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 昨今、乗用車のエンジンをターボ過給によって省燃費を実現するという傾向がありますが、これについて質問いたします。

 理論上、全走行抵抗が同一の自動車であればエンジンが自然吸気、過給にかかわらず、また排気量にも関係なく必要馬力(仕事率)は同じです。であればターボエンジンは自然吸気エンジンと同じ熱エネルギーを取り出すのに、より少ない燃料でそれを達成せねばならないはずですが、なぜそれができるのでしょうか。
 自然吸気だと圧縮比を高めるとそれに伴う機械損失を補って余りある高い熱効率が得られますが、同じエンジン技術を用いれば燃料のオクタン価で限界はほぼ決まるものと思います。ターボであってもオクタン価による限界からは逃れられないはずです。
 また、ターボにあって自然吸気にはない損失として、排気の背圧の高さがあると思います。過給圧の高さに比例して排気抵抗が高くなります。ただこれは、同一馬力を取り出すのにターボエンジンは小さい排気量で済むことによる機械損失の低さとの比較になるのかもしれませんが。

 以上から如何にしてターボでエコを実現しているのか技術的な教示をお願いいたします。

A 回答 (7件)

自動車の世界ではほとんどの場合ターボ=高出力・スポーツモデルのような図式が出来上がっているようですが、ちょっと乗用車から離れてトラックや建設機械・発電用エンジンなどに目を向けてみると、ターボチャージャーによる省燃費効果ははっきり現れています。



まず、ターボチャージャーによる過給でなぜ省燃費効果あるのかの説明ですが、これは、通常の容積型エンジン(レシプロ・ヴァンケルやその他の形式にかかわらず)では、まだ十分に圧力をもちピストンなどに仕事をさせられる排気ガスを、その構造上利用しない状態で排出せざる(できるだけこの損失を減らす目的でミラーサイクルやアトキンソンサイクルのように膨張工程を長くとったものもあるが、それでもかなりのエネルギーが排気と共に捨てられてしまう)を得ません。この排気ガスに残るエネルギーを圧力という形ではなく速度という形で利用したのがターボチャージャーです。過給による効果としては、容積型エンジンでは吸気時にポンプとして働き外気を吸入しますが、この時には当然エネルギーを消費しますが、ターボチャージャーによる過給が行われている場合、外部から圧力をかけて押し込むことによりこのロスを低減出来ます。また、エンジンの運転速度が高くなるほど論理的な容積と、実際に吸気される容積との差が大きくなり、実吸気量は減っていきますが、この実吸気量の減少によるロスも低減出来ます。また、同出力のエンジンで考えたとき過給を行なったエンジンの方が小型にできる、または回転数を低く設定できるので摩擦による損失も小さくできます。ガソリンエンジンでは点火時期と燃料供給の時期が異なるため、圧縮圧力に限界がある(圧縮圧力をある程度以上に高めると、燃料が圧縮による温度上昇のため、自己着火してしまい以上燃焼を起こす)ためディーゼルエンジンほどこの効果が大き取れませんが、ディーゼルエンジンでは機械的な強度が耐えられるのであれば、過給による実圧縮比は相当に高く取れますので、この点(ロングストローク化などによる圧縮比の向上は機械的ロスを伴う場合が多いが、過給ではこのロスが無視できる)でも熱効率の向上(できるだけ高い圧縮圧力での燃焼が高い熱効率につながる。これは点火前と点火後の圧力差が大きくなるためです)につながります。たしかにタービンを排気経路に持つため、排気系に背庄がかかることになりますが、1気圧という限られた圧力に頼る自然吸気に比べより高い圧力をもった排気の利用ですので損失分より回収分の方がかなり大きくなりますので、相対的に見て排気ガスのエネルギーの再利用の方に大きな利点があるでしょう。シリンダー内に残る排気ガスによる燃焼効率の悪化も排気バルブを閉じるタイミングをうまく制御し、過給庄による掃気をうまく使えばガソリンエンジンでもダイレクトインジェクションと組み合わせることにより、燃料の吹き抜けなしにかなりの効率で実現可能ではないかと思います。ディーゼルでは元々空気のみの吸入ですからより容易でしょう。このような理由によりターボチャージドエンジンで自然吸気エンジンよりエネルギー効率の向上が見込めます。

排気タービンを利用した熱効率の向上には、ターボチャージャー以外にもターボコンバインドという方法があります。これは排気ガスのエネルギーをタービンで回収するところまでは同じですが、このタービンの発生したエネルギーを直接出力軸に機械的に戻してやる方法です。排気タービンで得た回転力を減速器を通してエンジン出力軸につないでやる方法ですが、エンジンの回転数とタービンの回転数に大きな開きがあるため減速比が大きく、そこで生じるロスが無視できないことや、タービンのタイムラグのために応答速度が遅れる(ターボチャージャーの場合出力上昇が遅れるだけだが、ターボコンバインドではエンジン出力の一部がタービンの加速のために使われるため影響が大きい)こと、これを避けるにはタービン出力にワンウェークラッチを設けるなどの方法があるが、構造が複雑になり慣性質量も増えるため応答速度自体は向上しないことなどが問題点としてあります。この方式はカミンズエンジン社やポルシェが一時期積極的に研究していました。

ターボチャージャー付きの乗用車は同出力で小型軽量高効率という方向に向かわず、同排気量で高出力という方向に向かってしまったため、燃費効率としては実際には良い評価を与えられる状態ではありませんが、ターボチャージャー自体の特性によるものではなく、設計思想いが省燃費の方向を向いていなかったということでしょう。また、ターボチャージャーに限らず過給装置自体がガソリンエンジンよりもディーゼルエンジンにむいていることも事実です。実際に建設機械や発電用や船舶用・大型トラック用などではターボチャージドディーゼルが多用されています。

過給機でもいわゆるスーパーチャージャー(この呼び方にはかなり問題があるが)のようにエンジン出力の一部を利用して過給を行うものは燃費向上の効果はほとんどないでしょう。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。

詳細にご説明いただき大凡わかりました。
背圧ロスを考慮しても、自然吸気の非効率部分を埋めて余りあるといったところですね。

お礼日時:2011/07/03 16:52

>乗用車のエンジンをターボ過給によって省燃費を実現


1600ccエンジンを1200ccターボにするような小排気量化と理解して、燃費の良くなる状態の例を、
1.発進:1200ccでの発進になりトルクが足りないので減速比を大きくした1速で発進
2.発進すれば回転が上がり、過給効果の高トルクで加速
3.目標速度60km/hに達したら1200ccで定速走行する
燃費が良くなるのは3.の定速(又は緩加速)で1200ccですから、摩擦抵抗損が1600ccより少ない分燃料効率が良くなります。過給によりエンジン回転を上げなくて済む事も、回転を落とし摩擦損を少なくします。スロットル開度が上がるのも吸気抵抗を減らし燃料消費を少なくします。少し別の話になりますが、実際のエンジンでVWの1200ccを見ると、直噴でハイオクになっているので、自然吸気でも直噴にすれば圧縮比を約1上げられ、ハイオクなら更に上げられ小排気量化過給と自然吸気の差は縮まります。又、1200ccのアイドリングの燃費も1600ccより少ないのですが、アイドリングストップなら排気量差は無関係となり、これも差を縮めます。もう一つ最近の車はVVT(カム位相制御)で吸気抵抗を減らして行く傾向(一部車ではスロットルバルブ廃止)なので、これも差を縮めます。日本では発進停止が多い走行ですから、小排気量過給の効果が少なく、実燃費はVWの小排気量過給と無過給日本車と同じで、直噴やハイオクを考慮すると日本車の方が良いという事になります。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。

交通状況は日本と欧州では同じようなものですから、ターボ=高効率は理論上のもなのかもしれませんね。

お礼日時:2011/07/06 00:05

ガソリンエンジンの場合、性能曲線はスロットル全開の状態でデータを取ります。

しかし、
実際の走行では部分負荷・パーシャルスロットルでの走行が殆どです。この状態ではスロットル
バルブを絞った状態で走る為吸入抵抗が増しポンピングロスによって一般的に言われるガソリン
エンジンの熱効率30%前後を大きく下回り10%以下になると言われています。
ターボエンジンによるダウンサイジングを行うと、出力を取り出す為にはスロットルを開けて
回転数を上げる必要があります。一見燃料をたくさん使うように思えますが、スロットルを
開ける事でポンピングロスが減って効率の高い状態で運転する事でトータルの燃料消費を抑える
事が出来ます。
また、圧縮比は低く見えても過給によって実際のシリンダー内の圧力を上げる事で取出せる
図示平均圧力を高めて燃焼による動力の取出し量を上げ・効率を向上させられます。かつて
F1で燃料制限を受けた1.5Lターボエンジンが燃料制限無しの3.5L自然吸気エンジンより速く
走れたのはここにあります。
但し、これをきちんと行う為には燃料噴射の制御マップを適切なものにする必要があります。
かつての日本でターボ車に設定していた出力至上な濃いめの噴射マップでは出力空燃費(理論空燃費の14.8前後に対して12~13)プラスガソリンの気化熱を冷却に用いるような噴射量
を設定しており(加速時にも濃い噴射設定)、「ターボ=燃費悪化」のイメージを定着させ
てしまいました。
VWのTSIエンジンの場合、燃料直噴でガソリンの気化熱を利用してシリンダー内を冷却して
圧縮比を従来より上げ・適切な噴射制御を行う等ダウンサイジングで効率改善を行うのを
まじめに取り組んだ事で燃費測定モードではなく実走行で良い燃費を実現しています。
かつて世界最高の過給技術を極めた(はずの)ホンダに頑張って欲しいのですが、・・・。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。

ガスタービンの部分負荷効率の悪さは有名ですが、自然吸気レシプロガソリンもかなり悪いのですね。

お礼日時:2011/07/03 16:58

どちらの効率が良いか?難しい判断ですね。


エンジンの熱効率は、30%以下であり、70%は熱等として捨てています。
このすてている熱を有効利用することを考えて、ターボは作られました。
同じ出力を得るため、ターボエンジンは排気量を小さくすることが出来、
熱効率の良い運転領域を使うことで、低燃費を実現している、、、、でしょうか。
しかし、ターボとて非効率なところがあり、
実際にエンジン特性である燃費率マップを比較しないと、
どちらが有利と言う話にはなりません。
また、車両重量等やトランスミッションの仕様によっても
燃費は変わってきますね
自動車メーカーは、車の使い方、車の性格、部品代等を総合的に見て
使うエンジンを決めています。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。

総合判断すべき事柄であるのは、仰るとおりと思います。

お礼日時:2011/07/03 16:52

最近の輸入車の一部、エンジンを小排気量にしてターボを付けるようになってきていますね。

以前みたいにターボを強調しねいので気がつきにくかったりしますが。

”同一馬力を取り出すのにターボエンジンは小さい排気量で済むことによる機械損失の低さ”
これになると考えます。NAで2L位のエンジンが必要になるところをターボで1.6L位に押さえる。そうするとエンジン自体が知さくなり、付属の機器も軽量化可能になります。ボディも小さくなり、更に軽くできます。これは”エコ”につながりますね。

あとは・・・メーカとしてはエンジンの種類を絞り込めます。2Lの代わりに1.6L+ターボにすると、2Lエンジンが不要になります。その分、一つのエンジンに時間がかけられますから、より高効率に仕上げやすくなるかもしれませんね。(原価低減が目的になっているとは思いますけど)
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この回答へのお礼

ありがとうございます。

軽量化すればエコに繋がりますが、ターボエンジンだとブロック強度その他の問題で、それほど軽量化にはならない気がするのです。

お礼日時:2011/07/03 16:52

3000cc自然吸気から10馬力を得るのと


1500ccターボから10馬力を得るのでは
どっちが低燃費でしょう?

それに乗用車がターボ化 と書かれてるが 実際には日本ではトラックや発電機がで 乗用車ではない
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この回答へのお礼

ありがとうございます。

現在購入を検討している欧州製乗用車、またそれ以外の乗用車も同様なうたいですので質問をいたしました。

お礼日時:2011/07/03 16:52

ターボエンジンの場合は、小さなエンジン(材料部品を含めて)で大きな馬力を得ることができます。

昔のF1ですとわずか1500ccで1000馬力の出力も可能でした。そういう意味ではエコかもしれません。

しかし、過給により発熱量がNAエンジンより大きくなることから、冷却補器装着が必須となりますが、更に燃焼温度を下げるため、逆に燃料を多く吹いて燃焼温度を下げる(燃費が悪くなる)という逆効果も発生します。

現在のターボエンジンは、その時代の技術力、エンジンの大きさ・重量、過給程度、ターボラグのバランスを突き詰めたものとなっています。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。

素材原料まで突き詰めるとエコなのかもしれませんね。

お礼日時:2011/07/03 16:34

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