van't hoffの式
ln(m1/m2)=-(ΔH/R)[(1/T1)-(1/T2)]
(mは質量モル濃度、Tは絶対温度、ΔHは溶解熱、Rは気体定数)
この式と、化学便覧に載っていた硝酸カリウムの
20℃の時と25℃の時の溶解度を用いて
同じく化学便覧に載っていた硝酸カリウムの溶解熱(34.9kJ/mol)
を算出しようとしたのですが、計算結果が約27kJになってしまいました。
ほかの温度の時の溶解度を用いて計算しなおしてみましたが
やはり27kJ付近になってしまいます。
私の式の使い方が間違っているのでしょうか?
計算過程を書くと
硝酸カリウムの式量:101.1[g/mol]
気体定数:8.314[J/mol・K]
20℃時の溶解度: 24.0[g溶質/100g溶液]
溶質: 24.0[g]/101.1[g/mol]=0.237[mol]
溶媒: (100-24.0)[g]=0.0760[kg]
質量モル濃度: 0.237[mol]/0.0760[kg]=3.118[mol/kg]
25℃時の溶解度: 27.5[g溶質/100g溶液]
溶質: 27.5[g]/101.1[g/mol]=0.272[mol]
溶媒: (100-27.5)[g]=0.0725[kg]
質量モル濃度: 0.272[mol]/0.0725[kg]=3.752[mol/kg]
ln(3.118/3.752)=-(H/8.314)[(1/293.15)-(1/298.15)]
H=26.9[kJ/mol]
以上です。
よろしくお願いします。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
希釈熱を忘れています。
ΔsolH = ΔsolH(m) + ΔdilH(m→0)
化学便覧に載っていた硝酸カリウムの溶解熱(ΔsolH=34.9kJ/mol)は、無限希釈極限(溶質イオン間に相互作用がない仮想的な状態)における値です。計算結果の約27kJは、質量モル濃度がmの時の溶解熱ΔsolH(m)です。希釈熱ΔdilH(m→0)は化学便覧に載っています。確認してみて下さい。
この回答への補足
調べてみましたが、1[mol/kg]のときの無限希釈エンタルピーは2.992[kJ/mol]
5[mol/kg]のときは7.527[kJ/mol]でした。
計算した濃度は大体3~4[mol/kg]だったので
このときの無限希釈エンタルピーは
4~5[kJ/mol]ぐらいと思うのですが
これを考慮しても32kJ程度にとどまってしまいます。
文献値34.9kJとの差は計算過程で生じる誤差と考えても
いいのでしょうか?
No.3
- 回答日時:
> 5[mol/kg]のときは7.527[kJ/mol]でした。
7.527 kJ/mol は、3.70 mol/kg のときの値です。
化学便覧の版によって違うのですけど、改訂5版では、表中の7.527という数字の直上に (3.704) と書いてあります。これが質量モル濃度です。改訂4版では、表中の7.527という数字の直上に (15) と書いてあります。これは溶質1モルを溶かす水のモル数です。質量モル濃度は55.506/15=3.7004になります。他の版でも表の前か後に注釈があるはずです。確認してみて下さい。
この回答への補足
私の見間違いでしたか。失礼しました。
今は手元に化学便覧がない状態なので
明日確認してみます。
いろいろ細かい質問を追加してしまい申し訳ないのですが
溶解熱が、ある濃度での溶解熱と無限希釈エンタルピーの和で与えられるとすると
20℃時の濃度と25℃時の濃度を用いて計算したので
単純に無限希釈エンタルピーを足すということにはならないと思うのですが
こういうときは積分希釈エンタルピーを
考慮しなければならないのでしょうか?
No.4
- 回答日時:
> 20℃時の濃度と25℃時の濃度を用いて計算したので
> 単純に無限希釈エンタルピーを足すということにはならない
単純に無限希釈エンタルピーを足していいです。
van't Hoffの式を
ln(m1/m2)=-(ΔH/R)[(1/T1)-(1/T2)]
という形に書いた時点で、温度T1時の飽和溶液の溶解熱ΔsolH(T1,m1)と温度T2時の飽和溶液の溶解熱ΔsolH(T2,m2)は等しい、と近似されています。同じようにΔdilH(T1,m1→0)=ΔdilH(T2,m2→0)と近似すれば、
ΔsolH(T1) = ΔsolH(T1,m1) + ΔdilH(T1,m1→0)
ΔsolH(T2) = ΔsolH(T2,m2) + ΔdilH(T2,m2→0)
よりΔsolH(T1)=ΔsolH(T2)となって、温度に依存しないΔsolHが得られます。
もし20℃時の無限希釈エンタルピーが利用可能であれば、ΔdilH(293K,m1→0)とΔdilH(298K,m2→0)とを比較することにより、この近似の精度を確認できるでしょう。しかしそれよりも、20℃時の濃度と25℃時の濃度を使って計算した飽和溶液のΔsolH(T,m)と、30℃時の濃度と25℃時の濃度を使って計算した飽和溶液のΔsolH(T,m)とを比較して、ΔsolH(T1,m1)=ΔsolH(T2,m2)の近似の精度の確認をした方が楽だと思います(化学便覧には20℃時の無限希釈エンタルピーが載っていなかったと思うので)。
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