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10年ほど前なのですが、坂本龍一氏がつくった「LIFE」という
オペラに関し、これは「崇高」ではなく「美」なんだという論評を
見ました。私は坂本氏の音楽はそれなりに聴き続けてきたもの
の、哲学用語には疎いので、いわばスルーしたのですが、なんだ
か最近またとても気になっています。(その後も何度か「日曜美術館」
などでこの言葉を聞きました)。

ここからが質問なのですが、芸術論、および哲学の中で(おそらくカントで
しょうか)「崇高」と「美」という言葉はどういう文脈で使われるのでしょうか。

専門の方にとっては初歩的なことかと思いますので、申し訳ございませんが、
ご教示いただけると幸いです。坂本氏のオペラとは関係ない一般論のご回答
でかまいませんので、ご教示いただきたく、よろしくお願い申し上げます。

A 回答 (6件)

「美と崇高」について書かれた初めは1759年のエドマンド・バークの「崇高と美の観念の起源」で、それに次いだのが1764年のカントの論文「美と崇高との感情に関する考察」です。


バークは美と崇高を区別して、崇高は人間に恐怖と畏怖の念と不安をもたらすが、美は人間に安らぎと陶酔をもたらすといっています。
ともに人間の感性を超えている点では共通しますが、方向がまったく逆です。
カントが論文を書く際にバークの本を参照していたかどうかは定かではありません。
カントは崇高の感情を、恐怖と高貴と豪華に区分しました。
そしてその堕落した形態として怪奇と茶番があり、豪華は崇高と美の中間の感情であるといいました。
それに対してカントのいう美は芸術作品の美が挙げられますが、それよりもかれは道徳的な人間の在り方、人間の尊厳を美の模範と考えました。
そのような考え方に当てはめてみると、坂本龍一がオペラを「崇高」ではなく、「美」といったのも当然だと思われます。
なぜなら、オペラを観て「恐怖感」に駆られたり、「畏怖の念」を抱くことは稀だと思うからです。
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この回答へのお礼

ありがとうございます!!

お礼日時:2014/01/10 05:10

 こんにちは。



 真善美について考えるところを述べます。


 真善美のみなもとは 同じひとつであるという仮説です。

 ふるくは哲学の相場としてそのように決まっていました。
 あらためてこの説を次のように考えてみちびきました。

 まづ ひとが《生きる》ということに始まると言ってよいと思われます。

 そこから 美学が派生するという意味です。




 生きることは そのこと自体に意味があるといういみで《善》だと考えます。

 何をしてどう生きるかというよりも 生きること自体に意義を見出すとすれば おそらく確かに その善をひとつの基準として 世の中には・ひとの思いや振る舞いには 善にかなうこととそうではないこととが見出されて来ます。

 善と言ってもよい存在そのものを抹殺することは 負の善です。

 あるいは むさぼらないことは 生きることにとってふさわしく善であり むさぼることはこの善に逆らうことであるゆえ 負の善である。負の善は 善を傷つけることであり その結果は善(生きること)の部分的な欠けだということになります。

 《善の損傷あるいは欠如》 これを使い勝手がよいように《悪》と名づけます。




 さてひとの感性には 善も悪もありません。

 感性は 第一次的な知覚そのものを言います。
 われわれは記憶の中からあれこれを見つけ出して来て 為そうとする行為の選択肢を考えますが このときその選択肢の内容については むしろおのが心(つまり 精神の秩序作用としての記憶)に逆らうことを思ったりそれをおこなおうとしたりすると われらが心もしくは感覚は 困ります。動揺を来たします。胸騒ぎが起き 顔を赤らめ 言葉もしどろもどろになります。

 これは 言わば《やましさ反応》です。これによって 第一次的なかたちにおいて善かそうでない悪かが決まると捉えます。

 この反応としての感性を知性として(つまり 認識して言葉に表わし)その主観内容が ほかの人びとにとっても同じであると認められたときには 共同主観として認められ この限りで 人間にとっての《善もしくは悪》が決まります。
 (共同主観とて 絶対的にただしいとは決まりませんが)。

 人間の知性が経験的にして相対的であるかぎりで この善悪観も 相対的なものです。しかも 基本的なかたちで 《うそ・いつわりを言わない》が善であり 《うそ・いつわりを言う》が善の損傷(つまり悪)だというふうに おおよそ人類のあいだで決まっています。





 話が長くなっていますが このとき《真理》は 人間の善悪観が 普遍的なものであると言いたいために 無根拠なるものを根拠として――つまり 公理としてのごとく――持ち出して来た想定としての基準です。

 そして話を端折るならば 《審美眼》は この真理をわざわざ人間の言葉にして表わそうとする神学にも似て・しかも言葉を通さずに・つまりは感性をつうじて 真理にかかわろうとする心の(ということは身の神経細胞とともなる)動きだと考えます。


 実際には 真理は 想定上のなぞですから 表象し得ません。それでも《生きる》ことにおいて人はこれを問い求めているのではないであろうか。

 ひとの世界にウソがあるかぎり そしてカミという言葉があるかぎり 生きることに善悪観は伴なわれざるを得ず その規範を超えてうつくしきものを見たいという美の渇きは必然的なことだと見ます。




 けれども その美は ひとによって異なり千差万別ではないのか?

 それは 生きた過程としてのそれぞれの人の《善の損傷の具合い》によって そのときその場で どういう美のかたち〔をとおしてナゾの美ないし真理〕を求めているかが違って来ます。

 審美眼は その人の生きた歴史によってあらたに形作られ その人の美学もその過程にそってあらたに作られていくと見ます。初めの真理ないし善(善悪観)から離れることもあり得ると捉えるわけです。

 早く言えば 破れかぶれの心の状態になったときには 毒を食らわば皿までという美学がつちかわれます。




 一般的には かたちのととのったものをつうじて 心の内なる精神の秩序としての美ないし真理を見ようとしているものと思われます。

 そして どう生きたかで善の損傷のあり方(つまり どれだけ・どんな内容のウソ・イツワリを言ったか)が人それぞれでしょうから それらに応じてそのときその場では どういうかたちに――それをつうじて善の損傷が癒やされるべきところの――美を感じるかが千差万別になると思われます。

 すなわち おのれの善――生きること――の傷つき方に応じて人それぞれに 美と感じる対象が違って来ます。
 早し話が かたちの整わない醜いものにも 美を感じ それとして癒されるという時と場合があるかも知れません。

 すなわち 真理と善については 十人十色と言っても あまり変わらないのではないか。けれども美は それこそ千差万別ではないかという問いに対して 答えようとしたものです。





 人はウソをつくからには一たん真理や善から離れた過程にあって 善の損傷の具合いに応じて その傷がどう癒されるかは 人それぞれである。

 そしてその差は 言わば巡礼の旅路というべき人生をあゆむ人間にとって そのときどきの巡礼の寺としてのごとく 美の感覚に違いが現われるというものだ。こう考えこう捉えるなら 美学にも十人十色の差を許容しつつも普遍性がある。
 こう考えることも出来ると思いますが いかがでしょう。

 
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こんにちは。

「崇高」には神々しくて近寄りがたいという印象が含まれるものだと思います。「美」というのは、個人の主観にとってバランスが取れて心地よいものくらいの定義でいいのではないでしょうか。
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崇高とは、神を予感させることだよ。


美は哲学の圏外だ。
特に西洋の伝統哲学は率先して美を捨てていて、美を語ると批判される足の引っ張り合いだ。
すなわち人間を謳歌する精神がルネサンスをへても根付いていない。
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坂本龍一の論評は知らないけれど、一般論。



 ブリタニカ国際百科事典を引くと、崇高とは「魂を高める」ものであると記されていますね。簡単にいえば、崇高は美しいだけじゃなくて、道徳的なものじゃなければならないわけです。ここから考えると、坂本は次のように言いたいのではないか。
 ・崇高=道徳的な美しさ。
 ・美=道徳と関係なく、ただただ美しいもの。
 一言でいえば、「俺は耽美的な作品を作るよ、作ったよ」ってことでしょう。崇高とは上記に限らず、さらに面倒な議論がいくらもあるのですが、坂本の言っていることが分かるようにしてほしいとの用命なので、これは割愛します。実際、坂本の曲を聴くと、音の響きが美しいけれど、ベートーベンを聞いているような感じとは違うでしょう?

 ――奇麗なら、モラルとか、精神性なんてどーでもいーや。
 噛み砕いていえば、こういうことかな。
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こういった象徴的な言明は、当人以外に正確な解説は


不可能です。
あえて個人的な経験から推察すれば、海外において、
印象派の画家たちが、それまでの写実派の絵画を
「アカデミズムだ!」と批判したように、古典的、様式的
で権威主義的な完成度を「崇高」と表現し、個人の直感
的な感性に忠実に喜びを与える(絵画でいう印象派)
ものを「美」と表現したのではないでしょうか。
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