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羊Aの乳腺の核を、羊Bの核を取り除いた卵に移植し、有る程度分裂したところで仮親となる羊Cの子宮に入れるとのことですが、なぜここで羊Cが登場してくるのでしょうか?
羊Bの子宮じゃ駄目なのですか?
また羊Cは、なんでこれでもって妊娠・出産できちゃうんですか?(雄の羊と受精したわけではないのに・・・)
こんな素朴な疑問を持つぐらいですから学校の生物も真面目に勉強しなかった素人ですが、でもあらためて参考書類を調べても、羊A・B・C間の三角関係は意外と謎ですね。
こんな方法を思いついたのは、どういった理論発想に基づくものだったのでしょうか?
どなたか教えてください。

A 回答 (3件)

 獣医師で、クローン等にも携わっていたことがあります。



 失礼ながら、かなり混乱しておられるようです。基礎知識が中途半端なので仕方ないのですが・・・

 「生殖細胞」と「体細胞」の定義はどう考えておられます?染色体数がnか2nかで分けて考えておられるのでしょうか。でしたら何も混乱することはなく、未受精卵及び精子は「生殖細胞」、受精卵は「体細胞」ですっきり整理できると思うのですが。まあ受精卵を体細胞とは普通言いませんが。
 全能性の有無で分けておられるのでしょうかね?でしたら、受精卵でもかなりのステージまでは「生殖細胞」ということになりますが。
 その部分をきちんと整理して考えていないので、No.1への補足で示した考えも、かなりズレたものになってしまっています。

 さて、まず「羊Bの核を取り除いた卵」を羊Cに移植することについて説明します。
 借り腹("仮"ではありません)となる羊は、No.1さんが書かれたとおり別にAでもBでも構いません。要するに核移植卵の発育ステージと発情周期が同期化されてさえいれば良いわけです。かみ砕いて言うと、核を移植して卵割(これも普通"分裂"とは言いません)した核移植卵が7日目とステージ(だいたい桑実胚とか胚盤胞と呼ばれるステージになっています)であれば、借り腹(これはレシピエントと言います)の羊の方は「排卵して7日目」である必要があります。受精卵と子宮のステージが同じでないと受胎し辛いためです。

 ま、核移植卵を体細胞の提供者(ドナーという)であるAの子宮で受胎させると、生まれてきた子が"体細胞クローンではなく単なる自分の子"であるという疑いを持たれてしまうので、わざわざそんなことをする意味がありません。
 次に何故Bではだめなのか?ということですが、ここで提供したBの卵は、つまり「未受精卵」なわけです。核を抜くわけですから、受精卵である必要はまったくありません。というか卵割が始まってしまうとまずいので、未受精卵である方がずっと望ましいわけです。

 で、実は未受精卵というのは、「生きた動物から採取する」ことはなかなか面倒です。卵巣から直接取り出す必要がありますから。
 なので普通未受精卵は、と場などでと畜解体された動物の卵巣を取ってきて、その卵巣から採取します。
 生きた動物から未受精卵を採取する方法はありますし、ヒトの不妊治療などでは日常的に使用されていますが、このようなクローン動物の作出や動物の体外受精で用いられることはほとんどありません。
 というわけで、Bの羊の子宮を使わない理由は、「Bは既に死んでいるから」です。

 次に羊Cが妊娠できる理由ですが、上の方にもちらっと書いたとおり、「妊娠できる状態にある子宮に受精卵が存在する」と、妊娠する可能性があります。それだけの単純な理由です。
 視床下部から性腺刺激ホルモンが放出され、それを受けた脳下垂体が性腺刺激ホルモンを放出し、卵巣がその影響下で発情ホルモンを分泌して・・という繁殖生理を想い出してください。
 排卵した後、しばらくの間子宮は黄体ホルモン(排卵した後の卵巣組織が黄体に変化する)の影響下で「妊娠維持が可能」な状態を保つのですが、受精卵(排卵後数時間のうちに卵管で受精)が子宮に下りてこないとご破算になって着床準備のために肥厚していた子宮内膜が剥離するのがヒトの月経、とどこかで習っているはずです。
 つまり、その「妊娠待機状態」の時に子宮内に受精卵があると、それが卵管から下りてきたものか子宮外口から人為的に入れられたものかは区別しない(できない)わけです。
 というわけで、卵のステージと子宮のステージを合わせておく必要があるわけです。

 次に補足の(1)~(2)についてですが、かなりズレています。というよりほとんど支離滅裂に近いのですが・・・

 (1)の「もともと取り出した核の保有者(物)だった羊」というのは、羊Bのことですか?だとすれば意味不明な文章ですが・・・
 仮にこれが羊Aのことでも、「細胞融合が済んでいる」から「体細胞」なのではありません。これは「染色体数が2nならば体細胞」という考え方ですね。
 ま、普通は「細胞融合」ではなく「核融合」という言葉を使いますが、通常の受精であっても"融合"して染色体数が2nになっても、けっこう長い間受精卵は全能性を持っています。
 発生初期の受精卵をバラバラにすると、そのそれぞれが1個の個体に発生する、と高校で習いませんでしたか?

 それが分化が進むと、細胞は全能性を失います。つまり乳腺細胞は乳腺細胞にしかなれなくなります。
 ですからこの状態で「核を抜いた未受精卵」に核移植しても、個体には発生しません。ということで(2)の理解は完全に間違いです。というか、そんなに簡単にいくなら誰も苦労はしなかったし、ドリーが産まれたこともそんなに驚くことではなかったわけです。

 なぜドリーがあれだけ騒がれたのかというと、全能性を失ってしまったはずの体細胞(乳腺細胞)から個体を発生させることに成功したからに他なりません。受精卵クローン(受精卵の核を核を除去した未受精卵に移植して発生させる)ならば誰もが普通に成功させていたわけですから。

 で、その全能性復活の理由ですが、そのメカニズムは明確には判っていませんが、ある条件下で細胞を培養すると全能性が復活するようです。ドリーの時の条件は確か血清非添加培地で培養させたということだったようですが、その後あらゆるラボで追試された結果、細胞の全能性を復活させることは決して難しくない(適当な条件でもけっこう全能性は復活する)ことが判っています。
 ま、だからといって体細胞クローンがもはやノープロブレムかというとまったく逆で、まだまだ問題が山積しているのですが。

 以上のことは、繁殖生理学と発生学の基礎(高校で習う程度)が理解できていれば、すんなり理解できる事柄です。
 というより受精卵移植、体外授精、クローンは、いわば応用編なので、基礎である繁殖生理と発生学を理解していなければ判るわけがないのです。技術的には大きな飛躍があっても、繁殖生理的には、すなわちレシピエントたる羊Cから見れば、受精卵移植も体外受精も体細胞クローンも同じですから。結局は「自分の子宮に移植された受精卵の作出方法」が違うだけです。

 ですので、基礎さえ判れば理解は容易ですので、もう一度参考書を丁寧に読み返してください。「体細胞と生殖細胞」、「細胞融合」、「細胞分裂」等の用語の誤用(あるいは混乱)をせずに済む程度には熟読する必要はあるでしょうが。
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この回答へのお礼

とても平易な説明でどうもありがとうございます。
ご指摘のとおり核相(n/2n)や全能性などを結びつけて頭の中で整理できていなことがよく分かりました。
確かに参考書を繰り返し丁寧に読込む必要があると思い、反省しました。

Bの羊の子宮を使わない理由が「Bは既に死んでいるから」というのはちょっとした驚きでした。

まさか専門家の方からこんなに丁寧に解説していただけるとは思っていませんでした。ありがとうございました。

お礼日時:2008/08/17 22:23

こんにちは。



全くの素人なんですが...
たぶん胚の卵割ステージと、胚を受け入れる子宮内膜のステージが違ってしまうからではないでしょうか。
ああやこうやして胚を作成する個体と、受け入れをスタンバッている個体に分けておいた方が着床率がいいのだと思います。
私は(クローンではないですが(^_^;))体外受精で妊娠・出産しましたが、採卵周期に移植すると良い胚であっても着床が上手く行かないので、作った胚は一旦凍結保存して別の子宮の状態が良い周期に移植していましたよ。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。
「素人です」とのお断りがありましたが、経験に基づくご意見で非常に納得がいきました。
まさか体外受精のご経験者から経験談をいただくとは思っていなかったのでびっくりしました。
無事、妊娠出産されたのは良かったです。

お礼日時:2008/08/17 22:28

別にCでなくても構いません


AでもBでも構わないのです
でも処理をした卵は直ぐに着床可能な子宮にいらなければなりません
そこで選ばれたのがCです

受精するには卵巣で作られた卵子と精巣で作られた精子が受精しなければなりません
なぜならどちらも半人前だからです
ところが乳腺に限らず卵子や精子以外の細胞は半人前ではなく一人前の完成した細胞なのです
分かりますか
乳腺の持ち主は生まれる前に既に受精しているのです

この回答への補足

ありがとうございます。
「BだけでなくAでも構わない」というのは私が抱いた疑問のさらに予想外でしたので驚きました。非常に合点がいきました。
私のように素朴な疑問をもつ筋の悪い人間もたくさんいるでしょうから、教科書などの説明では一言補足されていると分かりやすいかもしれませんね。

後段でご説明いただいた部分も何となく分かってきました。

多分私の陥った混乱というのは、「他の羊から核を取り替えた卵子」という細胞が“生殖細胞”なのか“体細胞”なのか?一体どっちなんだかが分からなくなり、さらにそれがまた子宮の中で生育して出産するというのですから、それですっかり頭の中が混乱してしまったのだと思います。

あらためて「他の羊から核を取り替えた卵子(である程度分裂した状態)」を考えてみると、
(1)もともと取り出した核の保有者(物)だった羊が発生した段階で既に細胞融合は済んでいる。したがって、その意味では体細胞としての実質を既に有する。
(2)ただし、卵子という生殖細胞に移植したので、状態としては、受精直後に細胞分裂を開始した受精卵ないし胚と同様の状態にある。だからそのまま子宮に着床して出産まで至る。

正しい理解からはかなりズレているかもしれませんが、仮にそう考えてみる事で、当初の混乱は少しおさまりました。

補足日時:2008/08/16 22:19
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