No.7ベストアンサー
- 回答日時:
みなさんあまりにも適当なことをおっしゃるので普段はROMに徹している私ですが、書かせていただきます。
まず、結論ですが、原則として「裁判官個人に」は請求できないでしょう。
しかし、「国に」はしえます。
そして、No.1の方のおっしゃるように国家賠償請求をすることによってなします。
まず、国家賠償法は、その第1条において、「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。」と規定します。
そして、判例は、裁判官の裁判も国家賠償法の言う「国又は公共団体の公権力の行使」であるとしています。つまり、他の公務員同様、国家賠償法1条の要件を満たしている場合には国家賠償請求ができることになります。
しかし、他の公務員の行為とは異なり、裁判官による裁判には上訴(控訴、上告、抗告など)という特別な救済手段が法律によって準備されており、通常はこの救済手段を用いれば足りることに鑑みて、「裁判官が違法又は不当な目的を持って裁判をしたなど、裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認めうるような特段の事情」があり、職務上の義務に違反している場合に限って国家賠償請求を認めているのが判例です。
つまり、故意や害意、それに準じるほどの悪質さが必要なようです。
ここで、憲法違反が職務上の義務に違反しているかですが、憲法は多義的に解釈しうるもので、その判断の多くは学説においてさえ一致を見ません。このような難しい判断ですから、間違いが起きることを法は「予定」しており、そのために三審制(3度判断を請求でき、回を重ねるごとに裁判官の経験の量と人数が増えることによって、前回より正しい判断をなすことを担保する制度)という救済手段を用意しています。
このことに鑑みれば、ただ「憲法違反」をしただけでは国家賠償法上違法な職務上の義務違反とは認められないでしょう。
さらに事を難しくするのは、上訴によって原審の憲法違反が確定したからといって、「裁判所(国)の判断としては」憲法違反であるということが確定しただけで、事実上それが憲法違反かは別の話であると行くことです。
このことからも、憲法違反が誰の目からも明白で、故意にそれを行ったと認められるのでない限り、国家賠償請求は認められないと思われます。
また、なぜ裁判官個人に賠償請求できないかですが、これは国家賠償制度の沿革や趣旨が絡んだ複雑な議論を孕んでいますのでここでは割愛させていただきます。しかし、判例・通説はともに国家賠償法の適用がある場合に、その公務員個人は原則として賠償責任を負わないとします。
追記:
No.6さんの回答についてですが、
>私人間同士の争い事を裁く民事訴訟では、憲法判断は行わない。
訴訟は、民事、刑事、行政の三種類に大別されますから、憲法判断はこのいずれかで行うことになります。憲法が国家を縛る法であるから私人間に憲法が直接適用されることはないという意味でおっしゃっているのかもしれませんが、民事訴訟では行政の私法的行為(土地の売買)なども争われるほか、民事訴訟で扱われるほうが憲法違反の場合には無効となりますので、「憲法判断は行わない」というのは誤りです。
>その裁判官に損害賠償の責を負わせることができるとの法的根拠がない。
あります。国家賠償法がその法的根拠です。
No.6
- 回答日時:
>民事や行政訴訟で、まったくのデタラメな判決でも損害賠償請求できないのなら、おかしな制度だと思います。
私人間同士の争い事を裁く民事訴訟では、憲法判断は行わない。
よって、民事の裁判で、違憲判決がでることはありえない。
行政訴訟では、違憲か合憲かを判断迫られる裁判が行われること多々あるが、1審合憲、2審合憲、3審違憲の判決が出たからと云って、1審、2審の裁判官に損害賠償の責を負わせることはできない(その裁判官に損害賠償の責を負わせることができるとの法的根拠がない。尚且つ3審制を採っているから、その3回の裁判の中でじっくり検討する機会を与えましょう、との趣旨)。
No.5
- 回答日時:
参考URLに、逆転無罪を勝ち取った男性が国家賠償を求めたものの棄却されたニュースを挙げておきます。
参考URL:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091208-00000 …
No.4
- 回答日時:
例として、刑法200条を出したので、それを基に回答しますと、
父親を殺した娘さんについて、判決をだした地裁・高裁のその裁判官は、『その良心に従ひ独立してその職権を行ひ』とあるから当時存在した刑法200条(尊属殺)の条文に則って、有罪の判決を出さざるを得なかった。
おそらく、地裁、高裁の各裁判官は、同条が違憲であるとの解釈はしていなかったのでしょう。刑法という「法律」に従って、検討した上有罪の判決を出しました。
蓋し、それまでの戦後の尊属殺は、全て刑法200条で処理されていたからでしょう(尚、同条の違憲判決が出たのは昭和40年代)。
>No.1さんの回答のように、国家に損害賠償を求めるのは可能ですか?
できません
この回答へのお礼
お礼日時:2009/12/14 20:34
度々のご回答ありがとうございます。
「例」のような場合は、納得できるのですが、
民事や行政訴訟で、まったくのデタラメな判決でも
損害賠償請求できないのなら、おかしな制度だと思います。
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