プロが教える店舗&オフィスのセキュリティ対策術

TVや映画で向かい合って会話するシーンは
せりふをしゃべる俳優に向けて画面が交互に切り替わります(当然ですが)。
これはそのせりふ単位に撮影するのですか?
それともずーとカメラを回して、後で編集しているのですか?
前者だと、数秒間単位の撮影で相手俳優無しです。時間も5分の
撮影に1時間以上かかるのでは? 
後者だと、演技は出来そうですが2台カメラが必要で、
しかももう一方のカメラが写ってしまいそうです。
もし前者だと俳優さんは感情が途切れずに演技できるものなんでしょうか。
これが集会のような大人数の時はどうなんでしょう。
前から気になっていたので教えてください。

A 回答 (3件)

テレビの場合、スタジオ撮影では主にマルチと言って複数のカメラを復調整質と呼ばれる言わば司令塔でコントロールしています。


通常、テレビの収録スタジオには4~6台程のカメラがあり、そのシーンで必要なカットを夫々に撮影する為に予め予定されたプランに則り作動しています。
これ等の捉えた映像を、復調整室で必要な部分のみを切り替えて収録機でテープに録画してゆきます。
ですから、芝居の流れは切る事無く、必要に応じて欲しい部分を捉えた映像を選択してゆく事が出来ます。
勿論、この収録するカメラを切り替える作業(スイッチングと言います)で失敗があればNGと成ります。
各カメラマン、被写体の他に、この様な部分でも本番で気を抜けない分けです。
また、複数のカメラがお互いに映らない位置で撮影出来ない場合は、先ず片側のみを撮影してお芝居を最後まで撮り、次に同じ芝居を繰り返して残りの方を撮影すると言う方法が多く用いられます。
この方法は、出演者に同じ芝居を同じタイミングで演じてもらう必要が有るので、二度同じ芝居を繰り返す事が不可能、或いは難しい場合には使いません。
その場合にはカット毎、または複数カットからなるブロック毎の撮影となります。
例:
二人の人物が向かい合って話している場合、夫々を狙うカメラが互いに映らないように人物夫々を斜め前方よりアングルに捉え、芝居を最後まで通して必要な部分をスイッチングして撮影します。
途中、どうしても必要な、正面からのカットは、その部分の芝居を俳優に繰り返して貰い、夫々に撮影します。
編集時にこれ等の映像を繋ぎ変えてそのシーンが完成します。
結果、カット構成が以下のシーンの場合、

c1・人物Aの斜め顔
c2・人物Bの斜め顔
c3、4・c1、2の繰り返し
c5・人物Aの正面の顔
c6・人物Bの正面の顔
c7・人物Aの正面顔
c8・人物Bの正面顔
c9以降・c1、2のアングルの繰り返しで最後まで

先ず最初から最後までをカメラ二台でC1、2のアングルに構えてスイッチングしながら撮影します。
次に、c5、7の人物Aを撮影し、最後にc6、8の人物Bを、芝居を繰り返して撮影します。

ロケーションではこの復調整室の設備が無い為、カメラ1台でカット毎、或いは方向毎の撮影を繰り返すか、或いは2台で同時に撮影し、編集時に必要なカットのみを使います。
前者の場合は当然、同じ芝居を何度も繰り返す必要が有ることから、撮影に時間がかかります。後者の場合はカメラ、カメラマン、収録機等が倍必要なのでコストがかかります。

>時間も5分の撮影に1時間以上かかるのでは? 
かかります。と言うよりも、通常は完成尺が5分のシーンであれば1時間で撮影する事など殆ど不可能です。
通常、効率の良いスタジオ撮影で、一日に撮影できる完成尺は10~20分程度です。様々な条件により、1日に2~3分しか撮影できない場合や、30分以上撮影できる場合も有ります。
また、ロケーションでは1日に10分も撮影できれば御の字です。
スタジオ、ロケ、何れも、ここで言う1日とは、平均して10~15時間位です。様々な準備時間まで考慮すればそれこそ早朝から深夜までとなります。

>俳優さんは感情が途切れずに演技できるものなんでしょうか
ある程度これが出来なければ俳優としては使えません。
弱冠の修正は編集等でも可能ですが、根本的に芝居が繋がらない場合には上手く行くまで何度でもやり直します。

>これが集会のような大人数の時はどうなんでしょう
大人数が集う場面の撮影等、ぶつ切りで撮影するとつながりに支障が出る場合、通常は一番広い、全員が映る映像をなるべく繋げて撮影します。繋がりや感情は、例えば間に特定の人物のUP等が入れば多少は誤魔化せますので、広い画を最後まで撮影した後に、少人数の映る映像、最後に一人だけの映像を撮影する事が多いでしょう。

これは飽く迄も日本のテレビ撮影の手法です。ハリウッド等では、ロケーションでも初めから複数のカメラを同時に回して、編集時に使えるカットだけを拾って編集すると言うコストの高いやり方が主流のようです。
嘗ては日本映画でも、予算の有る大作ではこの様に撮影していた物もあります。

この回答への補足

>この収録するカメラを切り替える作業(スイッチングと言います)で失敗があればNGと成ります。
えーっ、切り替えのタイミング間違えそう。
スイッチングって野球などの実況放送は理解してますが
ドラマは編集でやっているもんだと思ってました。
後でじっくり出来ないのでしょうか?

追加質問:映画ではフィルムにずーっと撮るので、
カットがいっぱいあるとどれがどれやらわかりません。
どのシーン撮ったか記録が必要と思いますが
どうやって記録するのでしょう。
専門の記録係が居るのですか?

>ロケーションでは1日に10分も撮影できれば御の字です。
想像以上に時間がかかるもんなんですね。
映画の編集は、せっかく撮ったシーンを何分の一かに
切捨てていくのでもったいないですね。

>ある程度これが出来なければ俳優としては使えません。
喜怒哀楽、俳優さんってすごい。
そういえば出番待ちだけで、一日つぶれたとか。
凡人にはテンション維持不可能。

>ハリウッド等では、ロケーションでも初めから複数のカメラを同時に回して
それってそんなにコストがかかるのですか?

映画撮影にとても詳しい方とお見受けしました。
追加質問があったので補足に書かせて頂きました。

補足日時:2007/04/21 20:18
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この回答へのお礼

懇切ていねいな説明ありがとうございました。
これから映画やドラマを見る時の見方が
変わりそうです。とても参考になりました。

お礼日時:2007/04/24 22:01

すでに回答にありますが付け加えておきます。



>せりふ単位に撮影するのですか?
日本映画の場合はカメラは一台なのでセリフ単位に撮影することが多いです。その際には細切れに各カットずつ撮影することもあれば、通しで長く回しておいて後で編集する方法もあります。
会話を交互に撮影すればいいような気もしますが、撮影ではライティング(照明の設置)が一番時間が掛かるので、効率を考えるとどちらか一方を撮影した方が時間の節約になります。

TVドラマの場合は数台のカメラを同時に回し、サブ(副調整室)と呼ばれる録音録画の機械が置いてある撮影スタジオに設置されたミニ編集室のようなところで録画機に収録します。サブと呼ばれるのはTVの場合は電波をながす放送機器が置いてある部屋が”主”になるので、同じような機械が置いてあっても区別してサブといいます。
サブでは撮影の際、スイッチングというカメラの映像を切り替える機械で、必要な映像だけをチョイスする作業をします。
これに関してはNo2の方が詳しく書かれているので省きますが、場合によってはスイッチングの他に”裏スイッチング”といってスイッチングで選ばれていないカットを録画しておくこともあります。
例えば会話の場面ではセリフをしゃべっている人物を写すのが普通ですけど、時には聞いている人の顔を写した方がいいこともありますよね。
男女がケンカしていて互いに怒ってセリフをしゃべるところよりも、神妙な顔で聞いている表情を写した方がより効果的なときもあります。撮影の際にはいろんなカットがあった方が、より凝った編集ができることになるんです。


ドラマの撮影ではあらかじめカット割りが細かく決められて、一つのシーンを撮影するときには、ドライ、カメリハ、ランスルーという、流れをとって仕事をしていきます。
ドライは役者たちのセリフや動きの確認、
カメリハはカメラのリハーサルの意味でカメラの動きやどのセリフの時にどんなアングルで人物をアップで写すのか、それとも少し離れた位置から撮影するのかなど決めていくことです。
ランスルーは本番前のテストといった感じで実際に役者の動きをそれぞれのカメラが追って本番に備えます。
そららが整ったところで本番になるんですけど、ドラマの撮影ではワンシーンを通して(一回で)撮影してしまうのが普通です。

撮影の時間はドラマだと一日かかっても使えるのは5分から10分程度になります。ですので一週間かかって(休みと準備も入れて)一話分を撮影するのが普通です。
映画だと一日に使えるカットはまあ5分あるかないかでしょうか?
監督によっては数日に数秒しな撮れない、なんて人もいます。
巨匠と呼ばれるような大監督だと納得がいくまで粘るんで数ヶ月に数分っていうこともありました。
これとは逆で5日くらいで一本撮ってしまうような監督もいるにはいるんですけど。

>感情が途切れずに演技できるものなんでしょうか。
こうならないようにするのがまあ役者の腕の見せ所でもあるんですけど、普通に考えたら無理ですよね。
例えばロバートデニーロは「レイジングブル」というボクシングの映画の時には準備の声かがかるとカメラの近くに置いてあるサンドバッグを殴りつけ、感情が高まってきたところでカメラに向かったそうです。
黒澤監督もこの感情の途切れを考慮して数台のカメラで長く回してしまう、ということを好んだようです。

大人数の撮影では引いた画を先に撮影して、後で寄った画を撮る、というのが基本ですが、場合によっては引いた画でもカメラをわからないようにして同時に撮影することもあります。
ハリウッド作品だと同時に5台から6台のカメラを回しますし、撮影中に一台のカメラに他のカメラが映ってしまうことがあっても、少しアングルを変えたりするなど、あまり気にしていないようです。
とにかく編集の材料を揃えて、編集でなんとかしてしまおう、っていう考えが普通のようです。こんなことは日本や欧州じゃ考えられませんけど。
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この回答へのお礼

やさしい説明ありがとうございます。
”サブ”の意味とか”裏スイッチイング”とか
勉強になります。
カメラアングルってパターンが出来上がってると
思いますが大事ですよね。
でも1分間に十数回も切り替わるカット(編集?)を考えるの
は気が遠くなりそうです。

”一日数秒、数ヶ月で数分”、俳優、スタッフ、裏方、費用
を考えると監督というのは王様みたいでよっぽど自分に自信が
無いと務まらないですね。
(生き物や自然や列車など背景の景色待ちみたいなのもあるでしょうが)
想像以上に大変なのが良く分かりますが気が短い性格だとやってられないですね。
でもこれだけ努力して観客数や視聴率が低かったら泣いちゃいますね。

>とにかく編集の材料を揃えて、編集でなんとかしてしまおう
私なら絶対こっちです。その場で考えてられませんから。

いっぱい書いて頂いたのでとても参考になりました。

お礼日時:2007/04/22 08:25

撮影のシチュエーションによるのではないでしょうか?



質問者様のおっしゃる通り、演技者の気持ちの持ちようが重要なシーンで、ぶちぶちカットがかかっては、演技に集中できないと思います。

確かにカメラが2台用意できれば映り込まないようなアングルで、後者ですが、他にもう一つ方法があります。1台のカメラで、一人分の台詞を一気に撮影する、2人分を後で編集する、です。
これだと、カメラ1台、台詞を途中で中断しないので、気持ちも維持できると思います。テレビのドラマでは確実に複数台のカメラで撮影してますよね。
俳優の手配が大変だから、時間のかからない撮影方法を選ぶと思います。

>画面が交互に切り替わります(当然ですが)
とありますが、裏で台詞が聞こえていて、それを聞いている俳優の表情を撮り続けるなんてシーンも効果的ですよね。

大人数では、多分全体のシーン(引きの映像)を撮ってから、部分的にアップになる俳優のシーンを別テイクで撮ると思います。
例えば、大広間の真ん中に大きなテーブルで食事をしているとなると、カメラのいる場所がないと思います。

現場にたずさわったことはないですが、映画には将来的に作品を作りたいと思うほど興味がありますので、想像で答えてみました。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。
>一人分の台詞を一気に撮影する
こういう場合は、撮影助手の人が相手俳優の代わりをするんでしょうか。
部分アップは別テイクで撮るのですね。
ということは、撮影に入る前に台本から組み上げた
コマ割というかシーンが既に監督の頭の中には
出来上がっていないといけないんですね。
定石みたいなのはあると思いますが
事前の計画や準備も大変そうですね。
参考になりました。

お礼日時:2007/04/21 19:05

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