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孤立系で考えて、平衡状態A→Bに変わる時、エントロピー増大則より、
不可逆⇒S(B)>S(A)
可逆⇒S(B)=S(A) となり、
状態量のエントロピーが経路に依存しているように見えるのですが、
どうなんでしょうか

あと、同様に、外部の圧力、温度が一定で、体積変化以外の仕事がないとき、
状態A→Bのとき
△G=△H-T△S=Q-Qr    Qrは可逆の熱
可逆⇒△G=0で Q=Qr
不可逆⇒△G<0で Q<Qr
今 Q=△HでQは状態量の変化に等しいのに可逆か不可逆かで
変わってしまっている気がするのですがこれはどういうことなんでしょうか?

A 回答 (3件)

孤立系で平衡状態A→Bに変わる時、不可逆過程における終状態Bと可逆過程における終状態Bが一致することはありません。

終状態が経路に依存して変わるので、エントロピーの変化量も経路に依存することになります。

【証明】平衡状態AからS(B)>S(A)を満たす平衡状態Bに変わる断熱定積過程を考える。この過程が可逆過程であるならば、熱力学第二法則よりS(B)=S(A)となるので、S(B)=S(A)<S(B)すなわちS(B)<S(B)となり矛盾する。よって、平衡状態AからS(B)>S(A)を満たす平衡状態Bに変わる断熱定積可逆過程は存在しない。

断熱定積という条件をはずせば、平衡状態AからS(B)>S(A)を満たす平衡状態Bに変わる可逆過程を考えることができます。断熱定積不可逆過程のエントロピー変化を求めるために、断熱定積ではない可逆過程に沿ってエントロピー変化を計算する、という例題が熱力学の教科書に載っていると思いますので確認してください。

「平衡状態AからS(B)=S(A)を満たす平衡状態Bに変わる断熱定積不可逆過程は存在しない」ことも同じようにして証明できますし、等温定圧での△Gについても同様です。なお上の証明からは「平衡状態AからS(B)>S(A)を満たす平衡状態Bに変わる断熱定積不可逆過程が存在するかどうか」については何も言えないのでご注意ください。

この回答への補足

回答ありがとうございます!
>孤立系で平衡状態A→Bに変わる時、不可逆過程における終状態Bと可逆過程における終状態Bが一致することはありません

不可逆⇒S(B)>S(A)、可逆⇒S(B)=S(A)で、エントロピー増大則の矛盾を示そうとすることがそもそも間違いで、
エントロピー増大則があるのだからA→Bを結ぶ可逆過程と不可逆過程が
両方存在することはないことの証明に利用できる、ということ
でいいですか?

補足日時:2008/06/18 09:28
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> またこのとき(不可逆変化)の△Sを求めたいときQ(可逆)は使えないですよね?(可逆経路がないので)



等温ではない可逆過程で出入りするQ(可逆)を使うと、ΔSが計算できます。

例として、零下5℃の過冷却水を1気圧のもとで零下5℃の氷に変える定圧過程を考えます。
可逆過程は、
 過程1:過冷却水を零下5℃から0℃まで可逆的に加熱する
 過程2:0℃で水を氷にする(等温可逆過程)
 過程2:氷を0℃から零下5℃まで可逆的に冷却する
により実現できます。過程1と過程3が等温過程ではないので、過程1~3を繋いだ過程も等温過程にはなりません。

この過程に沿ってΔH,ΔSを計算すると
 Cwater:水の定圧熱容量(温度に依存しないと仮定)
 Cice:氷の定圧熱容量(温度に依存しないと仮定)
 L:氷の融解熱(1気圧0度のときの値)
 ΔC=Cwater-Cice
として、以下のようになります。

ΔH=ΔH1+ΔH2+ΔH3
 =Cwater・5K-L+Cice・(-5K)
 =ΔC・5K-L

ΔS=ΔS1+ΔS2+ΔS3
 =Cwater・ln(273K/268K)-L/273K+Cice・ln(268K/273K)
 =ΔC・ln(273K/268K)-L/273K

等温ではない定圧過程のΔGを計算するのはかなり面倒なので、ΔGは、上で得たΔH,ΔSをつかって、零下5℃1気圧のもとで過冷却水を氷に変える等温定圧不可逆過程で計算します。

ΔG=ΔH-268K・ΔS
 =(ΔC・5K-L)-268K・(ΔC・ln(273K/268K)-L/273K)
 =ΔC・273K・(x+(1-x)ln(1-x))-L・x …… 5K/273K=xと置いた
 ≒-L・x+ΔC・273K・x^2 (∵ x<<1のときln(1-x)≒-x-x^2/2)
 ≒-L・x
 <0

こんな感じで、ΔH,ΔS,ΔGを求めることができます(計算間違いしているかもしれないので検算してください)。

> このdQ(可逆)は何をあらわしてるんですか?

ごめんなさい。何かをあらわしているんでしょうけど、私にはよく分からないです。一応ヒントになりそうなことを。

ギブスエネルギーGの定義式 G=H-TS に現れる項 TS を束縛エネルギーと呼ぶことがあります。これはエンタルピー、すなわち物質の持っている熱エネルギーのうち、仕事として「自由」に取り出せるのは、エンタルピーHから束縛エネルギーTSを引いたものだという考え方に(たぶん)基づいていて、Gをギブスの「自由」エネルギーと呼ぶというのも(たぶん)ここからきています。

じつは私自身はこの考え方にどうもなじめなくて(正直に言うといまだにちゃんと理解できていなくて)、きちんと説明することができません。すみません。

で、TS ではなくてTΔSを束縛エネルギーと呼ぶ流儀もあるようなので、「束縛エネルギー 自由エネルギー」をキーワードに調べてみると何か分かるかもです。
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この回答へのお礼

どうもありがとうございます!
ここら辺は(も?)イマイチわからなくて、熱力学の勉強は思うように進まなかったのですが、
101325さんのおかげでだいぶ助かりました!

お礼日時:2008/06/20 00:39

> エントロピー増大則があるのだからA→Bを結ぶ可逆過程と不可逆過程が


> 両方存在することはないことの証明に利用できる、ということ
> でいいですか?
いいです。

逆に言えば、「孤立系で、A→Bを結ぶ可逆過程と不可逆過程が両方存在すること」を実証できれば、エントロピー増大則が破れていることを証明できたことになりますので、いろいろ考えてみると面白いかもです。のめりこんじゃうと、トンデモな人になってしまいますけど。

この回答への補足

回答ありがとうございます。P,T一定 PV仕事だけの時
dG=dH-TdS=dQ-dQ(可逆)となって
-TdS=dGなので不可逆変化をした場合あり得ないはずの可逆変化のときの熱がでてきますが
このdQ(可逆)は何をあらわしてるんですか?
 
またこのとき(不可逆変化)の△Sを求めたいときQ(可逆)は使えないですよね?(可逆経路がないので)
ということは△Sは求まらないですか?

補足日時:2008/06/18 17:29
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