失火責任法について、わからないところがあります。
債務不履行に基づく損害賠償責任には適用されない。
例えば、賃借中の部屋を失火させ焼失させた場合、貸主に対する返還義務は不履行となるが、借主に軽過失しかないケースで借主の債務不履行責任は免責されない。
と、されない、となっています。
貸主←借主 には何の責任もないけれど
貸主→借主 には軽過失の場合は、債務不履行で損害賠償が出来る、ということでしょうか?
どうして、軽過失の場合だけなんでしょうか?
不法行為の場合は、失火者は故意または重過失の場合は損害賠償責任があるというのは、理解できるのですが・・。
結局のところ、失火の場合は
貸主は完全な被害者であり、
貸主は重過失や故意の不法行為の場合は損害賠償されて、すごく軽い火事の場合は損害賠償される。
その中間の場合は、損害賠償されない、ということなんでしょうか?
おねがいします。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
全然解ってないようだが……。
まず、不法行為という制度がある。「故意または過失」により他人に損害を与えたら損害を賠償しろよという制度だ。
火事によって隣家を燃やしたら当然この不法行為の問題になる。だけど、失火責任法によって、本来の原則である「故意または過失」を「故意または重過失」に限定している。
ここで「故意」とは要するに「わざと意図的に」という意味だ。
「過失」とは簡単に言えば「わざとではないが不注意で」という意味だ。
だけど、一口に「過失」と言っても「不注意に程度がある」わけだ。そこでその程度を「重いと軽いの二つに分ける」ことがある。それが「重過失」「軽過失」だ。つまり、「過失」を二つに分類したのが「重過失」と「軽過失」ってわけだ。二つに分けただけだから「中間」などない。
失火責任法は不法行為の特則として、失火による場合の責任を本来の「故意または過失」から軽過失を除いた「故意または重過失」の場合に限定する法律というわけだ。
一方、借家の場合に借家自体を燃やした損害は「不法行為」ではない。隣家と異なり、借家の場合には、家主との間に契約がある。契約がある以上は、不法行為にもなるが、それ以前に債務不履行責任の問題になる。「故意または過失」による債務不履行で債権者に損害を与えればその損害は賠償しないといけない。
そして、失火責任法は債務不履行責任の場合には適用しないから、原則の「故意または過失」の部分を修正しない。つまり、「故意または過失」による債務不履行で損害を与えた以上は、それが失火によるものであっても損害賠償をしなければならない。ここで「過失」は原則どおり「全ての過失であり、重過失に限定しない」というわけだ。言い換えれば「重過失と軽過失の両方の過失」というわけだ。試験問題なんかで時々ある「軽過失がある場合に」という表現は、「故意と重過失は言うに及ばず」というのが省略してあるんだよ。
で、この場合に、貸主に責任がないのは当り前だ。貸主が何をしたというのよ?家を燃やしたのが借主の場合の話をしてるんだから。もちろん、貸主に何らかの帰責性があるなら「過失相殺」で損害賠償額を調整することはできる。だから、貸主には何の責任もないとは本来なら言いかねるけど、失火で家が燃えたことそれだけでは責任はないのが普通だな。
ありがとうございました!
すごく分かりやすくて、理解できました!!
過失について、すごいあいまいにしか考えてなかったのだと、今更ながら、気づかさせてもらえてよかったです!
もっと勉強して理解を深めようと思います!!
No.3
- 回答日時:
失火責任法というのは、昔は木造建築が多かったので、たとえば、ちょっとした過失で、自分の家が燃えたときに、一気に何十軒も一緒に燃えてしまったりして、民法709条等の不法行為責任として、莫大な損害を負ってしまうのを、緩和するために作られた法律とされています。
つまり、失火責任法は、不法行為責任の特別規定なのです。
対して、賃貸借契約は、契約責任ですので、最初から責任を負う範囲が限られています。つまり、失火の結果がどこまでも広がってゆくことはありません。債務不履行というのは、債務があるところにしかありませんので。
どこまでも責任が広がるということがないということは、失火責任法の趣旨が妥当しないことになります。
したがって、重過失に条件を絞る必要性がないので、賃貸借契約(契約責任)では、失火責任法の適用はありません。
このように法律学は、条文の趣旨・目的から考えてゆくとわかりやすいです。
ただ、この説明も、間違っている可能性はあります。そういう責任逃れです(笑)
最終的には、信頼のおける民法の教科書を、図書館なんかで読んでみるとよいと思います。
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