姓に「月井」さんがあります。また、「井月」と号する俳人がいました。どちらも「井」の謂は「田」か「井泉」で「月の映える井」、「井に映える月」を愛でたものと推測します。
これから考えて、古くから和漢の詩歌なり散文なりに「月の井」や「井の月」を愛でた作品があるのだと想像しますが、さて、元祖といいますか、初出といいますか、最も古く登場した作品を探るとすれば、誰の何という作品に辿り着きますか。
一発回答で最古まで辿りつかなくても結構です。皆様の協力により締め切るときに、この作品が最古であろうと確信なり見当なりがつけば有り難いです。
「月」だけや「井」だけを単独で愛でた作品ではありません。「月」と「井」がセットになっていて「月の映える井」や「井に映える月」を愛でた作品が対象です。
よろしくお願いします。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
そういえば7月7日は井戸替え行事にあたりもします。
「枕草子」には「井はほりかねの井、玉の井、走り井は…」とありますが、「万葉集」でも御井・走井・曝井・堤井などさまざまな井戸が登場します。上代では井は人工のものとは限らず、走り井と呼ばれる天然の泉はもちろん、川を塞き止めた堤井や池などの水を汲み取る処など、ひいては水田の取水口さえも指しているでしょう。その縁組も木製の板井ていどからゴージャスな石組みの石井、また泉屋や泉殿のような建屋レベルまで実に多様だったものでしょう。
その「万葉集 13巻3245」では「月夜見乃 持有越水(月読の持てる変若水)」が出てきます。若返りの水と月の精の関係は、やがて養老の滝や孝子水伝説につながる系譜でしょうか。
節句祭りでの若水汲みの習俗も、もともとは月と関係した聖なる命の水信仰に由来するのでしょうか。
イメージ優先では「和漢朗詠集 禁中」の「鳳池の後面は新秋の月」あたりはいかがでしょう。
この回答への補足
締め切るに当たって
NO.1、NO.2は甲乙なく有益でした。どちらが気持ちにぴったりするか、月井さんや井月に選んでもらいたいくらいです。NO.1を選ぶような気がしないでもありませんが、質問文に「最も古く登場した作品を探る」とあるのを考慮して、こちらをB.Ans.としました。
お世話になりました。
拝読しました。
・「井」には様々な概念のあることが分かりました。
・『萬葉集』と『和漢朗詠集』は当該部分だけを小学館の日本古典文学全集で通覧しておきました。
・「万葉集 13巻3245」、こういう歌が念頭にある方は「月井」や「井月」から「月の映える井」や「井に映える月」ではなく、「月にある井」、「井のある月」を連想するものらしいと感じました。もっともな話です。
有り難うございました。
・「月井」、「井月」を「月にある井」、「井のある月」と考えるとき、万葉集(13巻3245。783年?、806年?)まで遡れることが分かりました。
・『和漢朗詠集』から白居易(772年―846年)の作品に「池と月の組み合わせ」を愛でる作品があるのが分かりました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
早くても17(日)24時までは締め切らずにおきます。よろしくお願いします。
No.1
- 回答日時:
和歌ですと
なほざりに有るか無きかの影見えて水草(みくさ)に雲る山の井の月
正治二年後鳥羽院御初度百首(1200年) 守覚法親王
むすぶ手にかげみだれゆく山の井のあかでも月の傾きにける
老若五十首歌合(建仁元年(1201年))、新古今集 慈円
この回答への補足
その後、慈円の歌に関しては小学館の日本古典文学全集『新古今和歌集』を通覧しておきました。これによると「山の井」は「山の泉」が妥当のようです。お礼欄は「田毎の月」に引っ張られすぎているかと反省しています。また、質問文は日本人の姓だから「井は田であるまいか」という先入観が幾分強すぎたかなとも感じています。
守覚法親王作に関しては解説書に出合えていませんが、こちらも「山の泉」かな、と思うようになりました。「水草(みくさ)に雲る」の正体が掴みきれないため「田」とも「泉」とも判断し兼ねています。
それにしても「なほざりに」で始まる歌が実に大量にあって驚きました(角川、『国歌大観』)。枕詞ではないらしいのも意外でした。
以上、後日談みたいなものですからご返事は不要です。
有り難うございました。
拝読しました。
どちらも「山の井」とありますから「井」は田の謂いでしょうか。「田毎の月」を連想しましたが、これもこの辺りが出所でしょうか。午後にでも、どう鑑賞するべきか、ざっと目を通しておこうと思います。
有り難うございました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今のところ1200年、守覚法親王の和歌まで遡れました。7/17(日)24時まで待ってNo.2以下が寄せられないときは締め切ります。
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