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No.3
- 回答日時:
儒教的価値観の好ましい応用例は数限りなく在るでしょうが、分かり易い例は「礼」でしょう。
儒教でいう「礼」とは、この複雑な社会に不必要で無駄な摩擦を起こさせないために導入された、社会的な規範のことです。人間社会の中で我々が生きていると、人間関係で煩わしいことが沢山あります。その煩わしさの中には、重要なことと、余り重要な出ないことがあります。日常生活の中で、この「余り重要でないこと」について、一々それを本人の行動ごとの決意に任せていたら、その人の頭脳の無駄ですし、平安の無駄でもあります。そこで、その「余り重要でないこと」に関しては一々決意に基づいて行動するのでははなくて、皆が認めた合理的なルールに任せて、習慣として行動していれば良いのです。それによって無駄だ摩擦を避けることができるからです。この「余り重要でないこと」に対するルールのことを「礼」というのです。
例えば、その礼の典型的なものは「年功序列」です。レストランなどで誰が上座に座るかなどと言う、あまりにもどうでも良いことを、一々その場で皆の同意を得ながら決めていたら時間の無駄でしょう。そんなもの、年齢順に座る規則を作っておけば,誰も文句がないはずです。何故なら、その規則では生まれや家柄や貧富の違いに関係なく、ただ長生きしさえすれば誰にでも上座に座る権利が出来るからです。こんな民主的な制度はありませんね。
これをもし「実力のある者や、能力のある者が上座に座る」と言うような実力主義にしてしまうと、誰でも自分が可愛く自己中心的ですから、必ず自分の方のが上だと判断するものが出て来て意見の衝突が起きてしまいます。誰が上座に座るかなどと言う、人生にとって余りにも詰まらないことで喧嘩をするなんてアホクサですね。こんな詰まらないことで、みなの心の平安を乱さないようにするために出来が規則が、儒教的な「年功序列」という「礼」の一つなわけです。
お年寄りに席を譲るのも、おなじ年功序列の精神として習慣付けておけば良いので、これをいちいち若者の良心に訴えて判断させるのは、若者の良心の無駄使いです。ですから、子供達には「何故、年寄りに席を譲るのか」を理屈を通して納得させるよりも、それは「規則」だからだと、条件反射的に習慣付けてやる方が、遥かにその子供の心の平安にとっても、また、社会にとっても良いことなのです。
人生には、こんな詰まらないことばかりでなく、もっともっと重要な場面で、その人個人や人々の判断を真剣に必要とする場合が時々起こるものです。そんな時には、いよいよ、既製の規則について本気で考え、もし納得がゆかなければその規則を破ってでも、自己の良心に従った行動が要求されるのです。
このように、「どうでも良いこと」には、誰でも納得するような合理的な規則をつくり、それに無意識で従うことができるように習慣付けを行う。一方において、人生で大切な問題が起こった場合には、その規則を破ってでも、場合によっては年功序列を無視しても自己の良心に従って行動するような人間を善しとする、それが、「礼」という儒教的価値観なのです。
実力のあるものは、何か失敗をした場合や不祥事を起こしてしまった場合、その実力を行使して弱者に責任を押し付けることが巧みですので、「実力主義」ではは往々にして、こちらの予期せぬ好ましからぬ結果を持ち来らすものです。そして、ほとんどの場合、社会の成功者とは「実力」が在った人と言うよりは,むしろ、金持のうちや政治家のうちに生まれたり、適切に教育熱心な家に生まれたなどと言うような、「運が良かった」人達だと思います。
したがって、例えばこの非民主的な「実力主義」を排除して、民主的な「年功序列主義」を導入するなどは、現代社会で大変有効な「儒教的価値観」の応用ではないでしょうか。
中国古代の先人達がこの「実力主義」の欠陥に気付き、そのような不正を起こさせないような、民主的で好ましい社会を作り出すために本気で考え、何とか社会の大多数の凡人達にも人間として平安な生活を保証しようではないかと言う真剣な考察の結果出来て来たのが、「礼」という概念で象徴される「儒教的価値観」なのです。
No.1
- 回答日時:
というか、ほかの儒教的価値観も、
現代日本社会に根付いているので、
応用できないもののほうが少ない。
応用できないのは贈収賄的な礼の作法とか、
(太古の昔に廃れた)音楽系の儀式、
あと平等の原則に反するような
身分的あるいは尊属的な上下関係の価値観とかかな。
五常五倫の全部がつかえるというか、
すでに好ましいものとみなされているね。
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