ある国の永住権を取得し、日本の住民票を抜いた上でその国に在住している日本人夫婦です。ただし、日本にも夫と妻それぞれ名義の財産(貯金、株式、投資信託)が残っており、夫名義のみですが印税収入も毎年あります。現在住んでいる国で英語の遺言書を作成した場合、
1)全文自筆である
2)日付、署名、押印がある
という条件を満たしていれば、その遺言書は日本の財産にも適応可能なのでしょうか? 具体的には、その英語の遺言書を銀行なりに持参すれば、私の死後に私名義の財産を夫名義へと変更することができるのでしょうか? できれば、居住国と日本のそれぞれで遺言書を作成するということは避けたいので、いずれの国で遺言書を作るべきかを知りたいと思っています。なお、日本大使館に問い合わせたところ、遺言書の預託は行っていないと言われました。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
「遺言の方式の準拠法に関する法律」第2条では、下記の方式で作成された遺言はいずれも有効であるとされています。
一 行為地法
二 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時国籍を有した国の法
三 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時住所を有した地の法
(以下略)
お尋ねの件の場合、日本の方式で作成された遺言状は、内容が法律の規定に合致している限り、日本の法律からは有効とみなされます。
民法やその他の法律には、遺言で使う言語についての制限はありません(そもそも日本には、法定の「公用語」が無い)。ただし、裁判所法第74条では「裁判所では日本語を用いる」と規定されていますので、英語で作成した遺言書の場合は家庭裁判所での検認の際に翻訳の提出を求められることになると思います。
また、お尋ねのケースとは逆に、居住国の法律に則って作成された遺言状も、日本において有効とみなされます。
日本にある財産を相続するなら、(作成地に関わらず)日本の方式によって作成した遺言状で事足りると思いますが、居住国の銀行口座などの財産について手続をする際は、他に手続が必要だったりするかもしれません。
可能であれば、現地と日本、両方の法律に通じている弁護士(その他、居住国で遺言に関する実務を執行する資格をもつ法務のプロ)に相談された方が良いでしょう。
この回答への補足
さっそくのご回答ありがとうございます。
居住国の法律に合致するものを自筆し、署名、押印すれば、居住国でも日本でも有効になるように思えてきました。
自筆、署名、押印した遺言書が居住国の法律で有効となるかどうかは居住国の弁護士に質問しようと思います。
もしこの質問に対する弁護士からの答えがYesである場合、作成した英語の遺言書を家庭裁判所に翻訳付きで検認してもらえれば、その検認済み遺言書を持って金融機関を回れば名義変更ができるということでしょうか?
また、この場合の翻訳というのはどこか特殊な翻訳会社に依頼する必要があるのでしょうか?(裁判所の検認を受けるためだけのために1回翻訳するだけであれば、莫大な翻訳料が必要となることはないとは思いますが、やはり気になります)
なお、居住国が小国であるため、「現地と日本、両方の法律に通じている弁護士」はいないのではないかと思います。
以上2点、ご回答いただければと思います。
No.3
- 回答日時:
>法務局への問い合わせは、(中略)どの課に問い合わせたらよいか
具体的な部署名は法務局/支局ごとに違う可能性もありますが、不動産登記の担当部署…と言えば間違いないと思います。
この回答への補足
大阪法務局HPの「大阪法務局本局への電話によるお問い合わせ先一覧」では、民事行政部の下に不動産登記部門があり、そこに不動産登記の一般的なお問い合わせという番号があったので、帰国したおりにはそこに電話してみようと思います。それにしても、遺言書なのに不動産登記部門というのは意外です。遺言書では、不動産以外にも、銀行預金や株式などについても相続人を指定する場合もあるはずなのに(私の場合は「全財産」という書き方をすると思うのであてはまりませんが)。ありがとうございました。
補足日時:2007/11/20 19:49No.2
- 回答日時:
私も法学部で民法を一通り勉強しただけなので、あまり詳細な実際の運用については明るくないのですが、分かる範囲で…。
居住国の法律に則って作成された遺言状が日本でも有効なのは、その通りです。
日本での検認の際必要な翻訳については、翻訳者の記名押印が必要だったりとある程度決められた書式はあるかと思いますが、それに沿ってさえいれば翻訳者には特段の制限は無かったと思います。その辺りは、裁判所に問い合わせれば教えてもらえると思います。…まあ、レアケースではあるので、場合によっては「調べて折り返し連絡します」なんてことになるかもしれませんが(笑)。
少なくとも、特殊な業者に頼んで莫大な料金を払わなければならない、ということは無いと思いますよ。
日本の法律で有効である以上、外国の方式で作られた遺言状で日本にある財産(口座とか不動産の登記とか…)の処分も、日本で作られた遺言状と同じ手続きでできるはずですが、それについても可能であれば事前に銀行なり法務局なり必要となると思われるところに確認しておいたほうが良いかと思います。
もしお住まいの場所に、日本人会/日本人クラブの様な組織があれば、そこに相談すれば弁護士等を紹介してもらえるかもしれません。現地に支社などを置く日本企業に問い合わせて、顧問弁護士などを紹介してもらうのも一つの手かもしれません。
リタイアした日本人の引越し先としてメジャーな場所であれば、日本の側にも相談窓口があるかもしれません。
この回答への補足
>日本の法律で有効である以上、外国の方式で作られた遺言状で日本にある財産(口座とか不動産の登記とか…)の処分も、日本で作られた遺言状と同じ手続きでできるはずですが、それについても可能であれば事前に銀行なり法務局なり必要となると思われるところに確認しておいたほうが良いかと思います。
法務局とか銀行での事前確認は、レアケースなので時間がかかりそうですね。電子メールでの問い合わせは無理そうなので、日本に帰国した際に電話で問い合わせるしかなさそうです。法務局への問い合わせは、とりあえず大阪でと考えてhttp://houmukyoku.moj.go.jp/osaka/frame.htmlをチェックしたのですが、どの課に問い合わせたらよいか分かりませんでした。可能であれば、どういう課の管轄になるか教えていただけないでしょうか。
日本での検認の手間を厭わなければ、自筆、署名、押印した英語の遺言書を居住国で作成するだけで済む(日本と居住国それぞれで遺言書を作成することは避けられる)ように思えます。ご回答いただいた内容をもって、今度、居住国の弁護士に相談してみようと思います。どうもありがとうございました。
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