10秒目をつむったら…

1.自由主義(Liberalism)、新自由主義(New-Liberalism)、新(復興)自由主義(Neo-Liberalism)について、歴史的、経済的、政治的...どの方面からのアプローチでも結構ですので相違点等を教えて下さい。

2.上記の他に、「自由主義」と名の付く政治思想があれば教えて下さい。

A 回答 (1件)

自由主義は、政治権力を抑制して、人々の自由を確保しようとするものです。

政治的自由主義の場合は人々の自由意志に、経済的自由主義は自由な経済活動を市場原理による調節にまかせていくもので、この両者は普通は一体としてとらえられることが多いです。
絶対王政の専制政治と重商主義経済政策に反対し、立憲政治と資本主義経済を実現する、市民(ブルジョア)革命を担う思想の体系です。政治的自由主義の代表的理論家としてはジョン・ロック、経済的自由主義の代表的理論家としてはアダム・スミスがあげられるのが普通です。

ニュー・リベラリズムは、19世紀末から20世紀初めに影響力をもった思想と政策の体系です。経済が自由競争段階から独占段階に移行したことと参政権の拡大にともなって、イギリスの自由党がとなえたもので、党首ロイドジョージの名とともに語られることが多いです。労働者や貧困層の生活を保障するための社会政策の充実をはかるもので、後の福祉国家成立の基盤形成をなしました。思想的にはベンサムやミル父子などの功利主義の延長線上に位置づけられ、市場原理だけでは失業や貧困が解決できず、それは人々の自由を阻害する、ということから、古典的自由主義を修正するニュー・リベラリズムと証したのです。また、ニュー・リベラリズムは帝国主義的膨張による富裕化を前提にしており、その富を労働者や貧困層にも分配するものでした。その後イギリスでは、より徹底した福祉国家政策を追求する社会民主主義の労働党にとってかわられますが、第2次大戦後のイギリス福祉国家の骨格のプランは、策定の中心となった自由党員ベヴァリッジの名前をとって呼ばれるのが普通です。1930年代のアメリカのニュー・ディール政策もニューリベラリズムの政策と位置づけられます。アメリカでは、福祉重視の政治的傾向を「リベラル」といいますが、これはニュー・リベラリズムの意味と言っていいでしょう。
古典的自由主義とネオ・リベラリズムが国家機能の抑制を説くのに対し、ニュー・リベラリズムは国家機能の拡大を促す役割を果たしたのが特徴です。

ネオ・リベラリズムは、2度のオイル・ショックを契機に、先進国の高度経済成長が終焉したのにともなって影響力を強めた思想と政策の体系です。福祉国家政策による財政規模や国家機能の拡大、税負担の増大を批判し、できるだけ市場経済にまかせていく、という内容です。代表的理論家としてはハイエクとM・フリードマンがあげられます。
イギリスのサッチャリズム、アメリカのレーガノミクスがその実例としてあげられ、日本でも1980年代の中曽根行革や、90年代以降の「構造改革」は、ネオ・リベラリズム政策だとされます。グローバリゼーションの基調は、ネオ・リベラリズムを基礎に進んできています。先進国は、不況克服策やグロバリゼーションの圧力への対応として大なり小なりネオ・リベラリズム政策を導入していますが、労働運動や社会運動の力が強いフランスやドイツなどでは、かなり不徹底なものであることを余儀なくされています。
ネオ・リベラリズムは競争の拡大・強化や、競争の促進要因としての格差の拡大を容認することが特徴で、競争の勝者により多くの分配の与えることを主張し、累進税率や社会政策による所得再分配を非難します。
ネオ・リベラリズムは、「結果の平等」から「機会の平等」へと主張しますが、所得格差が教育格差につながる現状や、技術が複雑で大規模なしかけを必要とするようになっていることから、手持ち資本が大きければ大きいほど競争には有利で、弱者保護を弱める政策ともあいまって、富める者をより富ませ、貧しいものをより貧しくさせる、という格差を拡大する方向をとることには、批判も多いです。
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