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短歌で枕詞を使うことの効果について
枕詞自体は、過去ログやネットで分かりました。
しかし、短歌で枕詞をなぜ使うのかがよくわかりません。

短歌は5,7,5,7,7と限られた字数に納めなければなりませんが、
私には後に来る言葉を導くためだけに、5文字を無駄にしているとしか思えません。

仮に、「ちはやぶる 神代も聞かず...」の短歌で
「ちはやぶる」を使わずに「神代も聞かず」とした場合どうなるのでしょうか。

教養がないとみんなに馬鹿にされるくらいですか?
それとも何か芸術性が失われるのでしょうか?

無粋なことを聞いていると分かっていますが
よろしくお願いします。

A 回答 (3件)

コトバに意味しか求めない現代人からすると分かりにくいことですが、歌というものは元来、祈り・呪い(まじない)だったということを理解してください。


枕詞は、元はもっと長い呪いのコトバで、物語を背景に持っていました。その後、その呪いのコトバの中の、最も重要な部分を唱えるだけで同じ効果を期待するようになりました。ところが時代が経るとコトバだけが残り物語は忘れられ、解釈不能なものになってしまったのです。
例えば「衣手(ころもで)」は「常陸国(ひたちのくに)」にかかる枕詞だそうですが、なぜそうなのかは字面だけでは分かりません。ところが『常陸風土記』によると、ヤマトタケルが新治(にいばり)郡を過ぎたとき、国造(くにのみやつこ)に新たに掘らせた井の水を誉め、手を洗うと御衣(みけし)の袖が泉に垂れて濡れたので、袖を漬(ひた)す義によって、この国の名としたとあるので、「衣袖(ころもで)漬(ひたち)の国」と解釈できるのだそうです。
山本健吉氏の著書『柿本人麻呂』を参考にこれを書いていますが、「だから枕詞は、鎮魂の詞章としての歌の咒力(じゅりょく)を基にして考えれば、それは修飾部ではなく、かへって主題なのだ。」とすら書かれています。現代語訳をする時に訳さない(というより伝承が忘れられているので訳せない)からといって、古代人にとっても意味がなかったのだ、などとはお思いになりませんように。
ついでに書くと、人麻呂の歌(短歌ではなく長歌ですが)から枕詞を除いて意味だけでつなげたら、人麻呂の歌らしさは半減、いやもっと減ってしまうでしょう。あの枕詞が、歌の荘重さ・響き・音楽性・豊かなイメージを醸し出しているのです。
さらに言うと、江戸時代の歌舞伎の口上「知らざあ言って聞かせやしょう 浜の真砂と五右衛門が歌に残せし盗人の、種は尽きねえ七里ヶ浜、その白浪の夜働き、以前を言やあ江ノ島で、年季勤めの稚児が淵、百味講で散らす蒔き銭をあてに小皿の一文字、百が二百と賽銭の,くすね銭せえ段々に、悪事はのぼる上の宮、岩本院で講中の、枕捜しも度重なり、お手長講と札付きに、とうとう島を追い出され、それから若衆の美人局、ここやかしこの寺島で、小耳に聞いた爺さんの、似ぬ声色でこゆすりたかり名せえゆかりの弁天小僧菊之助たぁ俺がことだぁ」が「僕、泥棒」だけじゃカッコ良くないじゃないですか。
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短歌は「歌」がついてるだけに昔はそれこそ歌、音楽だったわけですよね。


5 7 5 などのリズムもまずは謡うための都合なのだろうと思います。
だから意味よりもそっち(リズム)の方が大事だったのではないでしょうか。

あしびきの 山鳥の尾の~ という歌がありますけれど、最後の 長々しき夜を に来るまでほとんど意味が無く、しかもそれゆえに愛されているような所が(当時から)あるように思いますし、その後の文学でもこれを揶揄したりネタにしてるものがありますよね。
「長々しき」にこの歌そのものの構造を自ら笑うような二重構造があるからおもしろいのだと思います。

最初にお決まりのテーマを呈示しておいて、さてこいつはどう落とすんだろう、と思わせ、そう来たか!、と感心させる。

そういうような遊びなのではないでしょうか。
短歌が盛んになった頃にはもうそうだったのだろうと私は考えます。
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鹿島茂がこんなことを言ってます。


枕詞というのは万葉の時代に和歌の応酬を口頭でやっているときに生まれた「時間稼ぎ」「場もたせ」の表現ではないか。つまり、これといった明確なイメージは浮かんでこないので、
差し当たり、「あしびきの」とか「しろたえの」といった意味のない枕詞を並べておき、
その間に頭の中で言葉やイメージを組み立てて「山鳥の尾の」とか「ころもすてふ」と続ける。つまり、意味論的には「あのー」とか「えーと」に等しいわけだが、それでいて形式的には、立派な和歌的表現として認められているというまことに重宝な手法であったのだ。
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