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気体の水素と酸素から液体の水が生成するときのギブスの自由エネルギーを求める問題でエントロピー増加量ΔSがマイナスになるんですが熱力学第2法則ではΔSは必ず0以上になるということなんですが何故この場合はマイナスになるんでしょうか?

A 回答 (3件)

確かにこの反応では2モルの水素(s=2x31.211 cal/degree)と1モルの酸素(s=49.003cal/degree)が反応し2モルの水(s=45.106 cal/degree)ができてエントロピー変化は-21.213 cal/degreeとなりますね。

エントロピーが低くなる現象が普通に進行するのはたとえば固体表面へのガスの吸着で直感的にわかります。気体で飛び回っている分子が固体表面に吸着されるのでエントロピーは下がります。しかし十分な発熱(ΔH<0)があって、ΔS<0にも拘わらずΔG=ΔH+TΔS<0が成立する結果、反応はそちらに進みます。

そもそも一般的にはエントロピーについて閉鎖系で
dS=dQ/T...(1)
が成立するのは可逆過程の時です。不可逆過程ならば
dS>dQ/T...(1)'
です。これを等号にするためにClausiusはdQ'(非補正熱)を持ち込んで
dS=dQ/T+dQ'/T...(2)
としました。dQ'=0なら可逆過程、dQ'>0ならば不可逆過程が進行したことになるのです。第二法則で絶対負にはならない、といっているのはこのdQ'です。dS=dQ/T+dQ'/T=dS1+dS2としてdS2≧0を主張しているのです。熱のやりとりのある閉鎖系ではdQは正にも負にもなるのでdS1は正にも負にもなります。孤立系(外界と物質もエネルギーもやりとりしない)ならばdS2しかありませんから孤立系のエントロピー変化は絶対負になりません。
さてdQ=TdS-dQ'ですから
dU=dQ-PdV...(3)
と書いた式も不可逆過程を考慮すれば
dU=TdS-dQ'-PdV...(4)
となります。SとVが一定の系であれば、(4)は
dU=-dQ'...(5)
となります。S、Vが一定での不可逆変化はdQ'>0すなわちdU<0であって、Uの減少を伴います。さらにH=U+PVからdH=dU+PdV+VdPとなり、これに(4)を代入すれば
dH=TdS+VdP-dQ'...(6)
となります。これについてもS,P一定ならば(5)と同様に
dH=-dQ'...(7)
となりS,Pが一定のもとでの不可逆変化はHの減少を伴います。
同様にしてGibbs自由エネルギーについても
dG=-SdT+VdP-dQ'...(8)
を得まして、T,P一定での不可逆変化については
dG=-dQ'...(9)
となります。だから反応のDriving ForceはdQ'に由来し、T,P一定ならその大きさは-dGで評価できるわけです。dQ'/T=-dG/TがT,P一定での系のエントロピー生成です。でも、それとSの変化dS=dQ/T+dQ'/Tとは別の話です。No2さんの御指摘のとおりエントロピーの流出分がありますので。
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この回答へのお礼

みなさん回答ありがとうございました。
よく分かりました。

お礼日時:2009/04/16 16:11

> エントロピー増加量ΔSがマイナスになる



はい。始状態の温度と圧力(気体の水素の温度と圧力と気体の酸素の温度と圧力)と終状態の温度と圧力(液体の水の温度と圧力)が同じであれば、マイナスになります。

> 熱力学第2法則ではΔSは必ず0以上になる

熱力学第2法則によれば、ΔSが必ず0以上になるのは、断熱過程(断熱変化、系と外との間に熱のやり取りがない過程)のときです。系と外との間に熱のやり取りがあるときには、エントロピー増加量ΔSは、プラスになることもありますしマイナスになることもありますしゼロになることもあります。

断熱容器の中で、気体の水素と気体の酸素を混合して反応させる(点火して水素を燃焼させる)と、この反応過程は断熱不可逆過程なので、熱力学第2法則によりΔSは0より大きくなります。また、この反応は発熱反応なので、系の温度は始めの温度よりも高くなります。そのため、高くなった温度を始めの温度にまで下げるためには、系から外へ熱を逃がさなければなりません。この熱が流出する過程でエントロピーが減少します。熱が流出する過程は、断熱過程ではありませんので、ΔSがマイナスになっても熱力学第2法則には反しません。

> 何故この場合はマイナスになるんでしょうか?

正味のエントロピー増加量ΔSがプラスになるかマイナスになるかは、反応によって違いますので一般的なことはいえません(反応熱が大きければ、温度を下げるために流れ出る熱の量も多くなるため)。しかし、ふつうは、気体が反応して固体や液体になる反応では、始状態と終状態の温度と圧力が同じであれば、エントロピー増加量ΔSはマイナスになります。これは、同温同圧では、気体の持っているエントロピーが固体や液体の持っているエントロピーよりもずっと大きいからです。
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ちょっとした誤解です。


>エントロピー増加量ΔSがマイナスになる
なりません。
これはあくまで温度(T)の係数です。
確認のため書くと、
ΔG(T,p)=VΔp+SΔT
ですので、ギブスの自由エネルギー変化はTとpだけの函数であり。VとSは「係数」でしかないのです。
さらに誤解を指摘しますと。
>エントロピー増加量ΔS
ではなく「S」です。再度理科年表等をご覧下さい。
なお、良い教科書サイトがありますのでご覧下さい。↓
http://homepage2.nifty.com/eman/thermo/contents. …
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