池田信夫さんのいう事が良くわかりません。あの方は好戦的なので好き嫌いあると思いますが、かなりの論客であるとも思います。ここでは純粋に経済学の議論をお願いします。
数年前に準備預金を数十兆円積んで金融緩和していたころは池田氏は「準備預金なんかどんだけ積んでもインフレになんかならねぇ。どうせ日銀の準備預金にブタ積みで市中には出回らねぇ」と言っていました。それは正しかったと思うし、実際CPIは下がり続けました。
しかし今回の記事で日銀が国債を買いまくったらすごいインフレになると言っています。
http://agora-web.jp/archives/1591695.html
上記2つの結論は矛盾しています。どこの前提が違うのでしょうか?
===
黒田緩和以降で日銀が70兆円国債を買って、結局市中に出回ったのはそのうち数兆円です。結局市中に出回らずに準備預金口座へ帰ってきています。結局準備預金に還ってくるのであれば、池田さんの理屈では国債をどんだけ買ってマネタリーベースをどれだけ増やしてもインフレにはならないんではないでしょうか?
家計部門の貯蓄を国債残高が上回ろうが、海外資産相当額分だけさらに国債が積み上がろうが、日本国債を日銀が買って、そのお金が日銀の準備預金口座に還ってくる限りはインフレにはなりようがないのではないでしょうか?
今回の記事(http://agora-web.jp/archives/1591695.html)で「世の中にお札があふれると」と言っていますが、どういう経路で札が市中に出回ってあふれるのか知りたいと思います。
(個人的には財政ファイナンスとみなされて日銀の信用を棄損することによる円安で輸入インフレになるだけであって、札があふれる事は直接は関係ないと思います。)
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
池田信夫氏が経済を知らないだけです。
池田氏は「そのとき海外に資産をもっている人が、危なくなった国債を買ってくれると考えるのはお人好しですが、かりに買ってくれたとしても、毎年50兆円も財政赤字が出ているので、300兆円の海外資産は6年で食いつぶしてしまいます。」と書いていますね。50兆円の赤字は政府の財政赤字であり、300兆円の海外資産は政府の資産ではありません。政府の借金の返済は日銀が国債を買うことによって行うことができ、日銀が買い取る額に上限はありませんから、何の問題もありません。そうすればすごいインフレになるそうですが、日銀が国債を買うだけですごいインフレになるのでしたら、もうとっくにインフレになっています。経済音痴の池田氏の話は忘れ、日銀が国債を買い続けたらどうなるかを考えます。金利は国債を買いたい人、売りたい人の需要と供給の関係で決まります。日銀が買うということは需要が増えるということで国債の価格は上昇し、金利は下がります。金利が下がり過ぎると何が起きるでしょう。銀行や生命保険会社は預かった資金を国債で運用して経営を維持しています。国債の金利が下がり過ぎると、経営が維持できなくなります。つまり預金準備は利子が0.1%しかありませんから、それでは経営が成り立ちません。そうなると何か別の投資先を探さねば経営は成り立ちません。新しい投資先は
(1)企業や個人への融資
(2)外国の債券
(3)株
(4)土地
でしょう。
このうち(1)は、まだ景気は完全によくなっておらず、資金需要はかなり限られています。(2)ですが、すでに一部の生命保険会社は国債から外債へ投資先を移しはじめています。これは円を売ってドルを買ったりするわけですから円安になるし、円を売った相手は何か目的があって円を買ったわけです。その円で日本の株や土地を買ったり、何か買うのが目的なのでお金が動きます。
(3)株と(4)土地に資金が流れる可能性はあります。直接金融機関が買わなくても、誰かに融資して買わせることも考えられます。まさにバブルの時期に行われたことです。バブル=悪と決めつける人もいますが、少なくともバブルの時期は日本は豊かでした。バブルを潰さなかったら、今でも豊かであり続けたでしょう。
つまり資産インフレは起こるかもしれません。でも日本は資産価値が下がり過ぎて没落したことを考えれば、資産価値を元に戻すのは悪くありません。
多額の国債を保有する金融機関が一斉に国債を売り出したらどうなるかですが、日銀が買い支えるしかありません。だからと言って札が市中にあふれハイパーインフレになるわけがない。国債を売って得たカネで大根や鉛筆を買うわけがなく、すぐに一般物価を押し上げるわけではありません。投資先は上記(1)~(4)で資産インフレは起きます。札が暴れまくるのを防ぐには預金準備率を上げればよく、またインフレ経済になってくると、税収が激増し過度なインフレにブレーキがかかる仕組みになっており、インフレは制御可能です。ドイツやオーストリアのハイパーインフレも政府は均衡財政を宣言したとたんに、止まりました。
ご回答ありがとうございます。おっしゃる通りだと思いますね。日本の国内の生産力が十分である限りどれだけ金融緩和しても国債を買ってもインフレなんか起こりようがない。池田氏のいう事は前半は正しいのですが後半がおかしいのだろうと思います。
氏は他のところでも国債を買いまくればインフレと言っていますが、それは信用乗数が不変としてマネーストックが増えるからという事でした。しかし供給過剰になって以降、貨幣数量説など死に絶えて久しいのです。
ストックインフレ、資産インフレは実は私も起こると考えました。しかし無理ですね。
株は企業の利益(配当利回り)、というか国債と配当利回りのスプレッドが上がらないと上がらないわけで、国債金利はこれ以上低下しない、企業の利益もこれ以上上がらないとなると無理ですね。
不動産はGDPとの関数だと言われていますが、その意味では不動産は下がったと言っても不動産価格/GDPの比はバブル前に戻っただけです。バブル期は金融ビッグバン前で国内に滞留した貯蓄によって土地バブルが起きましたが現在はそれは望めません。
結局世界の景気がよくなると日本の資金が海外へ出て行って円安、不景気でレパトリ円高ぐらいしか起こりようが無いというのが個人的に想像できる範囲です。
No.3
- 回答日時:
残念ながら、両方間違いですね。
多くの経済評論家自体が、間違ってばかりいるというのが現実です。>数年前に準備預金を数十兆円積んで金融緩和していたころは池田氏、、、それは正しかったと思うし、実際CPIは下がり続けました。
これは、アメリカのバーナンキのアドバイスが有名ですが、金融緩和の規模が小さすぎた、とのことです。
>すごいインフレになる
これは、今年1月で1.3%のインフレで、日銀の予測が当たっています。池田氏だけではなく多くの経済評論家の予測が間違ってばかりいる好例です。この調子でいくと、2年で2%インフレはうまくいきそうです。
>どこの前提が違うのでしょうか?
金融緩和の規模が違うためでしょう。その池田氏は両方、本質的に間違っているので、無視するのが良いでしょう。
ご回答ありがとうございます。
>金融緩和の規模が小さすぎた、とのことです。
マネタリストが根拠を述べたことは今までにただの一回もありません。インフレにならなければ「少なすぎた」を繰り返すだけで、根拠、経路などただの一度も述べたことがありません。ばらまきの資金を捻出したい経済音痴の政治家が乗っかるだけで学術的にも見るべきものがないし、実務的にも百害あって一利なしなので全く無視していいと思います。
>これは、今年1月で1.3%のインフレで、日銀の予測が当たっています。
これは日銀の予想通りだし、池田氏の予想通りでもありますね。金融緩和のせいでもなんでもなく、単に為替変動によるコストプッシュインフレが起こるべくして起きた。私ですら予想できたことです。
今までのところ黒田緩和で起きたことは為替変動によるコストプッシュインフレと輸出企業の収益改善だけ。予想通りかつ当たり前の事が続いていますね。
No.2
- 回答日時:
そうですね。
池田氏の決定的な間違いは、インフレになるかどうかは生産力が十分かどうかによって決まるということです。もの余りの日本でどうやってインフレを起こすか。たとえば米の値段が急騰するのはどのような時でしょう。米の需要が飛躍的に高まって極度に不足し、米屋の前に行列ができるときでしょう。でも今の日本でそんなことが起きるわけがないです。生産力は安定していて米の供給は不足しそうもない。日銀が国債をいくら買っても米の需要が2倍、3倍になるわけがありません。万一大凶作になっても外米が入ってくるでしょう。もっとも消費者は、パン食に切り替えて、外米は食べないかもしれません。
ハイパーインフレ論者は需要と供給の関係を理解してませんね。しかし、株は国債と配当利回りの関係を無視して上がったり下がったりすることはあります。年金積立金で本格的に株を買うと宣言すれば株は一気に上がります。アベノミクスで異次元の金融緩和を宣言しただけで、実際に金融緩和をする前に外国人投資家が株を買い急騰しました。
日銀当座預金に現在134兆円もの資金が眠っています。これからも大幅に増えるでしょう。金融機関が金利0.1%のこの資金をいつまでもここで眠らせ続けるとは、私は思いません。そのうち、株や土地が上がりだし、この資金がそちらに流れ始めるだろうと予測しております。金利0.1%よりよい金利が得られれば当然流れ出す資金ですから。
ご回答ありがとうございます。
>しかし、株は国債と配当利回りの関係を無視して上がったり下がったりすることはあります。
これは期間の問題でYesでもあるしNoでもあるでしょう。
国内の生産力が十分である限り日銀が国債を買って財政出動してもそのお金は国内の生産によって吸収され、そのお金は銀行預金を通して準備預金に帰って来る。
そうして市中のお金は増えませんが、不動産に向かうかというと難しい。バブルのころと違って海外投資が自由なので、国内で運用されるとは限りません。結局コストプッシュインフレというつまらないインフレだけですね。
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