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 いぜん、NHKのとある番組で、アルミかなにかの金属のカタマリふたつのそれぞれの面を、鏡よりも完璧な平面になるように研磨したあと、接着剤とかを一切使わずにグッと密着させるだけで完全にくっついてしまう、という実験をしてまして、この現象を知らなかった私はかなりビックリしました。
 この現象は理屈の上では、金属に限らず、どんな物質でも起こるものなんですか?
 また、この現象により接着したものは、完全に「一体化」してしまったんでしょうか?言い換えれば、もともとひとつの物体だったもののように、なんらの継ぎ目も残さず、完全に融合してしまったのでしょうか?
 この現象はなんと呼ばれているのでしょう?
 詳しい方、教えて下さい!

A 回答 (13件中1~10件)

 


>この現象は理屈の上では、金属に限らず、どんな物質でも起こるものなんですか?

これは、固体を固体としてまとめ構成している分子間引力や結合力によるもので、原理的には、すべての固体物質同士で、こういう現象は起こり得ます。

ただ、色々と物質により「条件」が必要になり、日常的な固体物質のあいだでは、こういう現象は普通観測されません。

しかし、先の方が述べておられるように、真空での金属などの場合は、条件を人為的に整えないでも、真空に磨いた金属を露出させているだけで「条件」が整うことがあり、接合が起こり得ます。

液体の場合を考えてみてください。水に水を注ぎ加えると、普通は、一体化して、どれが最初の水で、後から入れた水と最初の水の「境界」はどこにあるのか、と言っても、そんなものはありません。完全に一体化してしまいます。

液体一般は、同じ種類の液体だと、こういう風に、境界なく混合してしまいますし、異種の液体でも、混合することが多いです(水と油のように、混合しない液体同士も無論あります)。

液体の場合は、簡単に一体化するのに、固体の場合は、何故簡単に一体化しないか。それは、液体は、確かに分子構造を持っていますが、分子と分子のあいだの結合が緩やかな力でつながっていて、「三次元的立体的に」、分子構造が決まっていないからです。

液体に同種の液体を注ぐと、液体の分子同士で、緩やかな結合を取るので、簡単に混じり合って一体化してしまうのです。

固体物質で、こういうことが起こらないのは、まさに、立体的三次元的に、分子結合が構成されているからで、また、通常の固体は、空気中にあると、表面が酸化等して、化学変化を起こし別の物質分子になっているので、同種の固体を押しつけてと思っていても、あいだに異種の物質があって、接合しないのです。

液体などの場合も、酸化などで変質しますが、全体が変質する訳ではなく、例えば、油だと、表面だけが酸化して膜になるが、なかは質の変化を起こしていないので、表面の変質した液体とは混じらないが、なかの変質していない液体とは混合して一体化することができます。

しかし、固体の場合、酸化膜などの表面の別の物質で被われた「内部」に、どうやって、例えばアルミの分子面を接触させるか、液体と違って、固体のなかに入って行ける訳でないので、簡単に接合・一体化が起こらないのです。

ただし、蝋などの物質は、長時間重ねて置くと、一方が他方のなかに、沈み込んで一体化するというようなことがあります。これは、ガラスもそうですが、これらは、非晶質と言い、丁度、液体と固体の中間のような構造になっているからです。

岩石でも、長い時間で見ると、同じような性質があります。ただ、岩石の場合、同種物質というのが難しいので、そのままでは、一体化しません。

「接合・一体化が可能な条件」というのは、その固体物質の分子結合というか、結晶の三次元的な構造が影響します。金属の場合も、三次元的構造があり、結晶なのですが、結合のために、微妙に決まった方向に原子が並ぶ、組立立体パスルのように、凸部と凹部が組み合わさらねばならない、というような厳しい条件ではありません。

従って、アルミとか、鉄の表面を十分に綺麗にし、純粋な鉄やアルミが露出するようにして、同じように条件を整えた面と接合し、「圧力」を加えると、平面がほぼ完全である場合、分子間結合が、二つの面のあいだ生じ、接合が完成し一体化します。

この場合、平面の度合いは、分子の結合力が到達する範囲の誤差で、互いに接合できるような条件でなければならず、一部はそういう条件になっているが、他の部分はそうでないと、条件にあった部分だけが接合し、そうでない部分は、接合していないという状態になります。

「圧力」をかけるのは、普通の状態で押しつけただけでは、突起部などが少しでも残っていると、それに邪魔されて、分子同士が結合できる距離にまで平面が接近しないからです。

かなりな圧力を加えると、平面に多少の不整合があっても、押しつけられることで、互いに分子の露出した面が、くっつき合う距離になるので、分子結合が成立し、接合し、一体化するのです。

完全な平面や、完全に不純物のない表面を造ると、圧力をかけなくとも、触れさすだけで、接合します。粘着テープや接着剤の固まり始めた場所に指を触れると、くっつくのと同じことです。

鉄などだと、色々な不純物を混ぜて合金にしていることが多いので、うまく分子と分子が接合しないことも起こり得ます。つまり、単一物質の固体で、しかも分子の立体構造が比較的融通のきく物体なら、このような方法で接合できるということです。

接着剤は、まさに、複雑な構造の固体物質の分子構造と、かなり自在に分子結合できるような物質で造られていて、最初液状なのは、相手の固体表面の分子構造に応じて、それに応じた結合を接着剤の分子で選択できるように、丁度、液体が混じり合うのと同じ原理で、分子結合を築くためです。

普通、二つの表面に接着剤を塗って、乾燥しかけると、接着剤同士を接合して、これで接着ということになります。接着剤同士は、同じ物質構造で、また完全に乾燥していない状態だと、分子結合力の活性が残っているからです。完全に乾燥すると、活性は消えます。

水晶と水晶でも接合しますが、水晶の場合、結晶の分子配列が非常に規則的で、立体的に方向を持った整列構造なので、この整列方向とうまく整合しないと、水晶同士の接合は不完全になります。非常に微妙で精密な結晶格子と、方向も含めて接合させるというのは、難しいのです。

無理に接合させても、結晶の配列方向が違っている接合面が後の残ります。そして、この接合面を境にして、水晶の結晶整列の方向が違っていることになります。

シリコンウェハースの場合は、普通、エピタキシャル成長という方法で結晶を造り、薄板(ウェハース)は、この成長軸と垂直な面で切断して薄い板にするので、ウェハース同士では、結晶の並んでいる三次元的方向が揃っているのです。それ故、水晶の場合には非常に難しかった、結晶配列の立体的方向性の条件が、整っているので、接合が可能になります。

異物質の固体同士の接合になって来ると、水とアルコールは溶け合うが、水と油は溶け合わないのと似て、接合できる場合とできない場合などが出てきます。

なお、金属などだと、溶けるまで熱しなくとも、ある程度熱を加えて、不純物を十分に除去した面を圧力をかけて押しつけ合うと、平面がそれほど完全でなくとも、接合し一体化します。これは、熱によって、結合性が高まり、そこに圧力が加わるので、金属面が融通を持って、結合する方向へと曲がるためです。しかし、圧力が小さいと、あいだに空気が入ったりします。

また、熱ではなく、超音波と圧力で接合させる方法もあるようです。

この現象は、一般的には「接合」ですが、「固相接合」というのではないでしょうか。あいだに、はんだや銀ろうなど、また接着剤を使うのも、もしかたら、固相接合かも知れませんが。
 
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この回答へのお礼

スゴーーーー!!
我が目を疑うテキスト量、疑問を残さぬ精緻な解説、おまけに読みやすさを考慮した段落分け!!
パーフェクトとしか形容できません。手間を度外視した親切さもありがたいの一言。
参考書が執筆できそうですよね。自分も今後、回答者の側に廻ったときはぜひ見習いたいものです。
まことに、ありがとうございました!

お礼日時:2002/05/24 18:58

12の回答で、


>従って、アルミとか、鉄の表面を十分に綺麗にし、純粋な鉄やアルミが露出するようにして、同じように条件を整えた面と接合し、「圧力」を加えると、平面がほぼ完全である場合、分子間結合が、二つの面のあいだ生じ、接合が完成し一体化します。

金属は「分子」でなく、金属結合で、原子を自由電子で囲んでいる状態です。
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この回答へのお礼

再度カキコありがとうございます。
補足ですね。
ますます理解が完璧に近づいた気がします!

お礼日時:2002/05/24 19:19

接着剤の原理と同じになります。


接着剤は互いの物質の隙間に入り込むことにより、分子間力を働かせます。
なので、もともと完全に互いの物質を原子/分子レベルであり合わせることが出来るのであれば、接着剤は必要ありません。

完全にぴったりと物質を隙間なく合わせると分子間力によりくっつきます。

完全な平面を作るのは容易でないので、柔らかい物質だとあまり例は無いかもしれません。
堅い物質ではガラスなども張り合わせることが可能です。この接着方法をオプティカルコンタクトと呼んでいます。
あと、シリコンウェハー(半導体チップを作るもとの鏡面に磨いた円盤)を2枚同様にして張り合わせるとやはりぴったりとくっつきます。
この方法はシリコンウェハー上に良質の絶縁層を形成する方法として利用されることがあります。

完全に融合してしまったかどうかというのはケースバイケースでしょう。
張り合わせ精度が非常に高ければそうなるでしょうし、でも不完全であれば残るでしょう。
また、張り合わせが結晶同士だと、完全に結晶方位、位置を合わせ内限り継ぎ目は残るでしょう。
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この回答へのお礼

すごい・・・非常に分かりやすく、かつ突っ込んだ回答が得られて嬉しいです。ありがとうございます。
 よく分かりました、理論の上では(精度の問題がまったくないとすれば)どんなものでもこの接着方でつなぎ合わせることができるんですね。
 一般人とありますが、専門家さんではないですか?
ありがとうございました!

お礼日時:2002/05/23 21:59

この現象は、全ての金属で起こると思われます。

金属の原子は、金属結合によって結び付いています。金属結合は、金属イオンの間を自由電子が行き来しているだけの結合です。同じ元素の金属を完全に密着させれば、金属の元々繋がっていた部分と密着させた部分と間には、何の違いもなくなります。よって、二つの同一元素の金属の塊は、一体化して一つの金属の塊になってしまうのです。この現象は、ガラス対ガラスでも起こります。板ガラスを濡らしてから、その上にガラスコップを滑らせると、板ガラスに引っ掻き傷がつきます。これは、水がガラスの間の汚れを洗い落とし、真にガラス対ガラスの接触になるからです。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。
なるほど、金属においては「完全に一体化する」と考えても良さそうですね。
「表面同士」の現象は、思ったよりもはるかに複雑で多様な種類の現象が起こっているんですねえ。
勉強になります。

お礼日時:2002/05/23 21:52

「金属」では「自由電子」というのが原子を固める力を持っているので、


密着した金属同士で、電子が自由電子として行き交う状態であれば、「一体化」になります。熱で溶かす、というのとは、ちょっと違います。

「イオン」結晶(食塩など)はもろいですが、金属は「ねばり」があります。ズレを自由電子がまとめている形と考えればイメージしやすいと思います。
「完全に平面」というのは技術的には難しいと思いますが、鉛やアルミニウムみたいな軟らかいものをつかえば、可能かな。

「分子間力」は、やはり「ねばり」が劣ります。金属ならではの現象じゃないでしょうか。
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この回答へのお礼

ははあ、なるほど!
どんな物質にもあるのが「分子間力」で、金属にはそれに加えて「自由電子」もつなぎとめる力に一役かっている、ということですね?
ということは、他の物質を使うとくっつくことはくっつくけど金属ほど強くはくっつかない、ということでしょうか。
ありがとうございました。

お礼日時:2002/05/23 21:46

くっつける物の種類にもよりますが、#4の方が仰るように分子間力でくっついているのでしょう。

例えば鉄どうしを極めて平滑に研磨し、互いに押し付けると分子同士の距離が一塊の鉄の状態に極めて近くなります。この状態では分子同士が引き合う力によってあたかもひとつの物であるようにくっ付いてしまいます。

この現象とはちょっと異なりますが、面白い現象をひとつ紹介しておきます。純金と鉛の塊を密着させて置いておくと、その接合面では金と鉛の合金状態になってしまい、これは完全にくっ付いてしまいます。
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この回答へのお礼

 ありがとうございます。
なるほど、本来、原子同士の距離を縮めてやれば物質は自然とつながる・・・わけですね?
 金と鉛のお話は驚きでした。酸化皮膜ができにくい性質だからなのでしょうか・・・

お礼日時:2002/05/23 21:41

非常にうる覚えなんですが、


ガスこんろの点火装置か安全装置に使われていて、
ノウハウがいっぱいあるためどこかのメーカしか作れないそんな部品に
この原理が使われていたような、、、

どなたか分かる方いませんか?
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この回答へのお礼

?ありがとーございます?
確かに自分も、「この現象を工業的な技術として利用できないのだろうか?」と思っていたので、使われていても不思議ではなく思います。
誰か知ってる方がいるといいんですけどねえ。

お礼日時:2002/05/23 21:35

 私もかなり以前NHKの深夜番組で見ました。


 大学の研究室の話で、金属と宝石のような鉱石の表面を真っ平らにして、真空中でレーザーを当てて表面の汚れと酸化皮膜を完璧に落とします。そしてその二つをくっつけると離れなくなるというものでした。さらにその身近な物で実験できる例としては、釣りに使う比較的大き目(手で持ちやすい程度の)の鉛の重りを二つ、擦り合わせるとそのうち熱くなってきてくっ付いてしまうとも言ってました。これも擦り合わせるうちに金属表面の酸化皮膜の内側の金属(鉛)そのものが直接触れ合うことでくっ付いてしまうんだとか。 ついでに宇宙空間で使われる工具類にはこういった理由からくっついてしまわないようにコーティングしてあるんだとか。
 この番組の中でもうひとつ面白い物があり、陶磁器の割れ方をセンサーを使ってコンピューターに取り込み、破壊されるときの特徴を調べその特徴をもたない陶磁器を造ったというものです。 その陶磁器(皿)は、一般的に出回っている木ネジ(鉄板ビス)を立てても割れず、ネジが貫通してました。
 うろ覚えなんで正確でないかもしれませんがお役に立てれば。
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この回答へのお礼

お役に立ちました、ありがとうございます!
 確かに番組中でも研磨した後、何かの薬品に漬け込んで酸化皮膜ってやつを落としてました、今思い出しました!
 陶磁器の方の記述は、スイマセン、読んでもちょっとよく分からないです。

お礼日時:2002/05/23 21:32

既に何名からか回答されておられます様に二つの物体の電子結合による力で接合されます。

 この現象は真空中で顕著で、地上では問題なく動いていた(滑っていた)アームや開閉装置が宇宙空間で融着して開閉しなくなる等トラブルの原因にもなります。 分子構造上は2つのブロックが一つになった様な振舞いをします。
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この回答へのお礼

へーえ、そうだったんですか!
上のほうの回答者の方も「表面の酸化の膜」がなければもっと起こりやすい、みたいなことを言われてますが、真空中ではよく見られる現象らしいですね。でもそれが宇宙探査の障害になるほどだったとは・・・知りませんでした。
 ありがとうございました!

お礼日時:2002/05/23 21:27

分子間力の問題ですね。



鏡より完全な平面と言うことになれば、分子間力でくっついてしまいます。

もちろん一つに融合したわけではありません。また、どんな物質でも起こる現象です。

分子間力については、「分子間力」「水素結合」「ファンデルワールス力」「クーロン力」などで調べて勉強してみて下さい。
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この回答へのお礼

 ありがとうございます。
 番組中の解説を思い出すに、おっしゃるとおり「分子間力」に間違いないと思います。
 やっぱりそのモノの材質に関わらずに起こる現象だったんですね。

お礼日時:2002/05/23 21:18

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