する宗教ですよ。
神道は、キリスト教のような創世宗教と異なり、
自然発生的に誕生したものです。
だから、教義も経典もありません。
それどころか、信者だという自覚すら必要
ありません。
この神道があるところに、仏教が入って
きたので、日本の仏教は先祖を敬うような
宗教になったのです。
早速のご回答ありがとうございます。
<神道は、先祖と自然を崇拝する宗教>ですね。
ただし、今の神道には、天照天照などは祭られておりますが、ご祖先神はありません。おそらく、ご先祖様信仰がある原始神道ころに、仏教が侵入してきたので、新神道は天照天照などを探してきたのだと思いますが。
日本では、ご先祖様信仰は表から裏に回った(底流として健在なのだが)のだ、と思います。
<日本の仏教は先祖を敬うような宗教になった>ですね。
仏教は長い期間に、このご先祖信仰を取り込み、日本人このみの独自の発展をしたのだ、と思いますが。
No.4
- 回答日時:
宗教とは煎じ詰めれば
「救いを得るために何かを信じる」
行いのことであって、
それが満たされれば信じる対象が神だろうと仏だろうと世の理だろうと精霊だろうと、先祖だろうと宗教の範疇に入ると言える。
法的には宗教法人であるためにはそのための儀式等の要件も必要とされるが。
先祖はホモサピである限り意識する。
エジプトでは永劫の未来に再び生を得られるようミイラの処置をした。
キリストの場合神のもとに召される。
仏教はそれそのものはドライで、その指導原理に死後の世界を認めていないが、
ヒンドゥー等の影響で輪廻転生の考えも取り入れている。
盂蘭盆のエピソードは大乗仏教限定だろうか。
ネアンデルタール人も棺に花を飾ったらしい。
日本の場合、土着の精霊信仰と明治政府に強化された国家神道、それに江戸以来の仏教の影響が混ざり合い一概に言えないのだが、
古来から先祖を祀り神にしていたことは確かである。
祀り神、いうなれば自分を守ってくれる守護神に恥じない生き方をする。
そうすれば祀り神もそれにこたえてくれる。
守護神に対して襟を正すという態度は、古代ローマ人にも見られたらしい。
で、「私は先祖を信じることによって救いを得ます」という人間がいるなら先祖教と考えて差し支えないだろう。
早速のご解答ありがとうございました。
<先祖はホモサピである限り意識する。>ですね。
<古来から先祖を祀り神にしていたことは確かである。>ですね。
そして<「私は先祖を信じることによって救いを得ます」という人間がいるなら先祖教と考えて差し支えないだろう。>になるのですね、理屈や経緯にとらわれずに。
No.5
- 回答日時:
柳田國男の『先祖の話』は日本人の必読の書です。
是非読んでみてください。それを読むと、日本人とは何か、神道とは何か、先祖崇拝とは何か、目から鱗がぎっしり詰まっています。日本の仏教は本来の仏教とは全く違った、日本独特の形に変えられた宗教ですが、日本人の先祖崇拝に根を下ろした神道に軒を借りて、その母屋を奪い取ってきたのが今の仏教なのです。高野山の真言宗総本山の金剛峯寺に行ってごらんなさい。厨房の竈の神をお祭りするなど、お寺の内部の至る所に鳥居が飾ってあります。
また、佛教の「佛」は音読みですが、これを「ほとけ」とも訓読みで読みます。訓読みとは、その言葉が外国の唐と接触する前の縄文、弥生の時代から日本にあったことを表しています。仏教が入り込む前から、仏の概念が日本にはあった。では、それは何を意味していたのか。また、『鞍馬天狗』シリーズで大ヒットした大佛次郎という作家がおりましたが、なぜ「大仏」を「おさらぎ」と読むのか。その裏には、神道の世界観が潜んでいることを、柳田國男が暴き出しています。お寺のお墓にある蘇東坡や、お葬式後のお寺の行事である何回忌の行事も神道との関連で日本だけに存在する行事です。
日本にキリスト教が根付かず、「別に私は特別に宗教を持っていない」と言いつつ、クリスマスも初詣も葬式も何でもありで日々を過ごしているのも、実は日本人が先祖崇拝の神道の根強い信者であることからくる行動様式です。
ちなみに、西洋では無神論者とは、一神教の神の存在を信じていないことをことさらに中心教義に据えた、特殊な宗教の信者のことです。日本人は決して無心論者ではありません。もし、あなたが外国人からあなたの宗教を聞かれて「無神論者です」と答えてしまうと大変な誤解をされてしまいますので、お気をつけください。
早速のご回答ありがとうございました。
1.まず<日本人の先祖崇拝に根を下ろした神道>があり
2.<神道に軒を借りて、その母屋を奪い取ってきたのが今の仏教>なのですね。(神道は、表面上ふるわないですね)
3.日本仏教は<本来の仏教とは全く違った、日本独特の形に変えられた宗教>なのですね。
4.<日本にキリスト教が根付かず>は、歴史が浅いせいか、この<先祖崇拝>などをまだ取り入れてない、からでしょうね。
5.日本人は、はっきり自覚していないが、無神論者ではない、のですね。
6.<柳田國男の『先祖の話』>は図書館で予約しました。
No.7
- 回答日時:
こんにちは。
先祖崇拝というのは、いままで私は儒教+仏教の影響だと思っていましたが、縄文時代に、自分の家族がなくなったりすると、その住まいの周辺に御遺体を埋めたそうですが、その風習が信仰の形になったものだそうです。
この際、神道についてですが、神道とは新嘗祭を始めとする、農耕儀礼としての五穀豊穣を願う人々の信仰であったわけですが、先祖信仰は、それ以前のものだと言えます。
「ご先祖様に申訳けない」
私は、そういう言葉で育った経験が一度もありません。家系は深く神道に関わっているのですが、そうしてみると、そのような感情は神道からではないようです。私の神道への印象は、組織化されて、がんじがらめで、自然崇拝など、そんな余裕などはありません。排他的で、人に寛容的でなく、なにかあれば、常に規律と義務が伴うような重苦しさを感じさせます。直接の宗教団体ではないはずなのに、質素ではあるけれども、少しもおおらかさがありません。
とはいえ、一家の「氏神(うじがみ)様」をお祀りするというような、個別の、家のごく小規模な信仰は、神道とは別ものにしても良いと思います。
>ご先祖様がいるご先祖教が(組織化されてはいませんが)存在している、と思い始めました。
趣はだいぶ違うところにあるかもしれませんが、私のところの「氏神様」と同じかもしれませんね。そういう素朴な感情は、なくなってほしくないものです。
早速のご回答ありがとうございました。
1、縄文時代(いつの世でも同じでしょうが)の葬儀と先祖崇拝との結びつき・関係が私にははっきりしません。
2.<先祖信仰は、それ以前のものだ>なのですね。
3.<常に規律と義務が伴うような重苦しさ>ですね。神道ばかりでなく、仏教・キリスト教でも、学校・職場でも<組織化>などされると、<重苦しさを>感じ始めるようですね。
4.<「氏神(うじがみ)様」>。明治神宮では、参拝客を一くくりで扱っている気がします。(それを喜んで、行ってるのでしょうかね)。一方、田舎の質素な神社には氏神様がいて、「お前のとこのばあちゃんはな・・・だっだよ」などと親身に語りかけてきますし、氏子も遠慮なくお願いします。
<そういう素朴な感情は、なくなってほしくないものです。>まったく同感です。
No.8
- 回答日時:
#2です。
お礼ありがとうございます。>日本は、ご先祖教と称されるものは古来なかったが、仏教が入ってきたころ、儒教も入ってきて(当時は、文化の流入時代だったのでしょうね)ご先祖教が確立し、かつ鎌倉時代の武士の発生により、ご祖先教は強固になったのですね。
実際のところ「儒教以前に先祖崇拝が無かった」とは資料がないので言えないのですが、少なくとも儒教を受容した時期(遣唐使などの7世紀初頭)にはすでに「日本的な先祖との付き合い方」は大陸のそれとは異なっていました。
そもそも「ご先祖教(先祖崇拝)」でもっとも大切なものは「血統を絶やさないこと」であり、求められる目標は「子孫を最大限増やすこと」なのです。これが大陸で生まれたご先祖教の本質です。
日本は律令制と仏教のワンセットで唐の文化を輸入した際に取捨選択を一応していて、近親婚と宦官は取り入れませんでした。大陸の先祖崇拝において近親婚は「その血族の遺伝的劣化が顕著になる」のでタブーでしたし、宦官もいくつかの理由で日本では取り入れられませんでしたが、宦官は去勢を伴う職種でありつまりそれは「子孫を残さない」という選択だったわけです(ただし、最初は奴隷に対する処置でした)
この二つを取り入れなかった日本の先祖崇拝は当然に大陸のそれと異なることになり、結局日本の先祖崇拝は「一子直系のみの系譜」になっていきます。だから田舎に行くと「本家筋の跡取り」がやたらに偉いのは日本的な先祖崇拝の影響なのです。
再度のご回答ありがとうございます。
1.<儒教を受容した時期(遣唐使などの7世紀初頭)にはすでに「日本的な先祖との付き合い方」は大陸のそれとは異なっていました。>なのですね。
(明確な証拠等はありませんが、縄文時代からの流れ、かもしれませんね)
2.<近親婚と宦官は取り入れませんでした。>(中国では、「子孫を最大限増やすこと」が必須だったのですね。)
3.日本で強調されたのが、<「一子直系のみの系譜」>なのですね。<本家筋の跡取り」がやたらに偉い>のですね。部屋住みという現象もありましたね。(限られた資源(ここでは土地などの資産)を分散しないで相続し、家名を絶やさぬこと、を狙ったのでしょうか)
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