ブラジルの民間の日本語学校で教えています。
今度、生徒全員でコーラスをすることになり、音楽担当の教師がKiroroの『未来へ』を選びました。
今日、初めての練習で、歌詞を生徒達と一緒に読んだのですが、その一節で、『その優しさを時には嫌がり 離れた母へ素直になれず』とあり、疑問に思いました。
「へ」は、方向を示す「へ」ですよね。
素直になるという、行動等の一方的な相手に対しては、「に」を使うのが、普通ではないでしょうか。
語感で、「母に素直になれず」と「に」が続くのを嫌ったのかも知れませんが、文法的に、「母へ素直になれず」……おかしいのでは?
私(茨城県出身)は、おかしいと発言したのですが、ボランティアを含め、他の教師達(三人:愛媛県出身、京都府出身)は、「何が、おかしいんですか」との意見。
確かに、「京へ筑紫に坂東さ」の傾向は存在すると思いますが、それは、方向を示す「へ」、帰着点の「に」のどちらをよく使うかの違いであると理解していました。行動や感情の相手に対しても、「へ」を使う地域があるのでしょうか。
生徒達に変な助詞の使い方を覚えて欲しくないので、私自身の理解をしっかりさせておきたいのです。
どなたか、教えてください。
また、歌詞を検索すると、すべてのサイトで、『その優しさを時には嫌がり 離れた母へ素直になれず』とあり、「離れた」と「母へ」がつながっています。これは、意味からすれば、「その優しさを嫌がって離れた」と受け取っていいのですよね。お母さんが離婚して家を出て行ったとかいう意味ではないですよね。
次の授業は二日後です。もちろん、その後でも、生徒達に説明する機会はありますが、出来れば、早めに説明したいと思っています。
No.7ベストアンサー
- 回答日時:
正しくは、
『その優しさを時には嫌がり 離れた母に素直になれず』
なのでしょう。
「に」は対象の指定ということになるでしょうが、「母という対象に対して素直になれない」という意味が、ちょっとつきすぎている、というか、あまりに直截すぎる印象を与えると判断された可能性はあるように思います。
その点が、おっしゃるような語感の問題とも絡めて忌避された要因ではないでしょうか。
「へ」は、brasilia さんや#4さんがおっしゃるように「距離感」も表現できますし、また、
「離れた母へ(の気持ちが)素直になれず」
の省略と捉えることも許容範囲と作詞者は考えたのかもしれません。
ありがとうございます。
玉城さんも、作詞の際に、色々推敲されていると思うので、この詩ではあえて「へ」を用いたのかも知れませんね。
No.6
- 回答日時:
もういい回答が出ていますので、余分です。
私は方向の「へ」、到着点の「に」の区別は、文法の問題だと思います。
その上に語法の問題があります、というのは日本語は曖昧な表現を、丁寧な言葉遣いと考えます。外国語にも Will you よりも Would you と subjunctive を使う方が丁寧だ、と聞いたことがあります。
「合い挽きを3キログラムほど下さい」の「ほど」は、いい加減に量ってくれ、と言うのではなく、正確に量ってもらいたいが、何とかぎすぎすした感じを和らげたい、という考えの表れではないかと思います。
集まりが悪いのを上司に「7人ばかり来ました」と報告するのは、7.3名来たと言う意味ではありません。
「どちらへ」「あのう、ちょっとそこまで」は、返事をしないどぎつさや、「私がどこへ行こうとあなたには関係ないでしょ」を、曖昧な表現でかわしています。
「に」は、○○まで、それより先でも、手前でもない、という極めてはっきりした表現です。「へ」は方角を著すと同時に、「に」を曖昧にした性格をもっている。場所により人によって、両者に区別が無いのは、こういった経緯があるのではないかと思います。
余計なことを申しました。
No.5
- 回答日時:
この歌は、
『中学3年のある日、母が風邪を引き一週間程寝込んでしまいました。病院とは全く無縁だった母。思い込みの激しい私が考えた結論は、「お母さんは悪い病気で死んじゃう・・・」。母は私の歌を一番理解してくれていたので、「最後の思い出にお母さんへ曲をプレゼントしよう」そう思ってできたのがこの曲です。――以下略――』
と作詞した玉城千春さんがアルバム『長い間』に書いていますので、「母へ素直になれず」は、お母さんへ向けた言葉「素直になれず(ごめん)」を意味するのだろうと思います。
No.4
- 回答日時:
文法上の厳密な正しさは分かりませんが、
母へ、とすることで距離があることを強調してる印象を受けます。
誰々へ、と言う使い方は贈り物をするときとかにも使いますが、
素直に伝えられなかったという雰囲気はあるのではないでしょうか。
優しさを嫌がって離れた、と言う解釈は違うと思います。
おそらく一人暮らし等で実家を離れたことを言っているのだと思いますが、
そうなったときの心境として、昔は嫌だったことも今では優しさだったと感じられるという風に私は捉えました。
ありがとうございます。
私も、色々調べていくうちに、あえて、空間・時間の経由、空間・時間の方向性を表す「へ」を使うことで、「に」では表せない距離感を出したのかな?とも思いました。
玉城さんがそこまで考えて作ったかどうかは、分かりませんが…
本人に訊いてみたい~~。
No.3
- 回答日時:
「母へ」の「へ」は、確かに厳密な文法を考えると
「に」が正しいのでしょうね。
私も関西出身ですが、行動や感情の相手に対しても、「へ」を使う傾向は
多少あるかな? という気がします。
(例えば、「○○さんに、こう言っておいて」を
「○○さんへ、こう言うといて」と言われても、日常会話としては
あまり違和感がないです)
なお、「離れた母へ素直になれず」は、勝手に
「実家を離れて暮らしている私が、実家で暮らしている母に素直になれず」
という意味だと解釈していました…。
(自分自身が、進学とともに一人暮らしを始めたので、
そういう状況なのかな~なんて考えていました)
言われてみると、「優しさを嫌がって離れた」のかもしれませんね。
日本語(特に歌詞)って曖昧ですから、難しいですね。
ありがとうございます。
関西では、「怒っている」という感情を表す場合も、「へ」を使うのでしょうか。例えば、「まだ、お父さんへ怒ってるの?」みたいに…
すみません、勉強不足で…
「離れた母」は、自分が母から離れていったというのも、納得です。
ただ、私の場合は、母から離れた方が、側にいた時よりもう少し素直だったかなーなどとも思ってしまって…。
No.2
- 回答日時:
広辞苑第四版より引用
へ(格助詞)
(1)移動性の動作・作用の目標地点・方向を示す。…のほうに。…に向かって。
(2)動作・作用が帰着する位置を示す。
(3)動作・作用の働きかける相手を示す。
この場合の『へ』は(3)の用法でしょう。
素直になるという働きかけの相手が母です。
>行動や感情の相手に対しても、「へ」を使う地域があるのでしょうか。
手紙の書き出しに『お母さんへ』というように『へ』を使いませんか?
(これは『お母さんへこの手紙を書きました』の意味ですから
お母さんは行動の相手です)
それとも手紙を『お母さんに』と書き始めますか?
早速のご回答、ありがとうございます。
私も、「お母さんへ」とか「母へ手紙を書く」と使います。
ただ、手紙は、(郵便ではなく置手紙だとしても)手紙が相手に届く、相手の手に入るという、ある空間の経由が暗黙のうちに了解されているのではないかと思います。それで、単なる帰着点の「に」よりは、空間(時間)を経由しての方向性を表す「へ」が適しているのだと思います。
それに対し、この歌の、「素直になれない」という感情の対象に対しては、空間は必要なく、帰着点のみが存在しているので、この場合は、「へ」ではなく、「に」なのではないかなーーと思ったのです。
同じように、「彼/彼女に夢中だ」「お年寄りに優しくしなさい」とかも、方向性はありますが、経由すべき空間は必要ではないので、「へ」ではなく「に」が入るのではないかと…。
沖縄や、関西地方では、普通に「お母さんへ素直になれない」と言うのでしょうか。すみません。色々、調べまわってはいるのですが…
No.1
- 回答日時:
その曲に関して全く知りませんが、その一文に限っての自分の見解を。
「離れた母へ素直になれず」・・・おっしゃる通り「母に」の方が自然かもしれませんが、「離れた母‘に対して’素直になれず」という意味の「へ」なのだと思いました。そう考えれば方向を示す「へ」は絶対使えないとは言えないのでは。
例:彼に対して手紙を送る/彼へ手紙を送る/彼に手紙を送る
彼女に対して思いをぶつける/彼女へ思いをぶつける/彼女に思いをぶつける
(置き換え可)
それ以前に、そもそも方向を示す「へ」は「に」に置き換えられる事が多いように思えます。
現場へ向かう/現場に向かう(置き換え可)
「離れた母」と聞けば普通は単に「学校や仕事の都合で離れて住んでいる故郷の母」と受け取るのではないでしょうか。「優しさを時には嫌が」った事との直接の関連性は感じませんでした(つまりその話はまた別)。
この回答への補足
調べていたら、「へ」には、やはり空間・時間の経由が含まれているそうです。(文献は忘れました。)
それから、『着点重視の「に」、経路重視の「へ」』という言葉もありました。(『格助詞へに見る近未来都市』杉村泰)
そこに、『「に」は着点に焦点を当てた表現であるのに対し、「へ」は単に方向を示すのではなく、動きの向かう経路に焦点を当てた表現である…』とあり、「に」の例文に、『彼に恋をする』(精神行為の相手)とありました。
とすると、「素直になる」というのも、精神行為なので、「〇〇に素直になる」が適当だと言うことですよね。でも、Kiroroが歌ってるのだから、「母へ素直になれない」と使う地方があるということなのでしょうか…
それから、方向性を示す「へ」は「に」に置き換えられやすいのですが、「に」を「へ」に置き換えるのは、制約が多いと思います。
早速、お答えくださり、ありがとうございます。
私も、「〇〇へ手紙を書く」「〇〇へボールを投げる」など、動作の方向性は「へ」で表せると思います。「へ」には、空間的(時間的)な方向性、空間(時間)を経由するイメージが存在していると思うのです。
「彼女へ思いをぶつける」の場合も、「ぶつける」という動詞自体に、空間を通っていくイメージがあるので、空間・時間の方向性の「へ」が使えるのだと思うのです。
しかし、経由する空間を必要としない表現の場合、動作の対象に対して、「へ」ではしっくりこない感じがするのです。
「彼女に夢中だ」とか「親に素直になれない」と言った表現は、やはり「へ」ではなく、帰着点をはっきりさせる「に」なのではないかと…
すみません…。
色々調べてはいるのですが…
「母へ素直になれない」と普通に使うのでしょうか。
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