会社法の特殊決議について
宜しくお願いいたします
会社法における特殊決議の成立要件があやふやなので分かる方いらっしゃいましたらお願いいたします。
Q1.特殊決議(会社法309条3項)の成立要件は
当該株主総会において議決権を行使する事が出来る株主の半数以上の賛成
且つ
出席した議決権の2/3以上の賛成
Q2.特殊決議(会社法309条4項)の成立要件は
総株主の半数以上(議決権有無不問)の賛成
且つ
総株主の議決権の3/4以上の賛成
※「総株主」は出席の有無不問
で合っていますでしょうか?
宜しくお願いいたします。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
こんにちは
確かにこの条文、「当該株主」が何を意味するのかにつき、
いくつか解釈が可能で、学び始めの人でよく誤解する人は多いです
結論はQ2は正しいです
Q1も前半部分は正しいですが、後半部分が正しくないです
出席した議決権の3分の2以上ではなく、
少し冗長になりますが、しっかり書くと
「当該株主総会において議決権を行使することが出来る議決権数の3分の2以上」です
No.2
- 回答日時:
答えはANo.1でよいので参考に条文の読み方のお話をしておきます。
会社法309条3項
前二項の規定にかかわらず、次に掲げる株主総会(略)の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の半数以上(略)であって、当該株主の議決権の三分の二(略)以上に当たる多数をもって行わなければならない。
となってますね。「当該」というのは、簡単に言えば、「その」というのと同じことです。とすると、直前に出てきた言葉の繰り返しと考えればよいということになります。であれば、最初の「当該株主総会」というのは、直前に出てきた「次に掲げる株主総会」であることになります。そして「当該株主」というのは、直前に出てきた「当該株主総会(=次に掲げる株主総会)において議決権を行使することができる株主」ということになります。
そうすると、この条文の要件は、
(1)次に掲げる株主総会において議決権を行使することができる株主の半数以上
(2)次に掲げる株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の三分の二以上に当たる多数
ということになります。
つまり、(2)の基準となる議決権の数は、「出席した」ではなくあくまでも「次に掲げる株主総会において議決権を行使することができる」株主の議決権ということになります。
よって要件を言い換えると、
(次に掲げる株主総会において)議決権を行使することができる株主の人数およびその株主の保有する議決権の数を基準とする
ということになります。
文理だけならば無理無理読めば確かに「当該株主」を「次に掲げる株主総会において議決権を行使することができる株主の半数以上に当たる株主」と読むことも可能ではありますが、そう読んでしまうと「半数以上に当たる株主」の保有議決件数は一様ではない(誰が「半数以上に当たる株主」か、言い換えれば「賛成株主の構成によって」決議要件が変わることになります)ので、場合よっては、著しく少ない議決権数でも決議が可能になってしまいます。それでは特殊決議の趣旨を没却してしまうのは明らかですから、このように読むことはできません。そもそも議決権が不統一行使可能であることから「一部の議決権を賛成に用いた株主」は「半数」に含むのかどうかが問題になりますし(仮に按分すると多数議決権を有する株主が不利益に扱われることになります)、不統一行使をすると言っても、株主数の2/3まで減るというのは実際には余り考えられないでしょう。そうすると、わざわざ株主数と議決権数の両方で縛りをかける意味がほとんどなくなってしまいます。
なお、「出席した」とは読めません。3項にはそんなことは一言も書いてありませんから。1項2項に書いてあっても3項は明確に「前二項の規定にかかわらず」とあるので3項において1項2項と同じく「出席した」と読むのは間違いです。なにより2項が「前項の規定にかかわらず」としつつ「出席した」とわざわざ規定していることからも、もし3項においても「出席した」ならば2項と同様に「出席した」と明示するはずです。それをしないのは「出席した」ことは要件ではないからです。
時々、すぐに「解釈」と称して条文にない話をしたがる人がいますが、法解釈の基本中の基本は「条文どおり」です。特に手続に関する規定は「条文に素直に」読むのが基本です。条文どおりだと看過しがたい「不都合がある」からこそ、条文の文言を曲げる解釈が必要になるのであって、問題があるわけでもないのに最初から曲げることばかり考えるような解釈態度は、成文法主義のわが国の法解釈の態度としては「間違いである」と言っておきます。裁判における最強の理由付けは「条文があります」だということは、実務筋では常識だと思います。
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