現在も回答受付け中の質問377171「今のノーベル賞受賞者に疑問を持ちませんか?」の回答を閲覧しましたが、以下のことが判りません。
No.2の回答の抜粋;
「ノーベル賞は今ではご老人しか受賞していません。この原因に、ある日本人研究者への不適切な表彰(結果的に誤った理論に対し表彰してしまったらしい)という過去の汚点があるためと聞いたことがあります。」
No.17の回答の抜粋;
「受賞者の言葉だから正しい言葉であるとは限らないってことは、他の受賞者のことを引き合いに出してみなさんがおっしゃっていますよね。(間違った理論での受賞とかのことです。)」
上記で言及されている「事情」(結果的に誤った理論に対し表彰してしまった)とは、ノーベル賞受賞に関してのことでしょうか。いま少し詳しくご存知の方、お教えください(上記の夫々の回答者を指名しているわけではありません)。
No.2
- 回答日時:
どれのこと言っているのかつかめませんが、
ノーベル賞ということなら、BCS理論というのが
今では完全でないことが知られています。
BCS理論というのは、金属の温度を下げて行くと電気抵抗がなくなるという、超伝導現象を説明した理論で1956年くらいのノーベル賞だったと思いますが、この理論によると超伝導が起こる温度の上限は30K(ケルビン)という温度だったのですが、1986年に発見された酸化物超伝導体がその後の研究で最高130Kでも超伝導現象を示すことがわかり、BCS理論の考え方に誤りがあることがはっきりしました。酸化物超伝導体が発見されたばかりのころは、この物質だけが特殊なんだという学者が大半でしたが、その後BCSの予測した30Kを超えた温度で超伝導現象を示す物質がいくつも見つかってしまったんです。日本では青山学院大学の学生が見つけたボロン系というのが有名です。
また「ある日本人研究者への不適切な表彰」ということで思い当たるのは江崎ダイオードで受賞した江崎玲於奈博士です。理論が間違っていたわけではないのですが、受賞対象となった実験を博士自身がやっていなかったことが受賞のあと世間に知られるところとなり問題になりました。理論のアイディア自身は博士のものらしかった(これも怪しいという話もありましたが)のですが、証明実験は困難を極め、そこを独特のアイディアで実験を強力に進めた博士の助手がいたのです。仮にアイディアが博士のものだったとしても、証明実験の成功は明らかにこの助手の方にあり、このことが適切に発表されていればノーベル賞の場合理論面と実験面の功績ということで分けて考えられ、博士とその助手の方の共同受賞になるのが普通なんです。今からでは想像もつかないことですが、当時東大ではどんなに優秀でも女は教授にはなれないと言われていたほど男尊女卑の思想が強く、この助手の方が女性であったことが業績を無視された理由ではないかとも言われています。
この回答への補足
独力で未踏のコンセプトを提唱した湯川秀樹の偉大さを、その仕事の大きさとともに再認識しています。
ひとくちにノーベル物理学賞といっても、その内容で格が違うように見えますが。松竹梅にランクすると、松に該当する仕事にどんなものがありましょうか。
物理屋でも化け屋でもない僕にご教示いただければと思います。
ご回答ありがとうございます。
最近、こんな記述のサイトを見つけました。
「江崎のノーベル賞のかげに、忘れられた女性が一人います。エサキダイオードの特許公報を見ると、発明者として黒瀬百合子(学習院物理卒)の名前が連記されています。黒瀬百合子は江崎のアシスタントとしてアルバイトの鈴木と共にトンネル効果のデータ収集をし、大いに貢献したことで連名の発明者になった。しかし彼女が共同発明者として脚光を浴びることは全くなかった。
あまりにも彼女に日が当たらないので、見るにみかねた発明学会は1974年4月18日の発明の日に、トンネルダイオードの発明者の黒瀬百合子を表彰した。しかし彼女はそれを待つことなく4日前の4月14日に、ガンのためこの世を去っている。」
とあります。以下未確認ですが、江崎がある物理量を増加させて実験する指示をしたところ黒瀬が「逆に当該物理量を減少させた前例がないので、そのデータをとりたい」と進言し、それが結局トンネル効果の検証になったと。また何かの国内賞を得たまでは論文に黒瀬も連名だったが、レビユー投稿のあたりから黒瀬の名が割愛され、よって国際的な学界公式英文記録には黒瀬の名が痕跡もなくなり、時は流れていくと。
また、トンネル効果という概念そのものの最初の提唱であれば大きな仕事だったんだろうけど、先人によって既に提唱済みのトンネル効果の単なる検証実験に過ぎんではないかという論評が当時あったと聞きました。それなら後藤のパラメトロンも受賞すべきだと。
研究者の世界も、やはり「運」次第ということか。
No.3
- 回答日時:
そういうネタでいいのなら確実で有名なのは、
ヒューイッシュと助手のベルによる中性子星の発見ですね。
http://www.st.sophia.ac.jp/scitech/scitech/no10/ …
再度のご回答ありがとうございます。
参考資料、拝見しました。なるほど、同様の例は他にも結構ありそうですね。
要は、責任者の人格、資質、器量に帰する。受賞・表彰はそれらをも(本人の意向に関係なく)白日の下に曝す効果があるわけで、意外に人間くさいものと言える。さらに、検討・考査・査読の側にもナマグサさが入り込む。(No.627215)
しかもこうした事情は学界のみに限定されない。
興味は尽きません。
No.4
- 回答日時:
私の質問をネタにこんなところで楽しんでらっしゃる
方々がいるとは・・・(笑)
最初から過った理論でのノーベル賞受賞というのは
知りませんが、当初から受賞の内容に疑問が投げかけ
られたのは、1912年のダレーン の灯台用~
えーと、灯台用何とかの発明ってやつです。
どこかでノーベル賞の受賞内容をざーと
見るとわかると思うのですが、発明って内容は
このダレーンさんのだけで、後は発見とか研究
って内容になっていると思います。
当時アメリカには発明王エジソンもいたわけで、
発明というと特許を取って個人が儲けるという
ものだった。今も変わりませんが。
意図したことでなかったにしろ、ノーベルは
人の命を奪ってまで、ダイナマイトで荒稼ぎして
しまったわけで、そうではなく全人類の英知に
貢献したような業績への評価がノーベル賞のはず
では?ということで発明の受賞が疑問視された
わけです。
最初のノーベル賞であるX線の発見でも
レントゲンは特許を取っていませんし、
キュリー夫妻も放射能の研究ということで、
放射性同位体の分離方法について敢えて
特許を取らなかったことが、今日科学者の
精神と呼ばれ引き継がれています。
>意外に人間くさいものと言える。
ちょうどさっき超電導の回答をしてみたので、
超電導つながりで行くと・・・
お国がらっていうのもあるかもしれませんね。
優れた業績が無視されるという意味では、
私の知る限りイギリスがもっとも過激です。
ヒューイッシュさんもイギリスの話ですね。
その前年に江崎玲於奈さんと受賞した
ジョセフソンさんですが、彼は大学院の授業で
トンネル効果の話を聞いたとき、これを超電導体
に応用して計算したら面白い結果が出たので、
これをその授業の担当教授に見せたことが
この受賞につながっています。
上の人が横取りしない、若い人の受賞も
あるってこです。
>同様の例は他にも結構ありそうですね。
No.3の方が、確実に有名な話ということで
挙げられているので、確実に有名じゃない
話で行くと・・・
日本の酸化物超電導体の研究は、IBM
チューリッヒ研究所のベドノルツと
ミュラーの実験を、東大の田中昭二教授が
追試実験したことにはじまる、となって
いるんですが、田中先生実験なんかやって
いません。この難しい追試実験を徹夜で
がんばって成功させたのは、田中先生の
研究室に来たばかりのアジアからの留学生
だったんですね。しかもベドノルツとミュラーの
論文を薦めたのは、当時田中先生と付き合いのあった
日本大学理工学部物理学科の先生なんです。
追試実験が成功したと知るや、田中先生が
それをもとに当時の通産省に予算申請したと
いうわけで、きつい事言えば、申請事務手続き
しただけです。当時田中先生の実験は失敗
続きで、当時も文部省からの予算を打ち切られた
ばかりでした。
ちょと長くなりましたが、私の質問続きと
いうことで興味がわきましたので・・・
この回答への補足
田中教授はともかく、一般に東大教授は実験なんぞすることはないんであります。年度予算が分捕れればよい。あとは政府の専門委員とか、事故調査委員などで(現業を全く知らんでも)メーカの技術者が提出した資料を検討しつつ、実はそれをテキストに勉強し、外国の文献に照らして一見尤もらしい結論をひねり出す。あとは事務局が立派な報告書に纏めてくれる。最後にセレモニーで、出来た報告書を大臣室で大臣に恭しく手渡し、報道のカメラのフラッシュがまたたく。以上で一件落着。研究実績なんぞゼロでも一向にかまわない。
これで一生食えるから楽なもんじゃ。おまけにキヤツラ、定年後は東大名誉教授なんぞで周囲のコミュニティがチヤホヤしてくれるからもう笑いが止まらんじゃ。ワシのシマの応用化学では、おっと、ヤバイ、素性が割れちまう。
このへんにしやす。では御免なすって。
Apple_man殿
首長くしてお待ち申しておりやした。いよいよご出陣願えたわけで。
もう2年以上開いている貴殿のご質問をダシに、すっかり楽しませていただいておりやす。さしずめ、
胴元=apple_man殿
店子=オイラたち
ってえとこで。
なんしろ、このサイト、
メアドも何も一切開示ができないシキタリなもんでして、連絡いたす手立てがござんせんでした。仁義を切るのもショバ代も、はしょっちまって何卒御容赦の程を。
興味津々のご回答ありがとうございます。
数十年前、助教授なりたての30歳前の田中昭二君は痩身で眉目秀麗、舶来の背広を着こなし、七三分けのパラリと落ちる長髪を右手でかきあげつつ、革の折鞄を小脇に抱えて五月祭(本郷の学園祭)の応用物理学科の会場に据えたシグナルジェネレータを指して学生に澄んだ声で「壊さないでね」なんて指示して颯爽と消える。ワシが見ていてもカッコよかった。当時の東大工学部はまだ電子工学科がなく、エレクトロニクス(当時はエレクトロニックスと言っていた)を志望する学生は応用物理に進学し、駒場からの応物進学の足切り点は82、3点で理物(理学部物理学科)の足切り点よりも高く、最高の学生諸君が集まった。(上の指示された学生君は後に日立の常務になった)
だが、その後の田中君は風貌ガラリと変わり、顔がひらぺたく、鰓が張っていかつい風貌でオールバック、貫禄がつき、野太い声でまるでテキヤの副頭目の風情。テレビの、先輩に話を聞くという番組で母校の小学校に出かけて話をしたのはいいが、子供達に難しい物理の説明に手を焼き、面倒くさくなってダミ声で「これ、わかるねー」を連発して黒板を叩き、小学4、5、6年生の児童に凄んでみせた。子供たちの脅えた表情が印象的であった。やること、いかにも奴らしい。
No.5ベストアンサー
- 回答日時:
田中昭二君などと言われいるところからすると、
田中先生の先輩の方ですね。これは失礼致しました。
田中先生が東大を退官されたのはもう15年ほど
前のことと記憶していますから、ご質問者の方も
もう80歳近いということですね。
>田中教授はともかく、一般に東大教授は実験なんぞすることはないんであります。
そうゆうことが世間の常識だといいんですが、
ここGooの書き込みなど見ていても、大学を出て
ある程度研究生活をされている方と思われる人でも
そこでまは考えていないようです。何かの本が出
るときに名前貸すだけくらいのことは知っている
大学生もいるようですが。
だから本当は前のノーベル賞受賞への疑問のも
書きたかった。観測に成功したのは浜松ホトニクス
の技術者の功績じゃないですか、たまに実験見学に
くるおじいちゃんがノーベル賞受賞者として歴史に
名前が残るなんて変じゃありませんかって。
>研究実績なんぞゼロでも一向にかまわない。
田中先生はそうは仰っていませんでしたよ。
結果が出なかったんで文部省から研究予算を
打ち切られんだと。
研究の世界はやはり成果ですが、ここでは東大生
というネームバリューが絶対ではない。
ただ予算獲得という点では東大出の方を立てたほうが
都合がいいので、とりあえず東大の方にトップに
たってもらう。ところが東大出の方はそれに悪乗り
しているんだと思います。
東大への予算が縮小されて行く事は目に見えて
いた。だから例えば東大医学部などでは美容整形など
民間医療にも成果を上げていることを示すような
ことを90年代に入って突然始めたわけですが、
カミオカンデはそううまく方向転換できるようなもの
ではなかった。そこで切り札がノーベル賞だったのだと
私は考えています。つまり簡単に言うと、他の予算を
打ち切らせて、その分カミオカンデへの予算が減らない
よう、文部科学省などがノーベル財団等に受賞の働きかけをしたものと思います。事実としてはっきりしている
のは、後から九州大学と京都大学のニュートリノ研究の
予算がカットされたことです。
ただここまで来ると、例え関係者がこの質問を
読んでも答えられるものではないでしょうから、
まずは理論的に考えて現段階の受賞は不自然
と思いませんか?というのが前の質問で、
粒子論の結果出てくるニュートリノという粒子ですが、
最近話題になっている超弦理論などの出現から
わかるように、粒子の存在そのものが疑われている
のに、その観測が認められ受賞なんて・・・
しかも小柴さんが・・・?
仮に5年後に超弦理論が正しいし、そこから
ニュートリノという粒子にあたる存在がないことがはっき
りしたとして、それでもなお受賞当時は正しかったと
言えるかと言えば、かなり疑問が残ると思います。
後、ご質問の中の
>No.2の回答の抜粋;
「ノーベル賞は今ではご老人しか受賞していません。」
の部分は間違いだと思います。先の超電導の
ベドノルツとミュラーは論文発表の次の年の
受賞ですから、そうご老人じゃなかったはずです。
それから
>独力で未踏のコンセプトを提唱した湯川秀樹の偉大さを、その仕事の大きさとともに再認識しています。
の部分は同感です。
学生の時に1945年の湯川博士の論文を
たまたま見つけのですが、1935年に中間子理論を発表
された博士が、40年代にはすでに粒子という考えに
疑問を抱き、さらに空間が不連続である可能性を
模索するような内容で、非常に驚きました。
この回答への補足
さて、もともと質問者の質問は「間違った理論での受賞」につき問うものでしたが、何せ質問者が元来、八方破れの故にトンデモ脱線をはじめてしまったようです。先刻、事務局からの通知もあり、一旦この辺で閉めることと致します。
ご回答下さった諸兄に改めてお礼を申上げます。有難うございました。
ご回答ありがとう。
◆田中先生は・・・
少しだけ昔話しをすると:
敗戦後、米進駐軍 GHQ の命令で航空工学科は解体され、応用数学科が許可された。そこで俊才が応用数学科に集まり、中でも傑出した秀才が彼であった。理研の仁科博士の小さなサイクロトロンを米軍の工兵達がハンマーで叩き潰し、東京湾に捨てた頃です。米軍の警戒は執拗であり、街中を歩く米兵が、竹ひごに紙張りの模型飛行機を持った小学児童を見つけて奪い取って軍靴で踏み潰し、呆然と立ちすくむ児童の顔面を殴打して前歯を全部へし折った。血だらけでうめく児童を目前に、僕らは何一つ出来なかった。無辜の市民が街中で虫ケラのように米兵から暴行を受け、多くのものが命を落としたが、話題にすることすら許されなかった。そんな暗い一時期があった。
講和発効後、新制になった京大理学部の木村毅一教授が、復興期にある企業を行脚して寄付を募り、蹴上にサイクロトロンを造ったのは昭和30年だったか。この頃新制東大の航空学科が復活し、また列品館を根城にしていた応用物理学教室は田中昭二専任講師ら若手にその将来が託された。第2工学部は模様替えして生産技術研究所などの附属機関が整備された。当時、石油化学科なんかもあった(今はないが)。
◆湯川秀樹は・・・
僕の手元に今、旧制第3高等学校の理科甲類の物理の講義プリントが残っており(親父の遺品:小川秀樹と同級生で親友だった)、内容を見ると型破りのテキストで、作成した教師の情熱が伝わってくる。物象の本質を見抜かんとする意欲が横溢し、これで開眼した生徒から小川(後に湯川)や朝永(理科乙類:隣のクラス)や木村毅一が輩出したのも、むべなるかな。
一方で、研究者は研究環境に恵まれ過ぎてもいけない。Drなしで孤軍奮闘、干からびた学界なんぞクソクラエ、ひとり気を吐く中村修二プロフェッサが誠に心強い。
また純粋培養の課程修了者だけでなく、例えば(僕がそうだったが)10年程民間企業で生産に従事のあと大学院に戻るなどの、別のルートを多く設けるべきでしょうね。
Apple-man 様も「列品館人種」の実験物理屋のようにお見受けします。超ヒモ等でどうかヒットを飛ばしてください。僕はあと何年生きられるかわからんが、ずっと期待し続けてますからね。
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