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(大判昭14.7.26)
一番抵当権(甲)を設定したときに土地と建物の名義が別人でも、二番抵当権(乙)を設定したときに土地と建物の名義が同じになっていれば、一番抵当権(甲)が実行されたときはその建物について法定地上権が成立する

(最判平2・1・22)
土地に先順位抵当権が設定された当時、土地とその土地上の建物の所有者が各別であった場合に、その後、土地と建物が同一の所有者に属することとなった後に後順位抵当権が設定され、その後、先順位抵当権が実行されたとき、法廷地上権は成立しない

上記の判例は同じ例のように思いますが、結果は矛盾しています。
どうなのでしょうか?

質問者からの補足コメント

  • ありがとうございます。一読しましたが、まだ分かりません。
    どうしても、二つの例は同じことを言って、結果が違うように見えます。
    もう少し深く読んでみます。

    No.1の回答に寄せられた補足コメントです。 補足日時:2020/05/15 19:13

A 回答 (2件)

次のことを念頭に置きましょう。



1.地上権は物権であるのに対して、賃借権や使用借権は債権である。賃借権は借地借家法により新しい土地所有者に対抗できるものの、使用借権は新しい土地所有者には対抗できない。地上権の譲渡に地上権設定者の承諾は不要だが、賃借権の譲渡に賃借人(普通の土地所有者)の承諾が必要である。賃借権は賃料不払の場合、信頼関係破壊の法理により、ある程度は解除権が制約されるとしても、賃貸借契約の解除は容易であるが、地上権の場合は、地代の未払が二年経過しないと消滅請求ができない。よって、地上権は財産的価値が高く、その結果、地上権付建物の価値も高くなる。
2.その一方、地上権の負担のついた土地の価値は、賃借権付の負担のついた土地よりも低くなる。
3.抵当権は建物についたのか、土地についたのか、それとも両方なのかきちんと押さえること。

それを踏まえて、判例を分析しましょう。

大審院判例の事案
甲抵当権は建物に設定されています。その後土地建物が同一所有者になった段階で、乙抵当権が建物に設定されたわけです。法定地上権の成立を認めても、甲抵当権者に不利益は与えません。むしろ、有利になります。一方、土地所有者は法定地上権が成立することにより不利になりますが、乙抵当権の設定者(建物所有者)と土地の所有者は同じ人ですから、予測できない不利益とは言い切れない。

最高裁判例の事案
最初の抵当権(丙とします)は土地に設定されています。この時点で建物と土地の所有者は別ですから、丙抵当権者は地上権が成立しないことを前提に土地の担保評価をしているはずです。そして、
土地と建物の所有者が同じ人になることも、そのタイミングで土地に後順位抵当権(丁とします。)が設定されることも、丙は関与することはできません。にもかかわらず、法定地上権が成立するとすれば、丙に不測の損害が生じます。

 このように当事者の利害関係が全く違うわけですから、事案が異なるのです。
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この回答へのお礼

なるほど、分かりました。ありがとうございます。

お礼日時:2020/05/16 06:44

前者と後者では事例が異なるものだと判示しています。



後者の判決中で,『原判決引用の判例(大審院昭和一三年(オ)第二一八七号同一四年七月二六日判決・民集一八巻七七二頁(回答者注:これが質問の前者の判例です)、(中略))は、いずれも建物について設定された抵当権が実行された場合に、建物競落人が法定地上権を取得することを認めたものであり、建物についてはこのように解したとしても一番抵当権者が把握した担保価値を損なわせることにはならないから、土地の場合をこれと同視することはできない。』と判示しています。
 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/740 …

まずは上記をご一読ください。

後者判例判決文を読んでみると,この事案では,建物が競売手続中に建て替わってしまっています。競落時に存在する建物には抵当権が設定されていません。ここで法定地上権を認めてしまうと,土地の抵当権者が把握している土地の価値を下落させてしまい,抵当権者に予測不能の損害を強制することになってしまいます。
だから法定地上権の成立を否定した,ということなのではないでしょうか。
この回答への補足あり
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この回答へのお礼

ありがとうございました。

お礼日時:2020/05/16 06:44

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