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すっきりしません…。

小学生の頃からの大のミステリーファンです。
昨晩、米澤穂信『儚い羊たちの祝宴』を読み終わりました。
「ラスト1行の衝撃」に徹底的にこだわり抜いた5編の短編集です。
1~4話までは、気持ちよくすっきりできたのですが…。
最終話の『儚い羊たちの晩餐』だけが、どうしてもオチがわかりません。
自分なりに、2,3解釈を考えたのですがイマイチで。
5時間くらい考えて、本も3回くらい読み返しましたがギブアップします。

どうか、すっきりと理解できた方。
最後の1行の解説をお願い申し上げます。

A 回答 (2件)

全くの私見ですが


サンルームで、女学生が見つけた日記には
「バベルの会はこうして消滅した」と書かれていた訳ですよね。
さて、日記の中で、父親は最後に宴会のメニュー用に
「アミルスタン羊」とやらを所望します。
その羊は、バベルの会が催される蓼沼で見つけられると、鞠絵は進言します。
つまり、食材の羊とはバベルの会の会員な訳です。しかも、夏さんの料理は、
巨大な食材から、わずかにいいところだけを取り出す手法です。
つまり、バベルの会は、夏さんによっていけにえの食材となり、ほぼ全滅したということですよね。
それは、鞠絵が、自らが会から除名された腹いせでもあり、
その理由に「夢想家ではなく実際家の鞠絵には、会員になる資格はない」
と言われた事に、ある意味納得した自分が、ついに夢想家の域に達した証を示したことでもあるように思われます。
応接間に飾られるジェリコーの絵に、信じられない無慈悲や非情が描かれているのは、父親の罪もそうですが、
自らのバベルの会に対する非情さの象徴でもあるような気が私はします。
こうして、バベルの会は消滅しますが、荒廃したその部屋に入り込んだ女学生が、
そこに居心地の良さを見いだし、そこが自分の場所になるだろう、と思うくだりがあり、そして... 最後のオチ、
「一編の物語が後継者を生んだ」とあるので、彼女が後継者となって、また何らかの形で、
夢想家としての(無慈悲で無情な)夢を実現させ、バベルの会は復活していくのです。
ちなみに、「バベルの塔」とは、天に届く塔を建設しようとした人間の傲慢さにより、
もろくも崩れてしまったといわれている聖書のお話ですよね。
その罰として、神は、世界中の人間たちに違った言語を話させるようにしたとか...。
しかし、作中の「厨娘」(ちゅうじょう)って初めて知りました。
雇ってみたいものですね~ (^^)

参考までに書いてみました
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この回答へのお礼

ありがとうございました。

博識で、論理的で、とてもわかりやすいご解説。
本編の“ラスト1行”にも勝る爽快感!
感動しながら拝読させていただきました。
頭の中でモヤモヤしてたものがスッキリと整理できた感じです。

いま、会社でPCに向き合ってます。
手元に本がないので、記憶が頼りですが…。

1)1~4話までが、彼女たち(儚い羊たち)にとっての“祝宴”(直接、そうでないものもありますが)であるのに対し、最終話は、別の意味で、“儚い羊たちの晩餐”であるのですね。

2)なお、気になるのが、『日記を読んだのは誰か?』という点です。

・(荒廃したテラスの雰囲気の描写などから、)新たな夢想家の女学生。
・(時を経て訪れた)1~3話までの、バベルの会の会員。
・(同じく時を経て訪れた)、バベルの会、壊滅の張本人の鞠絵。
・不特定多数の読者。

どれが1番怪しいのでしょう。

3)日記が途中で、唐突に終わっていたように記憶しています。これには、特別な意味があるのでしょうか?

4)1~4話までの、ほぼ完璧な“ラスト1行!”に対して、大分ゆるいオチのような気もします。何か他の解釈も考えられますか?


ぐだぐだと蛇足を書いてしまいました。申し訳ございません。
これからも、是非ともいろいろ教えてください。
学校の先生でいらっしゃいますか?
ネットでこんな感情は初めてですが、一度お会いして、たくさんいろんな話を聞かせてもらいたくなりました♪
本当にありがとうございました。

お礼日時:2008/12/20 00:19

こんばんは



> 1)1~4話までが、彼女たち(儚い羊たち)にとっての“祝宴”(直接、そうでないものもありますが)であるのに対し、最終話は、別の意味で、“儚い羊たちの晩餐”であるのですね。

そうですね。初出一覧を見ると、最後の1話だけが、書き下ろしのようですよね。
それ以前の4話は1年間かけての「小説新潮」への執筆なので、
単行本になるにあたって、それら4話への、完結編的なものでシメようとお考えだったのでしょうかね?

> 2)なお、気になるのが、『日記を読んだのは誰か?』という点です。
> ・(荒廃したテラスの雰囲気の描写などから、)新たな夢想家の女学生。
> ・(時を経て訪れた)1~3話までの、バベルの会の会員。
> ・(同じく時を経て訪れた)、バベルの会、壊滅の張本人の鞠絵。
> ・不特定多数の読者。

> どれが1番怪しいのでしょう。

私は、これに1票でしょうか。↓
・(荒廃したテラスの雰囲気の描写などから、)新たな夢想家の女学生。
おっしゃるように、年月が経って時間差がありますし、
既出の登場人物を新たな形で、再浮上させたのでは、
「後継者を生む」ことにはならないような気がします。

> 3)日記が途中で、唐突に終わっていたように記憶しています。これには、特別な意味があるのでしょうか?

そうですね。しかも「わたしは  」で終わるなんて、
そりゃないよ、その先、言ってよ!ってつっこみたくなりますよね。(^^)
その前に、夏さんは、「アルミスタン羊は唇が佳い。今夜は唇の蒸し物を………」とか何とか言ってますよね。
この「唇」というのが、私はちょっとした伏線のような気がしました。
「唇の蒸し物」… つまりすべての「口封じ」かな、と。

> 4)1~4話までの、ほぼ完璧な“ラスト1行!”に対して、大分ゆるいオチのような気もします。何か他の解釈も考えられますか?

やはり、5話全体(総体)としてのオチがここに示されているような気がしますので、
ラスト1行の衝撃、というよりは、ラスト1行で着地(^^) といったような
どこか落ち着いたエンディングのような気がしますね。

それにしても、著者、米澤穂信氏の読書通には感嘆しましたし、
私も「バベルの会」に入りたくなりました。
ある意味、儚い夢想家の羊かも……… (^^)

失礼しました。 m(._.)m
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この回答へのお礼

続投、感謝感激です!

toko0503様の慧眼、感服いたしました。
著者、登場人物…よりも、本当の名探偵は
toko0503様のような気がします。
web上での、束の間のお付き合いでしたが、
此の上ない幸せな時間を過ごさせていただきました。
心より御礼申し上げます。

toko0503様は小説とか、お書きにならないのですか?

お礼日時:2008/12/20 23:24

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