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MRIやNMRなどの核磁気共鳴装置で起こりうる事故としてクエンチという現象がありますが、いまいちどういう現象なのか理解できません。物理の本などでは「超伝導が破れて常伝導になることで一気に液体ヘリウムが蒸発して噴出する・・」というようなことが書いてありますが、どうしてそういったことになるのか教えてほしいです。そしてそのような状況になると何故液体ヘリウムが蒸発するのでしょうか?

A 回答 (6件)

物理実験で超伝導磁石を使っている者です。


クエンチの個別現象が回答されているので、分かりやすくまとめてみます。

1.物理的ショックや装置の劣化、操作ミスなどの原因で、冷却されている超伝導磁石の中の超伝導線の一部が常伝導になってしまう。

2.超伝導状態では電磁石の電気抵抗がゼロなので、強い磁場を作るために通常は限界に近い大電流が流れており、常伝導になった部分に生じた抵抗で大きな熱が発生する。

3.発生した熱のために、常伝導になってしまった付近の超伝導線が暖まり、超伝導が破れて常伝導の部分が広がる。広がった常伝導部分でさらに大きな熱が発生し....という1,2,3の連鎖反応が瞬時に起こり、超伝導磁石中を流れていた電流が一気に熱に変わる。これは、別にセラッミックス系の高温超伝導材料に限らず、金属系の低温超伝導材料でも同じことです。

4.超電導磁石を冷却するのには、通常は液体ヘリウムが使われていますが、液体ヘリウムというのは水や液体窒素に比べて非常に蒸発熱(液体を気化すのに必要な熱量)が小さく、例えば水が540cal/mL、液体窒素が約40cal/mLなのに対し、液体ヘリウムはわずか0.6cal/mLですから、発生した熱であっというまに大量の液体ヘリウムが蒸発してしまうわけです。

通常は、このようなクエンチ対策として、液体ヘリウムデュワーにガス放出弁が、超伝導磁石には超伝導コイルが常伝導になった時に、常伝導状態のコイルより抵抗が小さいバイパス導線を液体ヘリウムの外で並列に繋いで、その部分で電流を消費して液体ヘリウムの蒸発を押さえる、などの工夫がなされていますが、完全に安全とは言えないのとクエンチによって超伝導線が徐々に劣化する可能性が有るので、出来るだけクエンチは避ける注意が必要です。
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この回答へのお礼

とても詳しく説明してもらいありがとうございました。
参考になりました。

お礼日時:2007/07/22 21:57

クエンチしたときの映像が見られます。


換気の悪い場所では窒息の恐れがあります。

http://grc1.med.tottori-u.ac.jp/kiki/kiki3/nmr.h …
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この回答へのお礼

映像見ました。なんだか恐ろしいですね・・
ありがとうございました。

お礼日時:2007/07/22 21:56

超伝導コイルに蓄えられた磁気エネルギーが、常伝導になると、熱に変わる。

熱になったエネルギーは、比熱の低いヘリウムを蒸発させてしまう。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。参考になりました。

お礼日時:2007/07/22 21:55

今まで、超電導電磁石を使っていた中でクエンチした状況は



落雷による瞬停

鉄などの磁性体を誤って吸い込んでしまい磁場が急激に変化してしまった

冷凍機の性能が衰えていたため、超電導の相転移温度ぎりぎりで使用していた

という状況でした。ご参考までに
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この回答へのお礼

いろいろと事例を書いてくれて参考になりました。
ありがとうございます。

お礼日時:2007/07/22 21:54

まず超伝導というのは、液体ヘリウムなどの超低温液化ガスで「冷却する事」で発生している現象で、超伝導状態の時の電気抵抗は「0」です。

つまり、どれだけの大電力を通そうとも、抵抗がない訳ですから熱が発生しません。

この超伝導状態が破れた時(クエンチ)、高温超伝導体は多くの場合、不良導体になります。飛躍的に電気抵抗が増えて、不導体となった超伝導体から膨大な熱が発生する訳です。当然この熱はそれまで超伝導体を冷却していたガスが吸収する訳で、この熱は液化ヘリウムを沸騰させてしまう訳です。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。参考になりました。

お礼日時:2007/07/22 21:53

超伝導では電気抵抗が0なので発熱がありませんが、そこに電気抵抗が生じれば、流れていた電流による発熱が起こります。

結果的に、ヘリウムが急激に気化して噴出するということです。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。参考になりました。

お礼日時:2007/07/22 21:52

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