No.4ベストアンサー
- 回答日時:
地方の国立大学の附属病院に勤務していますが、IVHを挿入するに当たって特に同意書はいただいておりません。
また、人工呼吸器装着についても同意書はいただいておりません(つけるかつけないかの相談はご家族としますが・・・)。近辺の病院でも私の知っている限りではIVHの同意書をとっている病院はあまり無いと思います。勿論今後はどうなっていくかは分かりませんけれども。そういえばこの質問を読んで思い出したのですが、先日私の患者さんの容態が悪化しICUに入室したのですが、その際挿管をしたり人工呼吸器をつけたりの処置に加えてIVH挿入も行ないました。しかし私はIVHを入れるということも入れたということもご家族に説明するのを忘れていました。特に問題なく今日まできていますので、このまま説明無しでもいいかなあとも思います(というより、集中治療室では様々な処置をしていて、その処置一つ一つに多かれ少なかれリスクを伴いますからそれを全て説明していたらきりも無いですし家族も不安になると思います)。
ところで最近は何かと同意書をいただくことが増えてきました。造影剤使用の同意書、患者さんをベッドに抑制するための同意書、抗生剤使用の同意書・・・などなど。IVHについてもうちの大学でもきっと将来同意書が必要になるのでしょうね。
同意書をいただく一番の理由は、もしも合併症やトラブルが発生したときに、医療者側が「説明義務違反」に問われないためです。ですから基本的にはリスクを伴うような処置に対して同意書をとります。
IVHの同意書についてはinoge先生が回答されていますように、しばらく前にIVH挿入時の合併症で亡くなった患者さんがいてマスコミに大きく取り上げられたからだと思います。(確か鎖骨下動脈に穿刺を行なってしまい失血死したといった話だったと思います)。鎖骨下静脈からIVHを入れる際に動脈に穿刺してしまうことは、それほど稀なことではないと思いますが(技術的に動脈穿刺を避けることはある程度は可能ですが、盲目的に針を刺す以上動脈に刺さってしまう可能性も0ではないと私は思います)、この事故以来、私も鎖骨下静脈からIVHを入れるのを避けるようになりました。代わりに鼠径部の大腿静脈からIVHを入れることが多くなったのですが、実はここからのIVHも血栓形成のリスクなどはありますので、やっている方としては「なんだかなあ」といった感じはあります。
以上より最後のご質問の回答としては、全く知らせずにIVHを入れることは十分ありえて、その理由としては、「そこまで説明する必要性を感じなかったから、あるいはその状況においてIVHのことまで説明することが決して良いことだとは思わなかったから」です。
この回答への補足
ご回答ありがとうございます。参考になりました。
お礼欄の字数制限をオーバーしたので、こちらでお礼いたします。
IVH=栄養+薬(ですよね?)ですから、(患者に栄養と薬を与えるのは当たり前すぎて)その説明を忘れていたというのは、妙に納得してしまう部分もあります。
しかし私にとっては「IVHは恐ろしいもの」というイメージなのです。以前ここで質問したのですが、私の父は最期の病床でIVHの処置の際に激しい痛みを受けました。「3時間も腹の中を掻き回されたんだ」と泣いて訴えたのです。大学病院なので大勢の研修医がやりました。ですから私にとってIVHの怖さというのは合併症などではなく処置の過程にある、と言えます。
ところが痛みについてはまったくと言っていいほど問題にされていませんね。Web上や本で調べたのですが、IVHの処置にかかる時間は、過去質問に「上手な医師であれば5分とかからないものです。長くかかる人でも15分位」とあります。柳沢桂子さんの例で、血管が細いため1時間半かかったことがあったようですが、「翌日痛みが出た」という程度の記述だったと思います。
過去質問によれば「30~60cmのカテーテルを中心静脈まで挿入する」とありますが、最大60cmとすれば心臓よりも上に行ってしまいます。しかも三時間はどう考えても納得がいきません。父は同じ病院で心筋梗塞による二度のカテーテル治療(ステント)を受けています。二度目のときは三時間以上かかりました。強い痛みを訴えた直後に容体が急変し気管内捜管を行われています。
>鎖骨下静脈から…、大腿静脈から…
これらの違いも知りたかった点なので教えていただき助かりました。父は足の付け根からでした。
>全て説明していたらきりも無いですし家族も不安になると思います
よく理解できます。
>全く知らせずにIVHを入れることは十分ありえて…
前の「妙に納得」とともに意外な気もします。この点に関しては医療を行う側と患者側との意識の違いを感じます。
あまりの痛みのため父がIVHを拒否してから、主治医は「血管が細くて点滴が入らなかった」と一言話しただけです。点滴と言われると普通の点滴を想像してしまうのです。「腹の中を掻き回された」とか、それに三時間もかかる不自然さまで思いが至りません。それが素人というものです。専門家が素人を騙すのはまさに赤子の手をひねるようなものですね。
見るに見かねたのか看護師さんの一人が「中心静脈栄養(IVH)というんです」と教えてくれました。「チュウシン?ジョウミャク?エイヨウ?、アイエイチ?アイブイ?エイチ?アイブイエイチ?」そんな感じでした。「とても高額なんです」とも言われました。そこで初めて、請求書の「点滴900000円」と結びついて、普通の点滴ではないと分かったのです。(何日分か不明ですが一か月足らずです) 何人かの知人にこの話をすると「え?チュウシン?…」と全員同じ反応で、900000円で驚くところもまったく同じでした。
あの看護師さんがいなければ中心静脈栄養(IVH)を知ることもなく、点滴というものは高くつく、という思いだけで終わっていたと思います。
IVHの費用については別の質問を立てるつもりでいるので、ご協力いただければ幸いです。
人工呼吸器装着に同意書が必要かどうかについては、不確かなまま質問してしまいました。取り消します
No.6
- 回答日時:
>30分~1時間もあればほとんどの場合十分な説明が行えるのではないかと思います。
まったくその通りですが,CV(IVH)に限らず一般に重篤な合併症は「ほとんどの場合」に入らないので省略することがある⇒それが顕在化すると説明が足らないと考える素人がいる,ということです.
揚げ足取りで言っているはなく,非常に確率が低い話を一人一人にどこまで行うか,という問題になるのです.これの対策としては,説明の有料化という方法もありますが,説明の文書化という方法もあると考えています.たとえばCV(IVH)の目的と合併症については詳細ではあっても定型的な説明文を作成する事は可能であり,あらかじめそういう書類(A4一枚で十分でしょう)を作成しておいて医師と家族の両者がサインし保管するだけにしておけば大幅に労力も説明不足も削減できます.少々複雑でも書類を持ち帰れれば何度も読み直して理解しやすくなります.CVに限らず,血管造影や手術などにも援用できる方法だと思います.こういった作業は国全体からすればわずかなコストで可能であり,厚生労働省あるいは医師会が作成してHPなどで公表すれば容易に早急に改善できる問題だと考えています.
ご回答ありがとうございます。
>重篤な合併症は…
>…顕在化すると説明が足らないと考える素人がいる
よく理解できます。誠実に説明しようとすれば本当にむずかしいと思います。専門家と素人における医療知識の差は問題にならないくらい大きいし…。
>説明の文書化
>書類を持ち帰れれば何度も読み直して理解しやすくなります
>わずかなコストで可能
これらのことも病院と関わるようになってすぐに考えました。(別に質問を立てようと思っているのですが)こんな簡単なことが実現できないのは、やはり文書化は都合が悪いと考える勢力の方が上回っているということだと思います。つまり書類を持ち帰って何度も読み直して理解してほしくないという医療者側の総意が現状を表していると言えないでしょうか。
No.5
- 回答日時:
誤解いただくと困るので補足させていただきます。
ICUに入った患者さんについてはIVHを入れたお話はしていませんが、ほぼ毎日30分以上、病状についてはご家族に説明しています。
再度ありがとうございます。
>ほぼ毎日30分以上…
私の父の場合、一か月以上経っても説明らしい説明を受けることができなかったので、これは奇跡のように思えます。
IVHについては、私の聞いた範囲では、知っているのは経験者だけです。一般的な医療知識としてもっと積極的に広めた方がよいと思うのですが。
No.3
- 回答日時:
まれな合併症についてマスコミが大騒ぎした経緯があったということです
メリットについては一切考慮しないうえ,全ての医療行為に関連するリスクを一切理解していないのでそういう扱いになるのでしょう.リスクの説明に要するコストも一切無視しています.説明と同意が近代医療の原則とはいえ,説明を細かくしていたらきりがない.(丸一日説明を続ける事も可能です)どこまで説明し,どこから省略するかというボーラーライン,これのコンセンサスが変動しているという事でしょう.
再度のご回答ありがとうございます。
医療ジャーナリストの力不足ということでしょうか。そのせいか、どうも医療報道に関しては腰が引けている気がしてなりません。
>説明に要するコスト
「時間」のことだと解釈しました。私の経験では、30分~1時間もあればほとんどの場合十分な説明が行えるのではないかと思います。
九州大学の信友浩一教授は「十分に時間をとって丁寧に説明をしてくれるなど、よいサービスをしてくれる医師や病院には診療報酬以外に『上乗せ』でお金を払えるようにしてはどうか」と提言していますが、私は大賛成です。形だけの承諾書やごまかしの説明よりも、お金を払ってでも十分な説明を受けたいと思います。
No.2
- 回答日時:
実施率調査があるかどうかは知りませんが,あったとしても調査には最低でも一年はかかりますし,情勢はそれ以上の勢いで急激に変化しつつあります.検索しても引っかからないし公表しない性格のものではないので全国的な調査は無いと思います.
ちょっと前まではCV(IVH)は合併症はあるものの利益が明らかに危険性に大きく勝る処置と考えられており,医師の裁量範囲内と考えられていました.今でも私の勤務する施設は説明はするものの書類はとりません.口頭説明同意のみです.田舎はそんなもんです.
ご回答ありがとうございます。参考になりました。
「ちょっと前までは…」ということは、次第に問題点も出てきたということなんでしょうかね。
No.1
- 回答日時:
最近の医療行為については何事も最悪の事態を考慮して必ずインフォームドコンセントを実施している病院がほとんどです。
書面でかわす正式なものや単に説明だけで終わらせるものもありますが、ほとんどマニュアルがあり、患者が目を通せる形になっていると思います。事前に説明がない場合は緊急時がほとんどでしょう。おそらくその場合で何も障害がなければ事後の説明もしてもらえるものはないこともあるかと思います。
インフォームドコンセントの重要性は事故(患者が不利をこうむった場合)が起こった場合に、医療現場が不利にならないように予め説明して患者が納得したうえで医療行為を行うというのが前提となり、必ずしも100%ではないことを訴えているという、悪く言えば「逃げ道」を作っていることです。
ただし、過失によるものは含まれません。
要するに医療行為には常に危険や事故が隣合わさっているということです。
ですから、いまどきの病院はよほど医師や看護師に教育が不十分でない限りインフォームドコンセントなしに危険医療行為(注射や採血などの簡単なものを除く)を行うことはないと思います。
この回答への補足
早速のご回答ありがとうございます。
回答者さんに限ったことではないのですが、補足させていただきます。
私がもっとも知りたいのは、「IVHの承諾書」はまだ一部の医療機関で行われているだけのか、あるいは半数か半数以上の医療機関で行われてすでに当たり前のことになっているのか、ということです。よろしくお願いいたします。
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